読書感想文

新刊、休刊、文学、専門書。
あらゆるジャンルの書籍について読書感想を書いていきます。
得意分野: IT関連技術書、ミステリー小説、ベースボール


2008/09/28

影響力の武器

アメリカの心理学者が書いた人の態度や行動を変化させるための方法。心理学の実験に基づき導き出している法則であり、かなり参考になる部分がある。
たとえば、どうすれば人にものを買ってもらえるのか、どうすればイエスといわせられるのかといったことが書いてある。

ある男性がファッショナブルな店に入って、三つ揃いのスーツとセーターを買おうとする場面を考えてみましょう。もしあなたが店員だとしたら、そのお客の財布の紐を最大限ゆるめさせるために、どちらの品を最初に見せるでしょうか。洋品店では、このような場合、高い品物の方を先に買わせるように店員を指導しています。常識から考えると、逆のような気がします。スーツを買うために大金を支払った直後には、セーターを買うためにまた多くのお金を払おうとはしないのかもしれません。しかし、さすがに洋品店の方がよく知っています。彼らはコントラストの原理に見合うように振る舞います。つまり、スーツを先に買わせます。次にセーターを選ぶ壇になると、どんなに高いものでも、スーツに比較すればさほど高くないように感じてしまうのです。
たしかに大きな金額の買い物をしたあとは金銭感覚がくるってきて少額のものはあまり迷わず買ってしまう。
一つ私がすぐに気がついたことは、新しい客に住宅を見せるとき、フィルは必ず魅力のない住宅から始めるのです。このことを尋ねると、彼は笑いながら次のような説明をしました。これらは、彼らが「セットアップ」物件と呼んでいるものだったのです。その会社は、リストのなかにボロ屋を一つか二つ高い価格をつけて入れておきます。これらの住宅は客に売るためではなく、ただみせるためだけにあります。これらと比較すれば、会社の商品目録のなかにある本当の住宅がとても良いものに見えるからです。
比較してみてしまうので、たしかに後者は実際よりも魅力的に見えるだろう。
これと同じような手口で、人にものを頼みたいときにまずは必ず拒否するような大きなお願いをして、拒否されたあとに本当に頼みたかったことをお願いすると前者との比較で受け入れられやすくなる。特にこの場合はさきに一度拒否しているので、2回目の拒否はしづらい部分もあり、より受け入れられる可能性が高くなる。
逆に自分がそのようなテクニックで依頼を受けた場合は、これは悪意なテクニックを利用しているのだと割り切り、1度目の依頼に対して拒否したことに対して負い目を感じなければよい。そうすれば2番目の依頼に対して正常な判断を下せる。

彼は、予約係が電話を受けた時、「変更がありましたらご連絡下さい」ということをやめさせました。代わりに「変更がありましたらご連絡いただけますか?」と相手に尋ね、答えを待つようにさせたのです。これによって、店に現れない予約客の割合はすぐに30%から10%に減ったそうです。
なるほど。たしかにこちらから一方的にお願いするよりも、相手に自発的に言ってもらう方が効果は高くなるだろうなぁ。自分で言ってしまうのだから一貫性を持たざる負えないので。

類似性を操作することによって要請者が行為と承諾を得るもう一つの方法は、経歴や趣味が似ていることを強調することです。たとえば、車のセールスマンは客の下取り車を調べている間に、類似点の手がかりを探すように訓練されています。
たしかに、同郷だとか応援している野球チームが一緒だったりすると親近感がわくなぁ。
これの応用としては、同一の敵をつくってしまえば仲良くなれることがある。たとえば趣味も感性も違う同僚がいたとして、特に仲良くはない状態なのだが、気に入らない上司の文句をお互いに言い合うことで意気投合するということがある。このあたりは頭の使いどころだと思う。
アメリカと中東のある国が憎み合っている場合でも、共通の敵を作ってしまえば仲良くやれるのではないか。たとえば環境問題のようなお互いの将来にとって重要な問題を仮想敵にしてしまえば、Co2削減といったことで協力し関係を改善できるのではないかと考える。まぁそんな簡単な話ではないのだろうが。。

販売業をしている人はもちろん、それ以外の人にもお薦めしたい1冊である。

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2008/09/24

「1日30秒」でできる新しい自分の作り方

スポーツ選手が試合で自分の精神面をコントロールするためにイメージトレーニングをしていると聞く。また桑田選手のようにボールに話しかけることにより自分をコントロールする例もある。
このようにスポーツ選手に見られる自己コントロール法を一般の人にも知ってもらい、実力発揮/ストレス軽減につなげてもらいたいというのが本書の内容である。

