読書感想文

新刊、休刊、文学、専門書。
あらゆるジャンルの書籍について読書感想を書いていきます。
得意分野: IT関連技術書、ミステリー小説、ベースボール


2008/09/06

野村ノート

野村監督の本を初めて読んだ。
私の中では野村氏といえばヤクルト監督時代のID野球のイメージが強い。キャッチャー出身ということもあり緻密な分析をできる人だとは思っていたが、単にデータ分析にとどまらず、人間育成という観点からも選手を育成しているところがすごい。

こうした3つのテーマから生じる打者のタイプを、私はA、B、C、Dと4つにわけた。
A型= 直球に重点を置きながら、変化球にも対応しようとする。
B型= 内角か外角、打つコースを決める。
C型= 右翼方向か左翼方向か、打つ方向を決める。
D型= 球種にヤマを張る(このタイプは根拠を見つける努力をするとよい)。

このあたりは捕手としての視点であろう。確かにこういうことを考えながら野球を見ると新たな発見がありそうだ。

タイトルというと、私の持論に「3年で獲れなければ、幸運がないかぎりタイトルは獲れない」というものがある。
補足すれば、この3年というのはレギュラーになって3年ということだ。もちろん、なかには野茂や上原や松坂のように新人の年にタイトルを獲る者もいるが、王やイチロー、松井、落合らタイトルの常連となり、当たり前のようにタイトルを獲るような選手はみな、この「レギュラーに定着して3年以内」の法則に当てはまる。
これは意外だったが、結構あたっている気がする。古田選手のように1年目は2割5分しか打てなくても翌年には首位打者をとってしまうようケースのように、最初の3年で真剣に取り組んで飛躍できるかどうかがカギといったところなのだろう。

「野村くんと星野くんには決定的な違いがある。野村くんは詰めが甘いよ」
私は「4番を獲ってくれ」「エースを獲ってくれ」というだけで、実際に誰を獲ってほしいのかもいわなければ、FA交渉に積極的に乗り出して選手を口説いたり、長嶋監督のように選手の家の前まで出向いて口説き落とすことなどしなかった。いや、できなかった。
オーナーに「今の制度下でチームを強化するにはお金がいるんですよ」といいながら、「いくら出してほしい」「そのためには何億円いります」などといったことがない。
 外国人もせいぜいビデオを見るぐらいで、阪神監督の1年目などは、なぜなのかいまだに理由がわからないが、当時の球団社長や編成部長は獲得候補選手の名前さえ教えてくれなかった。私が知ることで何か不都合でもあるのか不満に思ったが、それでも監督権限で無理やり話させるようなことはしなかった。そういったことは監督の仕事ではなく、フロントの仕事だと思っていたのだ。
 だが、星野監督は違う。金本をみずから口説き、そしてフロントに伊良部を獲らせ、自身のもつパイプでトレイ・ムーアら外国人を獲得し、さらにコーチ、選手などチームの3分の1近くを入れ替えた。私が指揮を執っていた阪神とはまったく別ものといってもいい阪神タイガースをつくりあげた。
そうだったのか。18年ぶりの阪神優勝には星野監督の積極的な行動の賜物だったのか。
まぁ野村監督にしてみれば越権行為という気持ちもあり遠慮していたのだろうが、星野監督にしてみれば結果はすべて自分の責任になるのだから越権行為といわれようがやりたいようにやるといった気持なのだろう。
相手に動いてもらいたいときに、単に抽象的な要望をするだけでなくもっと具体的なところまで伝えるというのは実社会でも使えることなので参考になる。

在任期間中に逆指名を取り付けた鳥谷を含めれば、3年連続してドラフト戦略に成功した星野前監督と社会人選手をドラフトの下位指名した程度に終わった私は一見対照的かもしれないが、共通点もある。それは両者とも即戦力、つまり大学や社会人選手中心のドラフトを優先するということだ。
ドラフトで将来性のある選手よりも即戦力を好むという点はMLBオークランドアスレチックスのマネーボールと同じ考え方だ。またマネーボールではデータを重視しており野村監督のID野球と通じる点がある。
野村再生工場といわれ全盛期を過ぎた選手を起用することもマネーボールと通じる点がある。

