副島隆彦氏の著作は初めて読んだのだが、非常に良かった。
というのも、巷ではややもするとサブプライムローンに端を欲する金融不安はもう解決に近づいているという風潮もある中で、本書はまだまだこれからひどくなるということを根拠を示しながら教えてくれる。
本書を読んでいなければ、金融危機を楽観的にとらえて一気に勝負しようかという勢いだった。兜の緒を締めさせてもらったという意味で非常に価値のある書籍だった。
ちなみに、本書で書かれている内容はリーマンの破たんなど大筋正しいように見えるが、現時点で2つ当たっていないものがある。ひとつはオーストラリアドルが安くなっている点、もう1つが巻末に書かれている恐慌の時代に強い銘柄として描かれていた新井組が民事再生法を申請したこと。
この「海外の中央銀行や金融機関が保有している」160兆円(1.5兆ドル)の内訳はおそらく次のとおりだろう。160兆円もあれば当分アメリカは復活できないし、著者によるとこれらの金額は他国には1円も戻ってこないらしいので、他国もかなり影響を受ける。
中国が40兆円。日本が23兆円(本当はこの倍ぐらいの額があるのではないか)。サウジアラビアが30兆円だろう。さらにイギリスは10兆円で、これでゴードン・ブラウン首相が真っ青である。前述したとおりイギリスは、もう大恐慌(ディプレッション)突入だと大騒ぎしているのである。
フランスとドイツもそれぞれ10兆円ぐらいだろう。
この諸外国が保有する160兆円の内訳では、さらに中東のUAE(アラブ首長国連邦。アブダビをはじめ7つの首長国からなる)で合計5兆円。オーストラリアが1兆円であろう。おそらくイタリアとロシアは0円である。この2カ国はアメリカなんかには騙されないのである。大したものである。
オバマは、大統領2年目の2010年ごろには米ドルの切り下げ宣言を行うだろう。もっと早まるかもしれない。それは1971年8月15日の「ニクソン・ショック(ドル・ショック)」と同じようなものとなる。
この分だと円高ドル安はまだまだ続きそうだな。。。
この金の値段が、やがて今の2倍、3倍になってもまったくおかしくはない。だから私が繰り返し書いてきたとおり、実物資産の王者である金は、今からもっともっと高騰する。金1グラムは1万円になる。それには5年ぐらいしかかからないだろう。一時期よりも下がってきた金の値段(現在東京金は2500円)。10年前は1000円であったことを考えると、そのあたりまで下がれば確実に買いということか。
8月時点で、金地金は1オンス810ドルぐらいまで値下がりしている(一時は800ドルを下回った)。1000ドルを付けたのが嘘のようだ。だが、金は来年はやがてふたたび今年3月に記録した1000ドルを超してゆく。そして、2~3年かけて1オンス(31グラム)2500ドルまで上げていくだろう。
76~77ページに掲げた金価格のグラフを参考にしてほしい。日本国内での金価格は、値下がりして1グラムが2900円(小売りの値段ではなくて工業品取引所の価格=中値である)ぐらいになっている。7月には3300円台まで上げていたのだが、8月に入って下げ足を速めている。しかし、それでも金の国際価格が1オンス900ドル台から810ドルに下げたのに較べて、国内価格は非常に落ち着いている。それは為替が円安に動いていたためである。1ドル=109年で計算すると、約2900円になってしまう。1オンス850ドルを31(グラム)で割って、それに109(円)を掛ければいいのである。
これが円高(ドル安)に転じると、1グラム3000円を大きく割り込むことが予想される。そうなったら本当に金の買い場であると私は思う。
これからはオーストラリア・ドルとカナダ・ドルが強い。とりわけオーストラリア・ドルがもっともっと強くなるだろう。昨年の3月5日には1オーストラリア・ドル=89円だった。ところが今年7月22日には104円を記録している。その後100円台を割ったものの、長期的に見れば強くなっていくだろう。オーストラリアはウランや鉄鉱石その他の非鉄金属が出る資源大国である。政治も安定しており、これから先、日本人の資産家が資金を逃がす(移す)ならばオーストラリアであろう。本気で考えたほうがいいと思う。
現在1オーストラリアドルは62円。これに関しては著者の予想ははずれているなぁ..
それから今後、中国に何百基も原発を作って輸出するであろう東芝、日立、IHI(実質的にはこの3社はGEの子会社トリオである)にも注目すべきだ。この3社は注目に値するなぁ。特にIHIは現在株価100円程度だが、ここを耐えれば景気が良くなったときにどれぐらい上がるだろうか。
もっとはっきり書こう。巨大銀行のシティグループ(シティバンク)はあと3年で潰れる。証券会社最大手のメリルリンチも、リーマン・ブラザーズもモルガン・スタンレーも来年、再来年までには消えてなくなる。生き残るのはゴールドマン・サックスとJPモルガン・チェースとウェルズ・ファーゴ銀行などであろう。バンク・オブ・アメリカはかろうじて生き残るだろう。クレジット・カード大手で言えば、VISAとアメックス、ダイナース、マスターカードの大手4社は生き残るだろうが、それ以外は危ないものである。たしかにリーマン・ブラザーズは破たんした。そしてシティは株価が急落し結局政府が救済措置を行うことによって生き延びた。メリルリンチはバンクオブアメリカに買収された。
ここまでは著者の指摘通りにすすんでいる。あのシティがこんなにひどい状況であるというのはテレビの経済評論家からは聞いたことがない。この本を読んでいなければシティは安全と思っていた。
もっと恐ろしいことをここで予言しておこう。それでも10年以内の近い将来、おそらく中東で核兵器が1発か2発、破裂するだろう。この事態はある意味では避けられないものだ。人類というのはそれぐらい愚かな生き物である。そしてサウジアラビアで、今のサウド王家の打倒を目的とするイスラム原理主義革命が勃発するだろう。その時には原油は1バレル250ドルを突破するだろう。それがこれからの世界の冷酷な動きである。これは驚きだ。 著者にはいろんなコネクションがあり極秘情報が入ってくるのであろうが、核兵器か。。。。