著者によると、心には4つのサイクルがあるらしい。
1. 刺激
試合がある、プレゼンがあるといった状況
2. 評価
思考のフィルター。刺激に対してどう考えるか。たとえば試合に負けたらどうしようと考える(評価する)こと。
3. 感情反応
心の中に現れる状況。たとえばドキドキすること。
4. 身体反応
体に現れる状況。たとえば冷汗がでること。

本書では特に2.評価 の部分をどうやって健全な評価に変えていくかについて説明している。

著者がオリンピックのメダリストであり、現在はトップアスリートに対してコンサルティングを実施しているとのことで、一流選手がインタビューなどで話しているセルフコントロールと似ているところが多いと感じた。本書では、日常生活で使えそうな内容も多いので、非常に役に立つ。
スポーツ選手でなくても、普段の仕事で実力が発揮できない、ストレスがたまっているという人にはぜひともお薦めしたい一冊。

以下は特に参考になった箇所の引用。

まだ始まってもいない未来に不安になる人のためのセルフトーク
 未来はまだ始まってもいない。今ある一瞬を大切に過ごすことで、未来のすべては変わる
 今できることに集中!
クリップ法で自分のマイナス思考に気づく
家を出て会社に行って、帰宅するまでの間、左ポケットにクリップを入れます。そして自分で自分のことを卑下してしまったり、自分を落ち込ませるような思考をしてしまった時に、クリップを右に移していくのです。
他人をほめまくる
最初のうちは、意識的に頑張らないと、ほめるところが見つからなくて、疲れるかもしれませんが、続けていると「人の良いところ」を見つける達人になることができます。
 結果的に、「自分に対しての見方」も変わってきます。
寝る前の「ありがとう」
 これは、「寝る前に必ずありがとうと言う」と決めることで、自分の1日を意識的に振り返り、「今日の出来事の中で、自分にとって良かったことを探す」という簡単にできるポジティブトレーニングです。
一瞬で心を変える「輪ゴム」テクニック!
用意するものは輪ゴムだけ。まず輪ゴムを自分の片方の手首にはめます。そして、何か悲観的なこととか、どう建設的に考えても何も解決策が生まれないようなことなどを考えはじめて悶々としてしまった時などに、自分の手首に輪ゴムで「パチン!」と痛みを与えます。
 「痛い!」と感じると同時に、「この痛みをきっかけに無意味な悶々はストップする!」という思考を習慣にさせてしまうのです。
 ぜひ「おい、自分。しっかりしろよ」と背中を叩くようなイメージで、輪ゴム法をためしてみてください。

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2008/09/14

ウェブアプリケーションセキュリティ

タイトル通りウェブアプリケーションのセキュリティについて書かれた技術書。
約500ページのボリュームにも驚くが、内容も十分に濃い。
特にSQLインジェクションに関する章には驚かされた。MQL Server、Oracle、PostgreSQL、MySQLについてそれぞれセキュリティ上の特徴をあげ、どのように攻略していくかをこと細かく書いているのだ。
ウェブアプリのプログラムを行う人は、この章を読むだけでも十分勉強になるだろう。

著者の長所は、単にコンサルタント的にセキュリティ脆弱点を解説するのではなく、自身がプログラムを書いているのでプログラマーの視点からも解説できる点。しかも自身で作成したWAF(Guardian@jumperz.net)でセキュリティ観測もしており、どういう攻撃が来たかまで解説している。
言ってみれば、プログラマー、サーバ運用者、クラッカーの1人3役をこなしている。

XSSやCSRFなどの解説もあるのだが、個人的に気になったのはセッション管理。
Strictな言語でもPermissiveな言語でもSession Fixation には脆弱とのこと。たしかにStrictであっても攻撃者が取得したセッションIDをターゲットに使わせてしまえばStrictであってもダメだなあ。。。
対策としては、セッションの持つ価値が変化する際(ログイン、カートに入れる、決済等)にセッションIDを変更することか。。。たしかにそうだがプログラム面倒になるなぁ。。。

UNICODE文字の16進数表示は次のURLで見れるのか。
http://www.fileformat.info/info/unicode/char/search.htm

本書はウェブアプリ構築・運用に関わる人に読んでもらいたい1冊。

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人生は勉強より「世渡り力」だ!