野村監督の考え方とマネーボールの考え方には、同様の背景があるように思われる。つまり、潤沢な資金がないためにスター選手をそろえられないといったチーム事情が背景にあり、その場合にどうやって勝つかということを突き詰めていった上での理論なのではないかと思うのだ。

その他、野村監督は人間形成、組織運営といったことについて非常に深く考えていることが伝わってきた。おそらく野球界でけでなく、ビジネス界に進んでいても成功していただろうなぁと思った。

想像以上に野村監督の考えが深かったので、他の著書についても読んでみたいと思う。

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2008/06/08

最強のメジャーリーガーベスト105人

メジャー30球団の簡単な歴史紹介と球場分析、そして各球団の看板選手のフォーム分解写真と解説がついている。
フォームの分解写真と解説がかなりよい。月刊誌でフォームの分解写真が掲載されることはあるが、たいてい数人程度だ。105人分というのは本当にすごい。そして解説がかなり的確だ。

選手の分解写真を見てからメジャーリーグの中継を見ると、新たな楽しみがあるだろう。

分解写真を見て気付いた日本の野球選手との違い。

投手については前足を胸付近まで高くあげる選手が多い。足を高くあげることによって軸足に体重をのせきっているのだろう。

バッターについては、打点を体の近くにおいている選手が多い。そして、グリップはあらかじめトップの位置において構え、ステップは小さめ。
手元で変化する球に対応するため、あらかじめ打つ準備を整えてできるだけひきつけた上で最短距離で打つということだろう。体が大きくパワーがなければこのようなスイングは難しいので一概に真似はできないが、参考になる部分はあるだろう。

野球をやっている人にお薦めの一冊。

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2008/05/11

夢のとなりで 新庄剛史と過ごしたアメリカ滞在記

新庄選手がメジャーに挑戦したときの通訳者、小島克典氏による2年間の記録。

新庄氏の著作、ドリーミングベイビーが思った以上に良かったので、この本も読むことにした。

いろいろな試合の話が出てきて野球観戦をしているような気持ちになったので、お酒を飲みながら気楽に楽しんだ。

小島氏は新庄選手の通訳としてメジャー挑戦の2年目(サンフランシスコジャイアンツ)、3年目(ニューヨークメッツ)をともにしており、その2年間のことをエッセー風に語っている。
ジャイアンツでのワールドシリーズ体験と、メッツでのマイナー降格のときの話が印象深い。特にマイナー降格後メジャー40人枠から外されるときの話は、監督とどのようなやり取りをしたかまで書かれており、非常にリアリティがあった。

そして、いかにもメジャーリーグといった内容で、かつ自分勝手と思われがちな新庄選手が実はチームのことを優先していることがわかるエピソードがこれだ。

プレーオフ進出を決めた翌日の最終戦、400打席にあと6打席足りなかった新庄剛志は6番センターでスタメンだった。試合前のベンチでは、ダスティ・ベイカー監督がめずらしく彼に詰め寄った。
「なぜ黙っていた!あと6打席だろ!そしたら今日だって1番に入れたのに!」
400打席のインセンティブ(報奨金)契約を結んでいた新庄剛志は、数十万ドルのボーナス獲得にあと6打席必要だった。しかし、彼はいつもの笑顔でこう切り返した。
「チームが最後まで(ワイルドカード枠を)争っていたから、僕の個人的なことでわずらわせたくなかったんです」
メジャーリーガーの日記としては田口選手の何苦礎日記タグバナも書籍としてあるのだが、本書は通訳の観点から書かれているので視点が異なる。

ちなみに、小島氏の通訳(球団職員)としての給与明細が写っていたのだが、2260ドルだった。月に2回もらえるとのことなのでこの額を単純に24倍すると54240ドル。当時のレートでだいたい600万円ぐらいだろうか。

メジャーリーグ好きの人にお薦めしたい1冊。

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2008/05/06

野球の見方が180度変わるセイバーメトリクス

サブタイトルは「世界最強軍団ボストン・レッドソックスも使っている新選手評価指標」。

表紙にレッドソックスの写真が写っていたので、てっきりメジャーリーガのデータ解説かと思っていた。しかし、実際は日本のプロ野球選手のデータ分析だった。

セイバーメトリクスには興味があり、マネーボール、メジャーリーグの数理科学といった本は読んでいる。そしてMLBの公式ホームページでOPSやフライゴロ比率といったデータは意識して見ている。
だが、いままで聞いたことのないデータ分析が本書にはたくさん書かれていた(単に忘れているだけかもしれないが)。

