読書感想文

新刊、休刊、文学、専門書。
あらゆるジャンルの書籍について読書感想を書いていきます。
得意分野: IT関連技術書、ミステリー小説、ベースボール


2008/04/19

リッツ・カールトンで学んだ仕事でいちばん大事なこと

リッツカールトンといえば顧客満足度が高いことで有名だが、著者はリッツカールトン大阪の元営業統括支配人。

まず一番驚いたのが著者の経歴。リッツカールトンの幹部だから、きっと留学してホテル学科を卒業しそのあとは欧米の高級ホテルに勤務して....というような国際派エリートをイメージしていた。しかし実際は高卒でホテル勤務経験なし、しかも英語がしゃべれない。
それでよく採用されたと思うのだが、著者いわく大阪に多くの人脈があったかららしい。

本書は前半がリッツカールトンでの経験、後半は著者が考える魅力的な人物の作り方となっている。

まずは前半部分。
キーワード1: ノーといわない
リッツカールトンの接客の特徴は「ノーといわない」ことだそうだ。満室の状態で予約の電話が入った場合、普通であれば満室だから無理(=ノー)と答えるところだが、リッツカールトンではこのホテルは満室だが、差し支えなければ近くのホテルの空き状況と料金を聞いてご連絡差し上げますと回答するらしい。
たしかにすごい。普通はそこまでは言わない。

キーワード2: 感動を与える
ミスやトラブルはopportunityと呼ばれ、お客様との新たな関係性を図る機会と考える。そして、全スタッフが20万円までの決裁権をもっており、上司に相談することなくその場でお客様に対応できる。
テレビ番組の特集で見た話だが、費用はトラブルが起こった時だけに使うのではなく、宿泊客が誕生日と知ればケーキをプレゼントするといったサービスにも使えるようだ。たしかにそういうサービスをしてもらうなら客は感動するかもしれない。ただ、採算としては問題ないのかという話が気になるのだが、リッツカールトンは上位5%の富裕層をターゲットにしており、感動を与えてリピーターになってもらえれば十分利益を出せるという考えなのだろうと想像する。

キーワード3: 従業員の意識統一
従業員全員がクレドに基づき行動する。
クレドとは信条や経営哲学のたぐいのことで、どういう方針で仕事をするかといったことが書かれたもの。
リッツカールトンの場合は、書かれた方針をいかに自分の職場で実践・浸透させていくかに力をいれているため、接客で即座に判断が必要な場合など上司に相談せずともクレドに基づき自分で判断できる。
日本の会社でも経営方針を壁にはったりカードにしてもたせるケースはあるが、単なるお題目ととらえ真剣に意識して行動する人はほとんどいないのではないか。。

後半部分で印象に残った点。

組織・グループは逆ピラミッド型にすればうまくいく
お客様が一番上にいて、それを支えるのが現場のスタッフ。その現場のスタッフを支えるのが幹部社員、そして一番下のピラミッドの頂点は全責任を負った社長という考え方。
すばらしい。そういう意識の幹部がいるところで働きたい。

人間関係ができていれば理屈ぬきで人は動く
人間には感情があるので、理詰めの指示だけでは人は動かない。組織は理屈ではなくハートで動かす。
たしかにそのとおり。普段からの人間関係ができていないと人は離れていくし心から納得してやっていないのでミスも多くなるだろう。

これ以外にも、後半を読むとためになることがいっぱい書かれている。そして、著者が20代の頃からものすごく自分を磨いていたことがよくわかる。
社会人にも学生にも是非読んでもらいたい一冊。


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2008/04/13

内部統制で現場の仕事はこう変わる

サブタイトルは「日本版SOX対応を業務別にやさしく解説」。

日本版SOX法について全く知識を持っていなかったのだが、2008年4月よりスタートしたということもあり読んでみた。
一般に法律がらみの解説書では、1.法律本文、2.法律本文の解釈、3.実運用、現場での影響の3種類がメインになるが、本書では3が中心である。今まで全くこの法律について知識がなかったため、1と2を読んでから3を読んだ方が理解しやすかったような気も若干する。この本のコンセプトは3なので、1と2から入りたい人はまず別の本で知識を得た方が良いかもしれない。

日本版SOX法の対象は上場企業であり、粉飾決算などの不正会計の防止を目的にしていると理解した。考え方としては、業務の流れや管理の仕組みを文書化し、その仕組みに沿って運用がなされているかどうかのチェックをすることになるのだろう。
当然不正防止のための仕組みとして、申請者と承認者の権限を明確に分け単独で不正を働けないようにする必要がある。

経理や財務といった部門の仕事に精通しておらず、前半はあまり理解できなかった。
後半のIT全般統制はなんとなくイメージはつかめたが、実際に運用するのはかなり厳しいのではないか。たとえばセキュリティ管理者、ユーザ、開発担当者の分離というのは結構困難で、開発者であれば自分のアカウントを作成して動作確認するであろうし(ユーザとなれる)、アカウントの作成やパスワード変更などのプログラム開発者は容易に新しいユーザを作成したりパスワードを変更したりできる(セキュリティ管理者)だろう。さらにDBの値を書き換えることもできる。つまり私の感覚だと、開発者であればその気になれば金額の書き換えや架空計上など可能であり不正を行える。
開発者の権限を少なくして不正を防止するという考え方はあるが、それをすると開発効率が落ちる。2重チェックにして開発者の作業を上司が承認する形になるのであろうが、なんとなくきっちりしたチェックはできないような気がする。開発要件の仕様段階でのチェック、動作確認テストの内容と結果の保持、そして最終的な開発結果の承認と厳密にチェックすることが必要になるだろう。

企業で働いている人にとって「内部統制」はこれから重要度を増すキーワードなので、知識として持っておくことは決して損にならないだろう。

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2008/04/12

週刊ダイヤモンド 2008/2/16

特集記事は「マンションが危ない!」。

同じような時期にプレジデントでも「住宅・土地選び」の特集をしていたが、週刊ダイヤモンドはマンションに特化し、かつ購入よりもその後の管理についての記事が充実していた。
「マンションは管理を買え」と言われるが、住民自らが考えて交渉していかなければ必要以上に管理費を払わせられるということがよく伝わってきた。管理会社の顧客満足度ランキングも掲載されており、分譲マンション居住者は非常に参考になるだろう。
マンション購入編では新築物件のランキングが掲載されている。このランキングが10年後にどうなっているか興味がある。ちなみに東京都下での1位はルフォン吉祥寺、神奈川での1位はプラウド横濱ヒルトップとなっている。

マンションの特集とは別に、もう1つ気になった記事があった。
「PHSのウィルコムが主役の座に躍り出る日」という特集だ。
次世代高速無線データ通信用の2.5GHz帯電波の免許が与えられたことにより、一気に飛躍するというのだ。PHSは電波が弱く、その分基地局の数が携帯網に加え格段に多い。2.5GHz帯の免許取得によりこのインフラ網を利用して、次世代PHSでは試験サービスでデータ伝送速度が20Mバイト/秒まで向上するらしい。この高速通信により移動体通信として一気に躍り出るというのだ。
2.5GHz帯の免許取得により本当に飛躍できるかどうか疑問な点もあるが、ウィルコムの姿勢は前々から評価していた。ウィルコムの技術者はKDDIに戻るかウィルコムにとどまるかの選択肢があった中で、ほとんどウィルコムにとどまったという。技術者がいたいと思えるような環境であるならば何かイノベーションを起こしてくれるかもしれない。

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