読書感想文

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2007/10/14

若者はなぜ3年で辞めるのか? 年功序列が奪う日本の未来

タイトルを見ると新卒入社する20代前半の若者を分析した内容なのかと思っていたのだが、それだけでなく30代のサラリーマンに対する分析もあった。私は30代であるが、会社に対してなんとなく感じていた閉そく感、失望感のようなもの(具体的にはうまく表現できないのだが)を、本書で実に明確に表現していたことに感心した。霧が晴れるような気持ちになった。と同時にやっぱりこのまま過ごしていても将来は明るくないと感じさせられた。

著者は「年功序列」制度が立ち行かなくなったことが20代の離職、30代の失望感に大きく影響しているという。日本的企業の場合、以前は「入社」してしまえばレールが敷かれており、あとは時間が立てば出世する仕組みであった。しかし、年功序列が機能するのは会社が右肩あがりに成長する時代の話であり、規制緩和、グローバル化の波にのまれた現在ではもう機能しない。したがって企業は「能力主義」を取り入れるが、その仕組みを考えるのは「昭和的価値観」をもった年寄りのお偉方。どうしても保身が入り中途半端な能力主義制度にしかならない。結果、暗黙の年功序列制度の上に人件費カットを目的とした中途半端な能力主義となる。すでに40代、50代にはポスト待ちの人々があふれており、20代、30代の若者にとってはこの先のレールすら保障されない状態となり、我慢して下働きしても将来恩恵を受ける可能性は極めて低い。

確かにこの分析は当たっている。私の感じていた閉塞感は2つ。1つは30を過ぎてもまだ組織の中で年下の年代がほとんど増えていない。したがって下働きさせられることになるのだが、上の年代(一般社員)は口で偉そうなことを言うが手は動かさない。給料が高い割にパフォーマンスが非常に悪く、人の給料のために自分が働かされているような気分を味わっていた。2つ目は、自分の10年後をイメージするのに格好の存在であるはずの職場の10歳程度上の人たち。仕事面、生活面を見ていてその人たちのようになりたいと思わないのだ.... 
結局今のまま働いていてもハッピーにならないのではという失望感がある。かといって転職するにしても、昭和的価値観をもつ企業では同じことであり、行くとすれば外資系もしくはベンチャー。その場合、一時的には成功といえる転職ができるかもしれないが長い目で見た場合の安定感には欠けるように感じる。
結局のところ自分も無意識のうちに昭和的価値観に染められており、いまだ年功序列のレールがつながっているような気がしているのだろう。さながらタイタニック号のような巨大客船であれば沈没することはないだろうといった感覚か...
だからなんとなくこのままではいけないと思いつつもハイリスクハイリターンの道に踏み出せないのだろう。おそらく10年後にははっきりといているのだろうが...

著者は東大法学部を卒業後大企業の人事部門に勤務するといういわゆるエリートコースを歩いてきた人間だ。彼の作品はほかにも読んだことがあるが、すごく文章表現がわかりやすい。しかも問題の本質を論理的に説明し、その解決策まで提案する。まだ30代前半ということもあり若者の視点から社会をみることができ、若者代表といった感じだ。
現在の生活に疑問を感じている若者にぜひとも読んでもらいたい良書である。

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