たとえば、RC27。一人の選手だけで打線を構成した場合に1試合あたり何点取れるかという数値。07年の最高値はセリーグが青木選手の8.71点、パリーグがローズの8.64点だそうだ。
攻撃の目的は点を取ることなので、RC27は打率や出塁率よりも勝利に直結するデータであろう。また、得点や打点は自分の前後を打つ選手の能力に依存するため、選手本人の実力をそのまま反映できるとは限らない。その点RC27は1人で打線を形成するので個人の実力がより反映される。

セイバーメトリクスでは、打率・ホームラン、勝利数・防御率といった現在一般的に重要とされているデータでは表現できない選手の能力が現れる場合がある。そのため、まだ目立っていないが一気にブレークしそうな選手を発掘できたり、実績のある選手の衰えの兆候がいち早く現れたりすることがある。
そのあたりの分析をすることがセイバーメトリクスの醍醐味であろう。

本書では、ロッテのYFK(薮田投手、藤田投手、小林投手)の移籍に関する分析や、今年ブレークしそうな選手の紹介があり非常におもしろい。
日本のプロ野球選手に対してこれだけセイバーメトリクスのデータ分析がされているデータを見たことがない。メジャーの現場でデータを重宝していた長谷川氏のインタビューもあり、野球を違う角度から分析したいデータマニアには超お薦めの1冊である。

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2008/05/04

ドリーミングベイビー

新庄剛志の初エッセイ。発行は2001年4月30日で、文章の内容から2000年オフにFA宣言してからメッツ移籍決定、そしてメジャーでの開幕直後あたりまでの間に執筆(口述?)したものと思われる。

小学生向け文庫かと思われるほど文字が大きく行間の隙間があいている。まぁあえて新庄っぽさを連想させる戦略かと思うが。。
特に新庄に興味があるわけではなかったのだが、さらっと読めそうだったので読んでみることにした。

感想としては、新庄剛志の好感度アップ。宇宙人と呼ばれるほど行動が理解できないことで有名であったが、彼の考え方、育ってきた環境などバックグランドを知ることにより、あそこでなぜそういう行動をとったのか理解できた。

彼は、人をあっといわせたい、人の期待を裏切りたくないという気持ちが強く、かつ伝統や慣習には興味がなく思うままに突き進みたいタイプなのだろう。

結果論になるが、彼のメジャー行きは正解だっと思う。ニューヨークメッツではスタメン4番に座ったこともあり、サンフランシスコジャイアンツではワールドシリーズ出場。そして、日本復帰後は日本ハムの優勝に貢献した。

同時期にメジャー移籍したイチロー選手とは記録の面で大きく及ばないが、十分記憶に残る選手だ。

この本は、新庄氏の行動のバックグラウンドを知りたい人にお薦めの1冊。
特に次のような行動についての理由を知りたい人にお薦めする。
  • 5年総額12億円の阪神のオファーを断って1年契約20万ドル(約2000万円)のメッツを選択
  • 「センスがないから野球を辞める」発言
  • 「あまりいっぺんに言われると、オレ頭が悪いので覚えきれません」発言
  • ピッチャー兼任
  • フライをキャッチするときに軽くジャンプする

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2007/12/06

ベースボール革命

サブタイトルは「21世紀への野球理論」。日本語訳が出版されたのが1993年と若干古いため、現代では当てはまらない部分も存在するが、クレイグ・R・ライト、トム・ハウスという大御所が執筆しており参考になる部分がある。
セイバーメトリクスに興味があったのでこの本を読んだ。数式がいっぱいあるのかと思っていたのだがそれほど存在せず、ちょっと予想外ではあった。
おもしろかったのは、捕手防御率や、投手の労働負荷に対する考察、そしてもしも3ストライク制を2ストライク制に変更した場合に起こりうる事象といったところだ。単に選手の成績を分析するだけでなく、野球運営を考えてルールの変更まで仮説を立てるあたりはさすがだ。
ただ、個人的には現代野球に対するデータ分析手法をしりたかったので、ピートローズやタイカップなどの分析には(古すぎて)あまり興味がなかった。
数式がでてくるデータ分析について読みたいならば、メジャーリーグの数理科学のほうがよいであろう。
過去の選手の話にも興味があり、セイバーメトリクスの大御所の考え方を理解したいという人にはお薦めの本である。

