読書感想文

新刊、休刊、文学、専門書。
あらゆるジャンルの書籍について読書感想を書いていきます。
得意分野: IT関連技術書、ミステリー小説、ベースボール


2008/08/07

インフォコモンズ

インフォコモンズ(情報共有圏)という聞きなれない言葉の概念がイメージしにくく、前半部分はあまり興味をひかれずに読んでいた。しかし、中盤から後半にかけて著者の主張が理解できてくると、この本のすごさが理解できた。

現在はWeb2.0と言われているが、本書ではWeb3.0の形を予言している。
すでにWeb3.0の息吹はいくつかのサイトに表れており、たとえばベイズ理論を用いたzero-zoneや食べログ、tsutaya discas、みんなの株式などが紹介されている。

ちなみに、本書で説明されているWeb*.0の定義は次の通り。

ウェブ1.0は集中化した彼ら。
ウェブ2.0は分散化したわれわれ。
ウェブ3.0は非集中化した私。
そして、インフォコモンズ(情報共有圏)の必要条件は次の4点。

暗黙ウェブである。
信頼関係に基づいた情報アクセスである。
情報共有圏が可視化されている。
情報アクセスの非対称性を取り込んでいる。
Amazonの協調フィルタリングでは、この本を買った人はあの本も買っていますと勧められるが、誰が買ったかという点は可視化されていない。しかしWeb3.0では誰が買ったかということがわかるため、自分と感性が近いこの人が買ったものならば安心して買えるといった信頼関係ができあがる。

本書を読むことにより、サイトの企画についてアイデアをもらえた。ありきたりの発想で旧来のウェブサイトを作るのではなく、独自の視点で次世代型のサイトを企画、構築したいと思わせてくれる内容であった。
著者は元新聞記者であるようで、論理構成もしっかりしており、IT業界の人にはぜひ読んでもらいたい1冊である。

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2008/08/02

リッツ・カールトンが大切にするサービスを超える瞬間

リッツ・カールトンで学んだ仕事でいちばん大事なことに続き、リッツ・カールトンに関する本を読んだ。

今回は日本にリッツ・カールトンができる前からアメリカのリッツ・カールトンで働き、大阪や東京での開業に携わった高野氏が著者。

リッツ・カールトンの考え方はある程度わかっているつもりだったが、本作でも参考になることが多数あった。

なぜお客様に行き届いたサービスができるのかという点について。リッツカールトンではスタッフの誕生日や入社記念日を祝うというシステムができているおり、たとえば入社8年目の従業員がいれば、8の字にくりぬいたクッキーや8という数字の入ったオブジェをプレゼントするらしい。
ふだんから祝うということを定着させているため感性が磨かれ、お客様に対して行き届いたサービスにつながる。

企業によっては部署が違えば別会社のように関わりが希薄であったり、場合によっては敵対したりすることもある。しかしリッツカールトンではそうならないための仕組みがある。
まず、クレドで従業員の考え方が統一されている。

リッツ・カールトンではクレドはマニュアルであるという捉え方は決してしません。マニュアルというのは毎日の企業活動の中で、たとえば危機管理、衛生管理、効率化など、誰が携わっても一定の結果を実現させるうえで不可欠な指南書であり、また物差しであると言えます。それに対して、クレドは「感性の羅針盤」のようなものです。現場で問題に直面したときや、お客様のさまざまなライフステージに立ち会うときなどに、その従業員の行動指針がクレドカードを読み解くことによって示されるのです。さらにその感性を全従業員が共有することで、ぶれない方向性が保たれます。
そして、「ファーストクラス・カード」を利用し、他部署のメンバーに助けてもらったときには感謝の意を現わすとともに、人事査定にも利用して積極的な連携を促している。

また、リーダークラスの意識もすばらしい。

このとき、どのチーフも必ず次のように力説します。
「私たちのセクションの仕事の役割はこんな内容です。でも、私たちの目的はみんなと一緒です」
つまり、それぞれに与えられた役割は違うけど、それはリッツ・カールトンのひとつのビジョンやミッションのもとに行われていて、みんな目的は一緒なのだということを伝えているのです。
新入社員は地味で単純な仕事をさせられるものであり、場合によっては見切りをつけてすぐに辞められてしまうケースもあるのだが、リッツカールトンではそのならないように意識している。

