読書感想文

新刊、休刊、文学、専門書。
あらゆるジャンルの書籍について読書感想を書いていきます。
得意分野: IT関連技術書、ミステリー小説、ベースボール


2008/12/20

分析力を武器とする企業

オークランドアスレチックスの「マネーボール」を読んでいたので、だいたいのイメージはわかっていた。
いろいろな業種の分析力を武器にした会社の例が書いてあり、参考になる部分があった。
ただ、ちょっととりあげる会社の数が多く、深いところまで突っ込んだ内容ではなかったのが残念だった。

なにかを判断するにあたり、直感で決めるのかデータ分析して決めるのかというところは人によって考え方が違うだろう。
データはあてにならないから直感で判断するという人の場合、データの取得方法・取得精度に問題があると私は考える。私はデータ重視で判断する派だ。
現在のようにデータを数多く取得でき一般のPCでも分析できるこの時代では、個人でもデータ分析能力を磨いておくべきだと考える。

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2008/12/13

日本語が亡びるとき

12歳で渡米しアメリカで教育を受けながらも英語が好きになれなかったという著者が抱く日本語の危機。

1章ではアメリカの大学主催プログラムに参加する作家たちの描写が書かれており、いきなり引き込まれた。1台のバスには西洋人、もう1台のバスにはアジア人というように、自然にグループができてしまったというのはリアリティがある。

2章以降は、パリでの講演の話や近代日本での外国語習得の話などが語られている。
特に印象にのこったのは福沢諭吉。
黒船の来航によりこれからは蘭学を学ばねばならぬと思い、19歳で長崎に行き緒方洪庵のもとで蘭学を学ぶ。当時はオランダ語の原書が数えるほどしかなく、勉強するためにその原書を書き写していたという。
そんなことを寝る間も惜しんで必死の思いでオランダ語を習得する。

これだけでもすごいのだが、まだ先がある。

自分のオランダ語を試そうとして横浜にいくと、西洋人に自分の言葉が通じない。
それもそのはず、彼らは英語を話していたのだ。
今までの自分の苦労はなんだったんだと落ち込むものの、翌日にはもう頭を切り替えて英語の習得を決意する。そして実際に習得してしまうのだ。すごすぎる。

当時に比べれば格段に英語を習得しやすい環境にあるわけだが、それでもなかなか習得できない。
やる気の問題というかなんというか。。

現在は日本語で小説を書くよりも英語で書いた方が、読んでもらえる人口が圧倒的に多い。したがって有能な日本人作家は英語で小説を書いていくだろう。そのぶん日本語の文学作品の質は下がっていく。
また、インターネット環境の整備により、情報収集、発信のどちらにおいても英語が圧倒的有利な立場になっている。

そのような点を考慮すると、日本語は滅びて行くのではないか著者は憂慮する。

このあたりは日本のプロ野球を見ればわかる話だろう。
野茂選手がメジャー挑戦する前は、有能なプレイヤーは日本でプレーすることしか考えていなかった。それが野茂選手がメジャーで実績を残すと、イチロー選手、松井選手、松坂選手といった日本を代表するプレイヤーが続々とメジャーに流出し、日本プロ野球の質が低下した。さらには人気プレイヤーがいなくなったことでテレビ視聴率も低下し、野球経営者も苦労している。
このようなことが日本語においても起こるというのが著者の主張だと推測する。

著者は英語の世紀を見据え、とるべき方針として3つあるという。
Ⅰは、<国語>を英語にしてしまうこと。
Ⅱは、国民の全員がバイリンガルになるのを目指すこと。
Ⅲは、国民の一部がバイリンガルになるのを目指すこと。
ここで、著者はシンガポールなど他の国の例をあげながらⅢが良いと主張する。
平等主義で全員がバイリンガルをめざすには相当なお金と時間がかかる。学校での英語授業を増やすということは他の教科、とりわけ国語を減らすことにつながりよくないというのだ。

個人的には全員をバイリンガルにする必要はないが、少なくとも全体的なレベルの底上げは必要だと考える。
思うに、現在の学校教育での問題点は発音軽視と外国人とりわけ欧米人に対するコンプレックス。
これらを克服するため、小学校で英語を導入し、ネイティブを教師とする。そして小学校の間はとにかく発音を教える。今の学校教育ではrとlの区別がなければvとbの区別もできないような教育を行っているが、正確な発音ができるようになれば、単語を覚えるときに意味だけでなく発音も正しくできるようになるのだから効果が高い。
中学・高校では英文法の時間だけ日本人教師。それ以外はネイティブが教える。そして、古文・漢文の授業はやめてその時間を英語にあてる。
これだけやれば結構英語力の底上げはできると思う。
まぁ、ネイティブ雇うのに結構金はかかると思うが、現状の中高6年間の英語授業がほとんど役にたたないというのよりはよっぽどましだろう。