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2007/11/24

長谷川滋利のメジャーリーグがますます楽しくなる観戦術

元メジャーリーガー長谷川滋利氏が紹介するメジャーリーグという「職場」の裏側。
彼の作品は以前にも読んだことがあるし、NHKのメジャーリーグ中継での彼の解説を何度も聞いている。したがって大半は知っている内容ではあったが、彼らしく理論的に分析されておりよくできた作品である。
エンジェルス、マリナーズとアメリカンリーグのチームに所属していたので、アメリカンリーグ全14球団についての分析が書かれている。元メジャーリーガーということで戦力分析は当然のこと、球場にまつわる話や球団経営の話まで触れる部分もあり、大変参考になった。個人的にはナショナルリーグも全球団解説してもらいたかったのだが、まぁインターリーグでしか対戦していないから敢えて書かないという判断をしたのだろう。
2005年シーズン終了後マリナーズがオプション契約を破棄した際には、彼がどこに移籍するか注目していた。正月番組では巨人上原投手から巨人に来てくださいといわれていたが、結局2006年初春に引退を表明した。本書では実はドジャースとの契約を考えていたと告白し、シーズンの半分は家族と離れて遠征にでるなどのためモチベーションが低下して引退を決意したそうだ。仮にドジャースと契約していたとすると斉藤隆投手とチームメートになっていた。ちょっと見てみたかった気もする。

本書はメジャーリーグ好きの人にお薦めの本。特にNHKのメジャーリーグ中継で長谷川氏の解説がうまいと感じる人にお薦めの作品である。

本書で特に印象に残ったのは次の部分。
・チームのタイプは2番打者でわかる。
(バントなど小技が得意な選手でつないでいくか、打つ選手でチャンスを広げていくか)
・セントルイスカージナルスがエンジェルスの選手を何人も獲得するのは、エンジェルスはマイナーから野球をしっかり叩き込む球団で、カージナルスとチームカラーが似ているため。

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2007/11/06

野球神よ、大リーグ球場に集え

アメリカに駐在していた著者が訪れたメジャーリーグベースボールの球場についての魅力が書かれた本。著者は全30球団の本拠地(旧球場も含めて47か所)を訪問しているだけのことはありかなり詳しい。

前半は各球場の名物や特徴の紹介をしており、メジャーリーグの雑学知識を身につけたい人には超お薦め。私はメジャーの球場はセーフコフィールド(シアトル)とドジャースタジアム(ロス)にしか行ったことがないが、この本を読んでほかの球場にもいってみたいと思った。

アメリカの球場に対して、左右非対称の形状が多い点と、90%が天然芝である点について疑問をもっていたのであるが、この本を読んでなんとなく謎が解けたような気がする。そして、非対称球場の典型ともいえるフェンウェイパーク(ボストン)が、建築物としての評価が高いことを初めて知った。レフト線のすぐ横にフェンスがあったりグリーンモンスターがあったりと確かにいびつではあるが、ああいう球場も一度は訪れてみたい。

中盤では球場建築の流れについて語られ、アメフトとの兼用スタジアムやドーム球場が一時期はやったが、現状ではオールドスタイルが流行になってきていると語られている。

後半には球場の特性を生かしたチーム作りについて解説されており、人工芝の球場では俊足選手をそろえるといった例が書かれている。人工芝なので打球が速く野手の間を抜けていくというのは知っていたが、盗塁自体も土のグランドより人工芝の方が滑らなくて走りやすいというのは知らなかった。ベースボールの個人成績を分析するのが好きな私としては非常にためになる内容だった。

