読書感想文

新刊、休刊、文学、専門書。
あらゆるジャンルの書籍について読書感想を書いていきます。
得意分野: IT関連技術書、ミステリー小説、ベースボール


2008/06/25

Googleを支える技術

BigtableやMapReduceといった名前だけ聞いたことのある技術について概要が理解できたのでよかった。と同時に、Googleに恐ろしさを感じた。特に後半のデータセンターの話を読むと、5年後の日本のインターネット業界が不安だ。

前半は検索エンジンの仕組みからはじまり、分散システムの技術(GFS、Bigtable、Chubby、MapReduce、Sawzall)についての解説がなされている。このあたりはGoogleの論文からの解説が中心であるが、日本語でわかりやすく概要を説明しており、英語の論文を読むよりも効果的に理解できた。
障害対策としてRaidを採用せずにソフトウェアでのアプローチをしているあたりはおもしろい。また、世間では電力効率化のためにxenなど仮想化技術による集約化の流れにあるのだが、Googleに関してはとにかくマシン数を増やすばかりで仮想化については考えていないように本書では感じられた。CPU負荷、ディスク容量がおいつかないから仮想化には向かないのだろうか。

後半では運用コストやデータセンターの話がでてくる。
本書によると、2007年時点でのGoogleのマシン数は50万台程度。それだけでもすごいのだが、2006年以降数百億円規模のデータセンターを複数建設しているという。例えばオレゴン州ダレスのデータセンターはサッカーグラウンドほどの建物が2つで、設置可能マシン数は推定64万台。とんでもない大きさのデータセンターであるが、このような規模の建設中データセンターが本書では5か所紹介されている。
しかも、それぞれの設置場所は水力発電所や原子力発電所などの近くで、安価でかつ安定的に電力を調達できるという。
日本で5年以上前に建造されたデータセンターは、スペースは余っていても電力がいっぱいというケースが多いのだが、そのあたりは見越した上での建設なのだろう。当然電気代は莫大になるので、太陽光発電の研究などもおこなっているようだ。

前半の分散技術と後半のデータセンター建設によるマシン台数の大幅増強。これらを利用して当然検索精度の向上もされているのだが、私にはもっと脅威に感じることがある。

本書では触れていないのだが、GoogleはGoogle Apps や Google App Engine などによるホスティングサービスも提供している。
通常自社でサーバを構築しサービスを行う場合、事前にどの程度のアクセスがあるか予想してサーバ台数やネットワーク構成を決める。しかしいざサービスを稼働すると予想以上にアクセスが多く負荷に耐えられなくなるといったことはよくある。そうなるとサーバや回線の増強という話になるのだが、稼働を始めてから変更を加えるのは手間がかかる。その点Googleでは負荷分散技術と膨大なマシン数により、負荷が増えても簡単に対応できる。
また季節限定で一時期だけ多数の負荷がかかるようなケースでも、Googleのサーバを利用していれば簡単に調整できる。しかも、低額かつ迅速に。

つまり、自社でサーバを構築したり日本のシステムインテグレータに構築を頼むよりも、Googleのサービスを利用したほうが便利なのだ。例えば、ライブドアKDDIといったサーバやネットワークについての高度なスキルをもっている企業でも実際にGoogle Apps を選択している。

このことは日本のIT企業、特にシステムインテグレータは十分考慮にいれておかなければならない。
数年後には顧客をごっそりGoogleに奪われている可能性がある。
分散システムによる耐負荷サーバとSaaSによる迅速なサービス提供。これらに負けないための仕組みが必要であろう。

そして、今後は小さなシステムは淘汰され、Sun MicrosystemsのCTO Greg Papadopoulosの言うように、世界には5つのシステムでことたりるような時代へと進む予感がする。要は自分でハードウェアを用意せずに、Googleのような大規模システム(クラウド)を利用してシステムを構築する時代になるのだ。

amazonはGoogle App Engineよりも先にクラウドシステムを提供した(amazon EC2)。そして、ビジネス向けではSunとIBMが着々とクラウド化を進めている。