まず初めに、地味な現場の仕事の大切さ、それらの仕事が会社のビジョン達成のためにどういう意味合いがあるのか、それを明確に納得できるように伝えるということです。企業が犯す最大の罪は、従業員にビジョンなき仕事をさせることだ、とはリッツ・カールトンの創立者、ホルスト・シュルツィの言葉です。
次に、社員の感性の高さや向上心などを見抜き、それを伸ばしていく職場環境を全社的に整えること。ビジョンなき単純作業を10年重ねてチーフになった人は、次の世代に対しても同じことをするものです。
さらには、リッツカールトンは採用の段階で自社の文化に適応できるか独特の方法でチェックしていることに驚かされた。
面接会場は大宴会場。入口にはドアマンが2人立って応募者を出迎え。そして場合によってはプロのミュージシャンがピアノ演奏までしたなかでの面接。管理職がウェイターとしてコーヒーやジュースを運ぶ。

入社試験のためにいったいどうしてここまでやるのか。もともとリッツ・カールトンには相手がだれであろうと「親切なおもてなし」をする文化がありますが、理由はそれだけではありません。
もうひとつの理由は、他の応募者の反応を見て気付きました。350人の募集に対して約3000人の応募があったのですが、会場の雰囲気を見た半分くらいの人が、
「自分には合わない。もっと普通のホテルで働いたほうが気が楽だ」
と言って帰ってしまったのです。
応募者にもお客様と同じようなおもてなしをするのは、じつは最初にリッツ・カールトンの理念や価値観を伝えるためです。
実際に自分が受けたサービスを通して、リッツ・カールトンの文化に適応できるのか、もしくは本当に適応したいのかを考えてもらう狙いがあったのです。面接試験は、いわばお見合いのようなもの。お互いの価値観を最初にしっかり披露しあい、感性が合えば結婚すればいいのです。
本書は、経営者だけでなくすべてのビジネスマンにお薦めする1冊だ。

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2008/07/27

タクシー王子、東京を往く

日本交通の3代目若社長が実際にタクシードライバーとして働いた1か月間のドキュメント。
私は普段タクシーに乗ることはあまりないので、表面には見えないタクシードライバーの仕事というものがわかって面白かった。と同時に、自ら体を張って現場を経験する社長に感動した。

この社長は37歳で、経歴が 慶応 -> ノースウェスタン大学MBA -> マッキンゼー日本支社 と私から見れば超エリート。そしてその後家業の日本交通に入社して34歳で社長に就任。
そういうわけでタクシードライバーの経験なしで社長になってしまったためであろう、現場を学びたいということで1ヶ月間タクシードライバーとして働くことに決めて実際に実行した。
1回の乗車で22時間ぐらい働く関係で1か月といえど実際には13回の乗車であるが、それでも一般のタクシードライバー同様に長時間勤務をやり遂げたことは称賛に値する。

社長は社長業に専念しろ、パフォーマンスはやめろといった意見もあったようであるが、私の感覚では現場を理解するための行動をとる社長は偉い。
タクシードライバーにしてみれば、現場を知らず絵に描いた餅のような戦略をいう社長のいうことはあまり信用できないだろうが、体を張って実際に現場を理解しようとする社長の言うことは聞く気になるだろう。
社長は次のように書いている。

次の30年を見据え、3代目の自分に、いま一番必要なものはなにか?
それはおそらく、現場感覚。ハンドルを握った最前線での経験だろう。MBAやマッキンゼーで学んだ机上の論理も重要だとは思う。しかし、そうした高度1万メートルでの空中線が活きるのは、あくまでも地上戦を知ってこそ。
創業者である祖父の川鍋秋蔵は、お抱え運転手として10年間自分でハンドルを握った。初代を100とすると、いまの自分の現場感覚は1くらいである。でも、1か月集中して乗れば、10くらいにはなるのではないか?そしてその経験は、社長としての1か月よりも、多くのことを教えてくれるのではないだろうか?