あっさりと読めるかと思って読んだのだが、結構中身が濃く読むのに時間がかかった。
メジャーリーグ好きの人やこれから現地での観戦を考えている人にお薦めの1冊。

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2007/10/20

不動心

著者はニューヨークヤンキースの松井秀喜選手。
文体からしておそらくインタービューした内容を編集者の人が文章にしたのではないかと思われる。
左手首を骨折した2006年シーズン終了後に書かれている。

松井選手といえばマスコミに対して誠実に対応することで有名であるが、私が一番驚いた彼のコメントはまだプロ入りする前、ドラフト1位で巨人に指名されたときのコメントだ。
当時彼は星稜高校の主砲であったが、夏の甲子園2回戦で5打席連続敬遠されチームは敗退。星稜の山下監督は「優勝を狙えるチームだったのにあんなやり方は....」と言っていた。おそらく松井選手も不本意な形で負けて相当悔しかったであろう。だが彼は、あの敬遠があったからこそ注目されドラフト1位で入団でき高額な契約金ももらえるのだと発言していたのだ。こういう発想の仕方をできるなんてすごいなぁと思っていた。
今回この本を読んでみて、「人間万事塞翁が馬」という言葉で5打席連続敬遠のことに触れていた。なるほど、だからプラス思考でああいうコメントがでてきたのか。

また、「努力できることが才能である」という言葉を小さいころに父からおくられ、その言葉を胸に頑張ってきたというエピソードがあった。とてもよい言葉だと思う。

マスコミが書く記事のようにコントロールできないものは気にせずに、自分でコントロールできることに集中して結果を残そうという姿勢も素晴らしいと感じた。

マスコミに対する対応やチームプレーに徹するか個人の成績が重要だと考えるか、イチロー選手と比較すると正反対の部分も多い。ただ間違いなく現在の日本人MLB野手では最高の2人である。

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2007/05/13

不可能を可能にすること 僕のメジャーリーグ日記

元メジャーリーガー長谷川滋利氏が2003年シーズン中に(シアトルマリナーズ所属)書いていた日記を書籍化したもの。発売されてすぐ購入していたのだが、田口選手の日記の影響もあり読み直してみた。

基本的なスタンスとして、田口選手の日記はwebで公開することを前提としあまり野球がわからない人も読めるように日常生活の話を書くことが多く、しかもきっちりオチをつけてくれる。一方長谷川選手のこの本は、自分のためにつけていた日記をあとでまとめて書籍化したというイメージが強い。どういうことかというと、対戦した打者にどのような配球をして今日の反省点はここといった文章が多く、自分のために書いているという印象がする。
あまり野球に詳しくない人にとっては理解しづらい部分もあると思うが、メジャーのピッチャーがどういうことを考えて配球しているかを知れるという意味では野球ファンにとって非常に貴重な本である。
私はスカウティングレポートで打者の得意コース・苦手コースの分析を見るのが好きなので、この本をよんで非常に参考になった。
野球ファンにとっては非常にお薦めの本である。

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2007/05/12

タグバナ

セントルイスカージナルス所属のメジャーリーガー田口壮選手の日記(blog)書籍化第2弾。
昨シーズン(2006年)はカージナルスがワールドチャンピオンに輝いたこともあり、マスコミで田口選手が取り上げられる機会が増えていた。前作何苦楚日記から3年経過していることもあり、書籍化にはベストのタイミングではないかと個人的に思っていたのだが、2007シーズンが開幕してもそのような話がなかった。まだ書籍化しないのかと残念に思っていたのだが、5月に入ってつい先日田口選手のホームページでいきなり「タグバナ」発売のお知らせが。当然その日のうちに購入して一気に読んだ。

文章自体はほとんどwebで公開されていた内容であったが、前作何苦楚日記は時系列で毎日の日記になっていたのに比べ、タグバナでは「傑作選」という形で編集され、たとえば「田口家の人々」といったように、カテゴリー別に収録されていた。
もちろん田口選手の文章なので、webで一度よんだ内容であっても再度読むとおもしろくて笑いがでてくるのだが、ちょっと編集の仕方が...
オチの部分のフォントサイズが大きくなっているのだが、オチに行く前にその部分が視界に入ってくるため、話が盛り上がりきる前にオチが見えてしまう.........
内容が面白いだけにもったいない。ちょっとこれは編集の人もう少し考えたほうがよかったのでは..... 私は次の行が見えないようにはがきをかぶせて1行ずつ読んだ。