クラウドシステムには多額の費用がかかるため、日本市場だけでなく世界市場を視野に入れた上で戦略的に策を練る必要がある。しかし、それを行える企業が日本にあるか。。。
日本語が参入障壁になっている日本市場では、システム構築+事務作業を一括に請け負うアウトソーシングという形態でやっていけるかもしれない。しかし世界を相手に戦うのは今の日本企業には難しい気がする。。。

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2008/06/24

ETF投資入門

投資の話は疎いのだが、なにやらETFがよいらしいという話を聞いて読んでみた。

ETFが何かすら知らなかったのだが、証券取引所に上場されている投資信託であると理解した。
上場されているのでネット証券でも簡単に売買でき、かつ手数料も通常の投資信託よりも安い。
すなわち低コスト、高流動性。

例えば、日経平均に連動するよう構成されたETFの場合、個別企業の分析は不要で日経平均が上がるか下がるかだけ考えて売買すればよい。
そうはいっても日経平均の変動程度では大してもうからないから、3倍ぐらいに急騰するような企業の株を購入したいと(企業分析を全くしていないにもかかわらず)思ったのだが、統計によると、個別の企業に投資するよりも日経平均に追従するようなリスク分散型の投資の方が利益を出す確率が高いらしい。

このように、アクティブ型の投資信託が日経平均株価やTOPIXのようなベンチマークを上回る確率はあまり高くありません。言い換えれば、市場の平均値(インデックス)以上のパフォーマンスを達成するのは相当困難なのです。
配当もでるようだし、少しリスクを背負って勝負したい場合は上海株式連動型のETFもあるようなので、そういう選択をするのも良いかもしれない。

なにより、1企業の場合は倒産の危険があるが、ETFの場合はそれがないのも安心である。

具体的な投資法として、ドルコスト平均法などの説明があり、心理面の解説も掲載されているので投資初心者にお薦めの1冊。

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2008/06/14

おもてなしの経営学

著者は人気ブログ Life is beautiful でおなじみの中島聡氏。

3章から構成されており、1章はブログエントリを引用しつつ「おもてなし」というキーワードでアップルやYouTubeを分析する。2章は「月刊アスキー」のコラムからの引用。3章は西村博之氏、古川亨氏、梅田望夫氏との対談となっている。

まず、全体を読んで驚きはマイクロソフトでこれだけ活躍していた日本人がいたのかということ。アメリカでWindows95やIEの開発に主要メンバーとして関わり、日本人として唯一トップランク200人のエンジニアだったというのだからすごい。
そして、40歳を過ぎて自分で会社を立ち上げてもまだ一線のエンジニアとしてプログラムを書いているというのもすごい。技術者のロールモデルになれる人だ。

3章の対談に関しては、古川氏とは昔を懐かしみ同窓会のような雰囲気、梅田氏とは同年代かつ同じ海外在住者として分野は違えど共感する部分が多いといった内容になっている。ひろゆき氏との対談は若干噛み合っていないような感じがした。個人的には古川氏との対談で、昔のアスキーやマイクロソフトでの働きぶりなどが紹介されておりおもしろかった。

日本という小さな枠ではなく、世界に通用する作品を作りたいという気持ちが大きくなった。
また、単に技術的な能力だけでなく、ビジネスモデルも含め自分でプロデュースする人間になりたいと思った。