痛くない注射針を作った岡野氏の著書。

この人最強だ! 技術、マインドともに図抜けている。

極細の注射針をはじめ世界初となる製品をいくつも作る技術を持っているだけで十分すごいのだが、本書のテーマはその技術力ではなく「世渡り力」。職人といえば、無口でまじめに仕事に取り組むというイメージがあるのだが、著者は違う。いかにして持っている技術を生かすために人付き合いをするかといったことが書かれている。

必要な情報を手に入れるために日頃からの付き合いを大切にしようとか、人と同じことをするのではなく世界初のものにこだわるとか、たとえ零細企業であっても大企業と対等にわたりあうという考え方がすばらしい。どこかのマインド本にも似たようなことは書いてありそうだが、本書では著者の実体験をもとに書かれているので説得力が違う。

以下、印象に残った箇所の抜粋。

まずは、貴重な情報を入手するために普段の付き合いについて。

もう一度、言っとくよ。ほんとに貴重な情報ってのは、あらたまった場で出てくることはまずないね。打ち合わせをしましょう、なんてときは、その話に終始するもんだから、情報の「ポロリ」はないんだ。酒でも飲んで、ワイワイガヤガヤやってるときに、「そういえば、この間A社に納品に行ったときに、ちょっと耳に挟んだけどさ・・・」なんて極上な情報が出てくるわけさ。
たしかに自分の経験でも貴重な情報は昼の打ち合わせではなく、夜の飲み会で聞く。しかも人間関係も夜築かれる気がする。

勝負はふだんから人づきあいにどれくらいお金を使っているかだ。情報が欲しいときだけ、「こんちは」と来るヤツに、重要情報をくれる人間がいるか?いっこねぇだろ。その時とくに仕事がなくても、話をしに行ったり、一杯奢ったりする。情報網はそうやってつくるしかないんだよ。
スキは愛嬌なんだよ。「あのヤロウ、バカだねぇ」と思うから、何か言ってやりたくなるんだし、「あいつ、しょうがねぇな」と感じるから、何かしてやりたくもなるんじゃないか、そうだろう?
たしかにその通りだが、なかなかこのあたりは実践するのが難しい。

「ありがとうございました」、「ごちそうさまでした」を四回も言ってみなよ。こんなご時世だから、相手は感動だよ。「あいつ、次もまた誘ってやろう」ってことに必ずなる。そうやって、情が通ったつきあいが深まっていくんだよ。
一度受けた恩は一生のものだと思うね。世話になったのが一回こっきりだとしても、その人が自分のために何かしてくれたって事実は、消えてなくなるわけじゃねぇんだよ。だから、感謝の気持ちにだって終わりはないんだ。
このあたりの考え方はなかなか現代っ子には難しいところではあるが、逆にこのあたりが差別化になるのだろう。
子供の頃から、「お金は使え!」って教えなきゃダメなんだよ。つきあいを大切にして使うお金、人を楽しませるために使うお金に、無駄なんてことはありゃしねぇんだ。全部、生きた使い方だよ。
ここは学校や一般社会で教えるのとは逆。しかしこういう考え方をしないと緻密な人付き合いはできないよなぁ。
自分の仕事は安売りしちゃダメなんだ。そのためには、人にできないことをやらなきゃな。誰でもできることなんてのは、相手の言い値でやるしかなくなるんだよ。できないことだから、値段を自分でつけられるんだ。

自分を高める、レベルアップするには、どうすればいいかなんて考えることがあるだろ。これはもう決まっているんだ。一流のものを見ること、一流に接することだね。一流を知らなきゃ、進歩なんかねぇよ。
人より先につくって、早く儲けて、見切りどきを間違えないでやめる。まさに「見切り千両」、世渡り力をたっぷり学んだ、俺の商売の鉄則だね。
ここは仕事に対する考え方。誰もやっていないことに取り組むことにより差別化を図り市場価値を高める。そしてその技術が時間とともに陳腐化しそうになってきたら早めに売ってしまう。
すばらしい考え方だ。

仕事で一流を目指す人にはぜひとも読んでもらいたい1冊。

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2008/09/06

野村ノート

野村監督の本を初めて読んだ。
私の中では野村氏といえばヤクルト監督時代のID野球のイメージが強い。キャッチャー出身ということもあり緻密な分析をできる人だとは思っていたが、単にデータ分析にとどまらず、人間育成という観点からも選手を育成しているところがすごい。