何苦楚日記との比較で言えば、タグバナのほうがより笑いの色が強い。特に1章、2章は面白い。当然超おすすめの1冊である。ただ、日々苦悩しながら努力している部分がタグバナでは伝わってこないのが残念だ。2004年から2006年までの日記を時系列にすべて収録している形でもう1冊出版してもらいたいなぁ。

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2007/04/17

野球術 上 監督術・投球術

メジャーリーグの極意について、ポジション(役割)別に超一流の選手・監督から取材した記録。
上では監督術としてトニーラルーサ、投球術についてハーシュハイザーへのインタビューが中心になっている。
Three nights in Augustでトニーラルーサの考え方についてはある程度しっていたが、Three nights in Augustに書かれておらず興味をひいたものとしては、相手ベンチがサインを出すのをみてどのようなサインがでているかよむといったところだ。トニーラルーサはとにかく頭がよいなぁとつくづく思う。
投球術のハーシュハイザーは、ドジャースで連続イニング無失点記録をつくった投手である。20年ぐらい前であっただろうか、日米野球で来日したのを覚えている。あのときはたしか日本ハムの田村捕手がハーシュハイザーからホームランを打ったような記憶があるが...
ハーシュハイザーいわくやはりピッチングはコントロールとタイミングをいかにずらすかというところになるようだ。
ひきあいにだされる選手が1990年代の選手中心で、最近の選手が出てこないのが残念だった。
(古い本なので仕方ない話なのだが...)

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2007/03/24

自己再生

ロサンゼルスドジャースの斎藤隆選手が振り返るアメリカ行きを決意してからの1年間。
つい先日斎藤選手のブログでこの本の紹介があるまで出版されるということを知りませんでした。
昨 年の末に雑誌(日経Associe)に斎藤選手のインタビューが掲載されていて、渡米した当初の苦労話などを読んで非常に感動しました。なにかつらいこ とがあったときにこの記事を読めば勇気をもらえるなぁと思って切り抜きして保存していたのですが、たった6ページのインタビューではなく、200ページ以 上の単行本という形でだしていただいてすごくうれしいです。
早速読みましたが、斎藤選手の人間としての魅力、熱い思いが伝わってくるよい作品です。特にメジャー初登板した後のバスの中のエピソードは目頭があつくなりました。

元 々関西の球団が好きであったため、つい数ヶ月前まであまり斉藤選手のことを詳しく知りませんでした。ワールドシリーズのゲスト解説で斉藤さんのトー クがわかりやすく、現役選手だけに実体験に基づいた興味深い話をされていたので興味をもちました。そしてオフシーズンの斉藤さんの出演されたインタビュー などをチェックしていたので4連続ホームランのエピソードは知っていたのですが、本で読んでも改めてチームの結束力というか斉藤選手とチームメイトとの絆 というのが伝わってきました。熱い男斉藤隆かっこいいです。
やっぱりこの本は苦境に立たされたときに読めば勇気をもらえる良書だと思います。

環境を変えて成功した2006年。今年は周りの期待も大きくプレッシャーを感じることが多いかも知れませんが、ぜひとも野球を楽しんでもらいたいです。

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2007/03/03

three nights in August

2003年8月のセントルイスカージナルス Vs シカゴカブスの3連戦を中心に描かれたドキュメンタリー。カージナルスのトニーラルーサ監督を中心に、選手のエピソードなどを紹介している。

こ の本を知ったのは2006年11月。カージナルスが2006ワールドチャンピオンになった影響か、この本が映画化されるという情報を日本のニュースサイ トで知った。田口選手が絶賛しているラルーサ監督は野球選手 -> コーチ -> 監督という経歴であるにも関わらず弁護士資格を取得おり、前々から興味があったのでどうしても読みたくなったが翻訳本はまだ存在しない。私は今までまとも に分厚 い英語の本を読んだことがないし(ハードカバーで本編263ページある)、決して英語が得意なわけでもない。下手すると50ページぐらいで挫折するかもし れないなぁと思いつつそれでも買った。