日本交通ではGPSシステムを導入していて、ドライバーにとって非常に便利であることが書かれているのだが、特に驚いたのが次。

お断りしてから一時停止すると、お客様が後ろからニュッと1枚のカードを差し出した。GPSコードだ!ウチのタクシーの領収書には、降りた場所のGPSコードが印字されるようになっている。次回、運転手がGPSコードを入力すると、自動で行き先がナビにセットされるという優れものだ。
領収書にGPSコードを印字して、次回以降はそれをみせればよいというのはドライバー、客双方にとってとても便利なシステムだ。ここまでシステムが進んでいたのか!

本書は、経営者に読んでもらいたい本である。と同時に、今年読んだドキュメンタリー本の中でもトップクラスの面白さであるので、娯楽本として一般の人にも気軽に読んでみてもらいたい本である。
本当にお薦めの1冊である。

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2008/07/18

グーグルに勝つ広告モデル

テレビ・新聞・雑誌・ラジオの4大マスメディアとグーグルに代表されるインターネットを比較し、既存のマスメディアの生き残り戦略を書いている。

統計を基に分析しており、ある程度うなずける内容が多かった。まぁ、これをすればグーグルに確実に勝てるという方法は明確にはかいていなかったが..

グーグルとヤフーの違いとして、ヤフーはトップページにいろいろコンテンツを乗せて「認知(アテンション)」させることが目的なのに対して、グーグルはトップページは簡素にし、検索結果で広告を載せる「能動的な興味(インタレスト)」を引き出しているという記述がある。トップページの比較は何度も聞いたことがあるが、認知と興味という分析を聞いたのは初めてだったので新鮮な感じがした。

ここまで、ネットと新聞の比較を軸足に、将来の方向性仮説について述べてきましたが、筆者自身は、物理的な紙の新聞を各家庭に届ける宅配ネットワークという仕組みこそ、新聞社が保有するネットメディアに対する中核的な競争能力の礎ではないかと考えています。
この部分に関しては同意する。インターネットが普及してネットショップでの購入が増えているのだから、新聞配達ネットワークを有効活用するというのは非常に有効であろう。

「LEON」は「年収2000万円以上で、月に30~50万円程度の自由になる小遣いのある30~40代男性」というターゲット設定をしていますが、図15に見られるように、30~40代で年収2000万円以上という人は、構成比としては0.1%程度にしか日本にいません。
普通にビジネスプランとしてこの企画を考えると、「あまりにターゲットが狭い」ということになるのですが、ここがミソで、年収2000万円以上がターゲット、と公言することによって、年収数百万円~1200万円くらいの一般層を、読者として取り込んでいるわけです。

このことは知らなかった。LEONを購入したことはないのだが、確かになんとなく上級のライフスタイルのイメージがあり、憧れみたいなものはあるなぁ。うまくターゲットをずらしているなぁ。

ウィキペディアは、グーテンベルクからグーグルが登場するまでの「旧世界」がずっと発展させてきたこの「知のバリューチェーン」から、無料で情報という栄養をもらってコンテンツを拡充するという寄生虫のような構造で肥大化しています。
ここで問題になるのは、ウィキペディアがフリーであるがゆえに、強大な普及力を有しているという点です。そのため「知のバリューチェーン」を循環する経済価値が減少し、ウィキペディアが循環的に依存していた「信用できる」情報源が、事業運営上の深刻な困難を迎える可能性があるのです。そうなると、ウィキペディア自体も中長期的には生きながらえることはないでしょう。ここに大きなジレンマがあります。
この部分については賛同できない。BBCやニューヨークタイムズのような「信用できる」情報源と、ウィキペディアはすみわけができている。少なくとも私は使い分けをしている。

例えば何か事件が起こったとき、速報的にその情報を仕入れるのは新聞社など「信用できる」情報源からである。事件直後ではウィキペディアには網羅的に情報がまとまっていることを期待していないのでウィキペディアでにはアクセスしない。
逆に、昔あった事柄について知りたい場合には、ニュースサイトではなくウィキペディアを利用する。網羅的にまとめられているからだ。