こうした3つのテーマから生じる打者のタイプを、私はA、B、C、Dと4つにわけた。
A型= 直球に重点を置きながら、変化球にも対応しようとする。
B型= 内角か外角、打つコースを決める。
C型= 右翼方向か左翼方向か、打つ方向を決める。
D型= 球種にヤマを張る(このタイプは根拠を見つける努力をするとよい)。

このあたりは捕手としての視点であろう。確かにこういうことを考えながら野球を見ると新たな発見がありそうだ。

タイトルというと、私の持論に「3年で獲れなければ、幸運がないかぎりタイトルは獲れない」というものがある。
補足すれば、この3年というのはレギュラーになって3年ということだ。もちろん、なかには野茂や上原や松坂のように新人の年にタイトルを獲る者もいるが、王やイチロー、松井、落合らタイトルの常連となり、当たり前のようにタイトルを獲るような選手はみな、この「レギュラーに定着して3年以内」の法則に当てはまる。
これは意外だったが、結構あたっている気がする。古田選手のように1年目は2割5分しか打てなくても翌年には首位打者をとってしまうようケースのように、最初の3年で真剣に取り組んで飛躍できるかどうかがカギといったところなのだろう。

「野村くんと星野くんには決定的な違いがある。野村くんは詰めが甘いよ」
私は「4番を獲ってくれ」「エースを獲ってくれ」というだけで、実際に誰を獲ってほしいのかもいわなければ、FA交渉に積極的に乗り出して選手を口説いたり、長嶋監督のように選手の家の前まで出向いて口説き落とすことなどしなかった。いや、できなかった。
オーナーに「今の制度下でチームを強化するにはお金がいるんですよ」といいながら、「いくら出してほしい」「そのためには何億円いります」などといったことがない。
 外国人もせいぜいビデオを見るぐらいで、阪神監督の1年目などは、なぜなのかいまだに理由がわからないが、当時の球団社長や編成部長は獲得候補選手の名前さえ教えてくれなかった。私が知ることで何か不都合でもあるのか不満に思ったが、それでも監督権限で無理やり話させるようなことはしなかった。そういったことは監督の仕事ではなく、フロントの仕事だと思っていたのだ。
 だが、星野監督は違う。金本をみずから口説き、そしてフロントに伊良部を獲らせ、自身のもつパイプでトレイ・ムーアら外国人を獲得し、さらにコーチ、選手などチームの3分の1近くを入れ替えた。私が指揮を執っていた阪神とはまったく別ものといってもいい阪神タイガースをつくりあげた。
そうだったのか。18年ぶりの阪神優勝には星野監督の積極的な行動の賜物だったのか。
まぁ野村監督にしてみれば越権行為という気持ちもあり遠慮していたのだろうが、星野監督にしてみれば結果はすべて自分の責任になるのだから越権行為といわれようがやりたいようにやるといった気持なのだろう。
相手に動いてもらいたいときに、単に抽象的な要望をするだけでなくもっと具体的なところまで伝えるというのは実社会でも使えることなので参考になる。

在任期間中に逆指名を取り付けた鳥谷を含めれば、3年連続してドラフト戦略に成功した星野前監督と社会人選手をドラフトの下位指名した程度に終わった私は一見対照的かもしれないが、共通点もある。それは両者とも即戦力、つまり大学や社会人選手中心のドラフトを優先するということだ。
ドラフトで将来性のある選手よりも即戦力を好むという点はMLBオークランドアスレチックスのマネーボールと同じ考え方だ。またマネーボールではデータを重視しており野村監督のID野球と通じる点がある。
野村再生工場といわれ全盛期を過ぎた選手を起用することもマネーボールと通じる点がある。

野村監督の考え方とマネーボールの考え方には、同様の背景があるように思われる。つまり、潤沢な資金がないためにスター選手をそろえられないといったチーム事情が背景にあり、その場合にどうやって勝つかということを突き詰めていった上での理論なのではないかと思うのだ。

その他、野村監督は人間形成、組織運営といったことについて非常に深く考えていることが伝わってきた。おそらく野球界でけでなく、ビジネス界に進んでいても成功していただろうなぁと思った。

想像以上に野村監督の考えが深かったので、他の著書についても読んでみたいと思う。

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