2006年12月末から読み始め、本日読み終わった。200ページ以上は通勤電車の中で読んだ。ほ とんど辞書を引かず、概要がわかればよいやという考えで 読んだので、細かい部分はあまり把握できていない。でも充分おもしろさは伝わり、毎日楽しみながら読めた(1ページ読むのに5分ぐらいかかったが..)。

ラ ルーサ監督がどうやって弁護士資格を取ったかについては、冬場のオフシーズンに勉強して取得したようだ。彼は34歳でホワイトソックスの監督に抜擢され たのだが、まだ若かりし頃(アスレチックス監督時代)には、試合に負けた日に家に帰って娘さんをお風呂にいれているときにかんしゃくを起こしてしまい、そ れ以来娘さんが試合結果を気にするようになったそうだ。そしてラルーサはナイトゲームで負けて翌日がデーゲームの場合には、娘さんのことを気にして家に帰 らずに監督室で一晩過ごすなんてこともやっていたようだ。あとは、データを重視し、カウントに応じて1球ごとに守備位置の指示を出すことがあるという記述 が印象に残っている。

ダンカンピッチングコーチについても触れていたが、驚いたのは彼は現役時代キャッチャーだったそうだ。キャッチャーがピッチングコーチになるのもすごいことであるが、20年以上コーチを続けられるだけの結果を残してきている点もすごい。

田 口選手は入団2年目でマイナー中心の生活を送っていたのだが、カブスとの3連戦の時にはメジャーに昇格しており、第1戦の終盤に代打で出場している。代 打の打席は描写されており、相手投手のビデオ研究を熱心にしているというエピソードとともに約2ページにわたって紹介されている。田口選手のことに2ペー ジも触れていたのには驚いた。そして結局その打席は凡退したにも関わらず、高く評価されていたのがうれしかった。

現時点ではまだ英語版しかでていていないので、英語が苦手な人にはお薦めしづらい部分があるが、カージナルスの主要メンバーを知っていればある程度話の内容についていけるのではないかと思う。
個人的にはとてもよい作品であった。

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2007/01/08

何苦楚日記

セントルイスカージナルス所属のメジャーリーガー田口壮選手の2002年、2003年のブログに解説を加えて書籍化した作品。
3年前に出版され、現在は売り切れ状態となっている。どうしても入手したかったので出版社に増刷の予定がないか問い合わせたが、その予定はないとの回答があった。
そこで古本屋を数件回ったがおいていない... 結局amazonのマーケットプレイス(古本)で入手することができた。
私が田口選手のブログを読み出したのは2004年。ようやくメジャーに定着した年であった。彼の文章は関西人らしく最後にオチをつけることが多く、すばらしい文章構成力であった。また野球や生活面での苦労も伝わってき、非常に親近感を覚えた。
そんな彼が遂にワールドチャンピオンに輝き、このオフはメディアへの登場回数も多かった。ほとんどの番組を録画し見たが、メジャーに定着するまでの渡米当初の苦労話などを聞いてどうしてもこの何苦楚日記が読みたくなり、やっとの思いで入手できた。
当 然のように一気に読んだ。1年目開幕メジャーに選ばれずマイナー(3A)におちたこと。またシーズン途中に3Aから2Aに移動させられたこと。プロ野球 で10年活躍したスター選手であれば怒って辞めてしまいそうな状況での彼の考え方というのが、野球に関係ない普通のサラリーマンであっても非常に参考にな ると思う。少なくとも私は非常に感銘を受けた。何かつらい状況に陥ったとき、この本を読めば勇気付けてもらえる気がする。
本文の最後で、長男(寛 君:ワールドチャンピオンになったときに抱かれてグランドにいた子供)をアメリカで生むか日本で生むか(アメリカで生めば将来アメ リカ市民権を選択できるが...)といった点について、なぜ周りの意見に従わず日本で生むことにしたかという点については、田口選手らしい考え方が述べら れていて良かった。また命名についての熱い思いについて触れるとともに最後にきっちり笑いをとるあたりさすが田口選手!と思わせる作品であった。
メジャー野球のバックグラウンドがないと一部理解しにくい面もあるが、基本的には誰が読んでも楽しめるであろう超お薦めの作品である。(といっても簡単には入手できないでしょうが....)

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