ということで、私は新聞社など「信用できる」情報源と、ウィキペディアはともに生きながらえていくと考えている。

本書はマスメディアの現状と今後の広告モデルについてわかりやすく分析している良書である。特にマスメディアには直接ビジネスでかかわっていない人に薦めたい1冊。

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2008/07/06

統計でウソをつく法

サブタイトルは「数式を使わない統計学入門」。

以前から統計は鵜呑みにできないと思っていたのだが、この本を読んでやっぱりそうかと思った。

統計に関するごまかしは何パターンかある。

1.データの取得方法
偏りなく多数のデータを取得しているか。
例えば国民の所得に関する統計をとる場合、インターネット限定で調査をすればインターネットを利用していない層のデータが取得できず偏りが生じる。
また、わずか数人分のデータしか取得していない場合は、対象が少なすぎてデータとしての正確性に欠ける。
利害関係が絡む場合には、何度も統計を取った上で自分に都合のよいデータのみを採用するケースがある。
また、質問の内容によっては、回答する人が勘違いして間違った情報を提供する可能性もある。

2.結果の見せ方
結果をグラフ化して見せる場合、グラフの描き方によって印象が大きく変わる。たとえばある事象に関して、1年の間に値が10000から10100に変動した場合を考える。グラフの縦軸を0から10010にするとほとんど増加していないように見える。しかし、グラフの縦軸を10000から10100にすると極端に増加しているように見える。
また、たとえば人の平均身長が10年前に160cmだったのが現在は170cmであるとする。この場合に2人の人の絵を描いて、高さの比率を16:17にするグラフを見かけることがある。しかし人の絵は2次元で書かれており、実際には16×16:17×17に見え、実際の身長以上の差を見せる結果になる。もしも絵を3次元ぽく描いている場合には、3乗の差があるように錯覚を引き起こす。

3.結果分析
サンプルは正しくても、結果の分析を間違えることがある。
例えば喫煙の有無と学校の成績に関する統計を取る場合を考える。仮に喫煙する生徒ほど学校の成績が悪いといった結果が出てきた場合、これにより喫煙すると頭が悪くなると結論づけるのは間違いである。なぜなら相関関係があるといっても因果関係ははっきりしないからだ。喫煙したから頭が悪くなったのではなく、頭が悪いから喫煙をしたのではないかという仮説も考えられる。
したがって、因果関係まで勝手に特定することは間違いである。

本書は特に難しい数式を使うことなく説明されているので、文系の人にもお薦めの1冊である。

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2008/07/04

エスキモーに氷を売る

サブタイトルは「魅力のない商品を、いかにセールスするか」。

著者はNBAのチームでマーケティングを行い、不人気チームの観客数を大幅に増加させたJon Spoelstra。スポーツマーケティングを中心に、どのようなマーケティング手法で売上を増加していくかについて書かれている。
ちなみに、タイトルは「エスキモーに氷を売る」だが、本文中ではエスキモーの話はでてこない。

著者のすごいところは、価値のないと思われる商品に、いかに価値をつけていくかの考え方である。
例えば弱小バスケットボールチームの場合、資金力に乏しく、試合に勝てず、そしてスター選手もいないといった状態で観客席はがらがらで満員になることはシーズンに1度もなかった。
しかし著者は考えを巡らせ、スター選手の所属するチームに価値を見出した。そして人気のあるチームとの対戦試合を数チーム分パックにして売り出したところ、それらの試合は満席になったという。
普通は自分のチームの選手をアピールして来場を呼び掛けそうなものだが、相手チームのスター選手に寄り掛かるという発想が面白い。

また、試合前に著名人の講演会をスタジアムで行い、法人顧客を増やすという案も成功したそうだ。下手に値引きをするよりも、定価のままで付加価値を加えるという考え。このあたりは著者の考えの根底にありそうだ。

人気のないものを多少値引きしてもやっぱり誰も買いたがらない。それよりもこの値段でここまでやるかというぐらい付加価値をつけるほうが人は買いたくなる。
ハワイの野球リーグの例がでているが、誰も書いたがらないチケットに、サインボールとリトルリーグのバットをつけて定価で販売したという。当然のように売上はあがるのだが、はたして赤字ではないかと疑問がわいた。しかし、グッズ売り場で売っているサインボールは7ドルでも、原価は2ドル。定価15ドルのバットも原価は3.5ドルと実は一般の人が感じるよりも金額の上積みは少ない。
一般人からみればこんなにいっぱいセットでこの値段でいいのか、これなら買いたいと思わせる一方で、実はそれほど費用の増加は多くない。そのため利益がだせるというからくりだ。