アメリカの凋落により、将来的にはドルが通貨基軸でなくなる可能性があるかもしれない。しかし英語はこの先も普遍語として使われていくだろう。10年も経つと隣の席でインド人が仕事をしているかもしれないし、インターネットのビデオ会議で日本にいようが英語でビジネスを日常的にやることになるかもしれない。もう英語は避けられないんだという気持ちで真剣にとりくもうと気持ちを新たにした。

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2008/12/01

サブプライム後の新資産運用

著者は2005年からアメリカの住宅バブル崩壊と石油高、商品高を予想していた中原圭介氏。
単に株価のテクニカル分析をするのではなく、歴史や心理学も考慮にいれた分析を行っている。

全体的な感想としては、サブプライムはまだまだ底ではないし、将来的には少子化などで日本も弱っていくという印象をもった。

何をチェックすれば株価の変動が予想できるかといった内容がまとまっており、非常に参考になる。
また、株は長期で持てば必ずもうかるといったことに真っ向から否定しているあたりは共感できる。

基本的には、株式と債券、株式と商品はトレードオフ(片方の価格が上昇すれば、片方の価格は下落すること)の関係にあります。
 ここ数年で、世界同時株安といわれる事態が数回起きていますが、そのときは世界の投資資金が株式市場から債券や商品市場へと怒涛のごとく流れました。株価と債券、商品の各指数の値動きを見ると、その相関関係がよく見えてきます。
なるほど、サブプライム発覚後に株式への投資マネーが原油に流れたので、原油価格が急騰したのか。

先行指標として、アメリカの原油先物相場(WTI原油先物相場)の動向を把握しておけば十分だからです。
 商品相場の中でも、原油が他の商品よりも早めの動きをする習性があります。

たしかに、原油が高騰したのを追いかけるように金や小麦などが上昇し、原油が下がるとそれに追随している。チャートはここで見れる。

商品市場は株式市場や債券市場に比べてあまりに小さく、株式市場や債券市場から資金が一部だけでもシフトしただけで、商品相場は大きく押し上げられてしまいます。
 現物市場の価格形成に大きな影響を与えているアメリカの原油先物市場がはるかに小さい市場であることも、ここ数年の原油や金の高騰の原因になっています。
なるほど。規模が小さいからちょっとした資金で一気に高騰するのか。。。

アメリカの中長期の景気を予測するうえでの注視しておきたい経済指標は、雇用統計とISM製造業景況指数の2つになります。
日本の経済を予測するうえで注視しておきたい経済指標は、日銀短観の1つだけで十分です。
こういう指標を教えてくれるのはありがたい。これから注目しようと思う。
ちなみにアメリカ雇用統計ISM製造業景況指数日銀短観

国家破産に対して、外貨を持つことが最大のリスク回避となります。
まぁ現在は円が全面高の状態だが、長い目でみれば(特に対ユーロで)円安の流れということであろう。

スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)ではBBB以上、ムーディーズではA以上の格付けが与えられていれば、破綻する可能性はないと見て大丈夫です。
このあたりは、若干「恐慌前夜」と異なっている気がするが....

基本的には、二国間の通貨の金利差が拡大傾向にあるときは、金利が高い通貨のほうが買われやすく、金利差が縮小傾向にあるときは、金利が低い通貨のほうが買われやすくなります(金利差が変わらないときは、どちらの通貨が買われるのかは、この要素だけでは判断できません)
最近アメリカが金利を下げたため金利差は縮小傾向にある。したがって金利が低い通貨=円が買われる、つまりは円高になってきているということか。これはわかりやすい説明だ。

「月刊の投資主体別売買動向」として、毎月最初の木曜日に東証が発表し、翌日の金曜日に日本経済新聞でも掲載されています。
 また、これとは別に、「週間の投資主体別売買動向」もあります。
 毎週発表されるので、月刊が発表される前に外国人の動向を予め判断することにも利用できます。月間と同じ形式で、毎週木曜日に東証が発表し、翌日の金曜日に日本経済新聞でも掲載されています。
ちょっと名称が異なるが、投資部門別売買状況のことだろうか。

素人の自分が読んでもわかりやすく、かつ非常に参考になる。
資産運用を考えている人(特に素人)にお薦めする1冊。

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