すべてのビジネスマン、とくに現状の環境に違和感を抱いている技術者に特にお勧めの1冊。

以下は特に印象に残った箇所の抜粋である。
床屋の満足
語源は、筆者の名前は忘れてしまったが、大昔に読んだエッセイである。そのエッセイの筆者は、「いかにも床屋に行ってきました」という髪形をして人に会うのが恥ずかしいので、いつも床屋さんに行くと、「床屋に行ったばかりとはわからないようにしてくださいね」と頼むのだそうだ。しかし、ほとんどの床屋がそのリクエストを無視して、「いかにも床屋に行ってきました」という髪形にしてしまうらしい。彼は、床屋さんにとっては、お客を「いかにも床屋にいってきました」というさっぱりした髪型で店から送り出すことが仕事の充実感・満足感を与えるとても大切な要素となっている、と結論付けていた。このエッセイを読んで以来、私は心の中で、これに相当する行動パターンを「床屋の満足」と読んできた。
英語の勉強だけはいくつになってはじめても遅くはない。学生であれ社会人であれ、まずは(多くの人が不得手な)英会話から初めて、英語の論文なりブログなりで、できるだけ多くの英語に触れる努力をすることを強くおすすめしたい。知識労働者にとって、日々自分の人材市場での価値を高めることに努力することは、すなわち「職場を選ぶ力を得る」ことに直結する。終身雇用制が崩壊しつつあり、誰にでもできる簡単な労働は知識労働ですら海外にアウトソースされようとしている昨今、自分の価値を高めて「職場を選ぶ力を得る」ことは、ますます大切になっている。その意味でも、世界規模で見た人材市場での価値に直結する英語力を持っておくのは、必ずプラスになると断言できる。
あるエンジニアの人に、仕事人にはふたつのタイプがいるという話を聞いたことがあるんだ。「上を見て」仕事をするタイプと、「天を見て」仕事をするタイプ。城氏の顔色や直近の自分の損得だけで動くのが「上を見て」仕事をする人。「天を見て」仕事をする人は、会社や上司のためではなくお客様のためにいい仕事をする、この技術が未来につながるとか社会的に必要だという美学を貫き、自分の信条を持って動く。
でも今はマイクロソフト、というかIT産業全体に言えることかもしれないけど、何か新しいことをしようとすると「本当にそれでいいのか」と、自分は生産的なことにかかわらないのに他人のブレーキを踏むような人たちが多い。もっと多くの人に使ってもらうだとか、会社をさらに大きくするとか、代案としてこちらのほうが絶対に優れていると証明できるようなものをもちあわせているならいいけど、単にお前が目立つのが嫌いだとか、お前に決められるのが面白くないという理由だけで足をすくう人たちばかり。

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2008/06/08

最強のメジャーリーガーベスト105人

メジャー30球団の簡単な歴史紹介と球場分析、そして各球団の看板選手のフォーム分解写真と解説がついている。
フォームの分解写真と解説がかなりよい。月刊誌でフォームの分解写真が掲載されることはあるが、たいてい数人程度だ。105人分というのは本当にすごい。そして解説がかなり的確だ。

選手の分解写真を見てからメジャーリーグの中継を見ると、新たな楽しみがあるだろう。

分解写真を見て気付いた日本の野球選手との違い。

投手については前足を胸付近まで高くあげる選手が多い。足を高くあげることによって軸足に体重をのせきっているのだろう。

バッターについては、打点を体の近くにおいている選手が多い。そして、グリップはあらかじめトップの位置において構え、ステップは小さめ。
手元で変化する球に対応するため、あらかじめ打つ準備を整えてできるだけひきつけた上で最短距離で打つということだろう。体が大きくパワーがなければこのようなスイングは難しいので一概に真似はできないが、参考になる部分はあるだろう。

野球をやっている人にお薦めの一冊。

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2008/06/06

あなたもいままでの10倍速く本が読める

本が速く読めるというフォトリーディングに関する本。
私は本を読むスピードが遅いので、速読がしたいと思って読んでみた。

他の速読法とは違い、右脳を利用して写真を撮るようにページをイメージとして脳に保存する方法と理解した。なんとなくよさそうな気はするが、この本だけではその方法をマスターするのは難しいだろう。

目の焦点を本よりも遠くに合わせることにより、ぼぉっとした感じで本を見るらしい。しかし目の動かし方やどの程度見てからページをめくるのかといったあたりについてはよく理解できなかった。ぼぉっとした見方についても文字が読めるまでには至っていない。

マスターするには講習会に参加しないとだめなのだろう。

フォトリーディングがどんなものであるか概要を知りたい人にお薦めの書籍。

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