痛くない注射針を作った岡野氏の著書。
この人最強だ! 技術、マインドともに図抜けている。
極細の注射針をはじめ世界初となる製品をいくつも作る技術を持っているだけで十分すごいのだが、本書のテーマはその技術力ではなく「世渡り力」。職人といえば、無口でまじめに仕事に取り組むというイメージがあるのだが、著者は違う。いかにして持っている技術を生かすために人付き合いをするかといったことが書かれている。
必要な情報を手に入れるために日頃からの付き合いを大切にしようとか、人と同じことをするのではなく世界初のものにこだわるとか、たとえ零細企業であっても大企業と対等にわたりあうという考え方がすばらしい。どこかのマインド本にも似たようなことは書いてありそうだが、本書では著者の実体験をもとに書かれているので説得力が違う。
以下、印象に残った箇所の抜粋。
まずは、貴重な情報を入手するために普段の付き合いについて。
もう一度、言っとくよ。ほんとに貴重な情報ってのは、あらたまった場で出てくることはまずないね。打ち合わせをしましょう、なんてときは、その話に終始するもんだから、情報の「ポロリ」はないんだ。酒でも飲んで、ワイワイガヤガヤやってるときに、「そういえば、この間A社に納品に行ったときに、ちょっと耳に挟んだけどさ・・・」なんて極上な情報が出てくるわけさ。たしかに自分の経験でも貴重な情報は昼の打ち合わせではなく、夜の飲み会で聞く。しかも人間関係も夜築かれる気がする。
勝負はふだんから人づきあいにどれくらいお金を使っているかだ。情報が欲しいときだけ、「こんちは」と来るヤツに、重要情報をくれる人間がいるか?いっこねぇだろ。その時とくに仕事がなくても、話をしに行ったり、一杯奢ったりする。情報網はそうやってつくるしかないんだよ。
スキは愛嬌なんだよ。「あのヤロウ、バカだねぇ」と思うから、何か言ってやりたくなるんだし、「あいつ、しょうがねぇな」と感じるから、何かしてやりたくもなるんじゃないか、そうだろう?たしかにその通りだが、なかなかこのあたりは実践するのが難しい。
「ありがとうございました」、「ごちそうさまでした」を四回も言ってみなよ。こんなご時世だから、相手は感動だよ。「あいつ、次もまた誘ってやろう」ってことに必ずなる。そうやって、情が通ったつきあいが深まっていくんだよ。
一度受けた恩は一生のものだと思うね。世話になったのが一回こっきりだとしても、その人が自分のために何かしてくれたって事実は、消えてなくなるわけじゃねぇんだよ。だから、感謝の気持ちにだって終わりはないんだ。このあたりの考え方はなかなか現代っ子には難しいところではあるが、逆にこのあたりが差別化になるのだろう。
子供の頃から、「お金は使え!」って教えなきゃダメなんだよ。つきあいを大切にして使うお金、人を楽しませるために使うお金に、無駄なんてことはありゃしねぇんだ。全部、生きた使い方だよ。ここは学校や一般社会で教えるのとは逆。しかしこういう考え方をしないと緻密な人付き合いはできないよなぁ。
自分の仕事は安売りしちゃダメなんだ。そのためには、人にできないことをやらなきゃな。誰でもできることなんてのは、相手の言い値でやるしかなくなるんだよ。できないことだから、値段を自分でつけられるんだ。
自分を高める、レベルアップするには、どうすればいいかなんて考えることがあるだろ。これはもう決まっているんだ。一流のものを見ること、一流に接することだね。一流を知らなきゃ、進歩なんかねぇよ。
人より先につくって、早く儲けて、見切りどきを間違えないでやめる。まさに「見切り千両」、世渡り力をたっぷり学んだ、俺の商売の鉄則だね。ここは仕事に対する考え方。誰もやっていないことに取り組むことにより差別化を図り市場価値を高める。そしてその技術が時間とともに陳腐化しそうになってきたら早めに売ってしまう。
すばらしい考え方だ。
仕事で一流を目指す人にはぜひとも読んでもらいたい1冊。

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