この本は、仕事でマーケティングをやっている人はもちろん、それ以外の職種の人にも読んでもらいたい1冊である。

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2008/06/25

Googleを支える技術

BigtableやMapReduceといった名前だけ聞いたことのある技術について概要が理解できたのでよかった。と同時に、Googleに恐ろしさを感じた。特に後半のデータセンターの話を読むと、5年後の日本のインターネット業界が不安だ。

前半は検索エンジンの仕組みからはじまり、分散システムの技術(GFS、Bigtable、Chubby、MapReduce、Sawzall)についての解説がなされている。このあたりはGoogleの論文からの解説が中心であるが、日本語でわかりやすく概要を説明しており、英語の論文を読むよりも効果的に理解できた。
障害対策としてRaidを採用せずにソフトウェアでのアプローチをしているあたりはおもしろい。また、世間では電力効率化のためにxenなど仮想化技術による集約化の流れにあるのだが、Googleに関してはとにかくマシン数を増やすばかりで仮想化については考えていないように本書では感じられた。CPU負荷、ディスク容量がおいつかないから仮想化には向かないのだろうか。

後半では運用コストやデータセンターの話がでてくる。
本書によると、2007年時点でのGoogleのマシン数は50万台程度。それだけでもすごいのだが、2006年以降数百億円規模のデータセンターを複数建設しているという。例えばオレゴン州ダレスのデータセンターはサッカーグラウンドほどの建物が2つで、設置可能マシン数は推定64万台。とんでもない大きさのデータセンターであるが、このような規模の建設中データセンターが本書では5か所紹介されている。
しかも、それぞれの設置場所は水力発電所や原子力発電所などの近くで、安価でかつ安定的に電力を調達できるという。
日本で5年以上前に建造されたデータセンターは、スペースは余っていても電力がいっぱいというケースが多いのだが、そのあたりは見越した上での建設なのだろう。当然電気代は莫大になるので、太陽光発電の研究などもおこなっているようだ。

前半の分散技術と後半のデータセンター建設によるマシン台数の大幅増強。これらを利用して当然検索精度の向上もされているのだが、私にはもっと脅威に感じることがある。

本書では触れていないのだが、GoogleはGoogle Apps や Google App Engine などによるホスティングサービスも提供している。
通常自社でサーバを構築しサービスを行う場合、事前にどの程度のアクセスがあるか予想してサーバ台数やネットワーク構成を決める。しかしいざサービスを稼働すると予想以上にアクセスが多く負荷に耐えられなくなるといったことはよくある。そうなるとサーバや回線の増強という話になるのだが、稼働を始めてから変更を加えるのは手間がかかる。その点Googleでは負荷分散技術と膨大なマシン数により、負荷が増えても簡単に対応できる。
また季節限定で一時期だけ多数の負荷がかかるようなケースでも、Googleのサーバを利用していれば簡単に調整できる。しかも、低額かつ迅速に。

つまり、自社でサーバを構築したり日本のシステムインテグレータに構築を頼むよりも、Googleのサービスを利用したほうが便利なのだ。例えば、ライブドアKDDIといったサーバやネットワークについての高度なスキルをもっている企業でも実際にGoogle Apps を選択している。

このことは日本のIT企業、特にシステムインテグレータは十分考慮にいれておかなければならない。
数年後には顧客をごっそりGoogleに奪われている可能性がある。
分散システムによる耐負荷サーバとSaaSによる迅速なサービス提供。これらに負けないための仕組みが必要であろう。

そして、今後は小さなシステムは淘汰され、Sun MicrosystemsのCTO Greg Papadopoulosの言うように、世界には5つのシステムでことたりるような時代へと進む予感がする。要は自分でハードウェアを用意せずに、Googleのような大規模システム(クラウド)を利用してシステムを構築する時代になるのだ。

amazonはGoogle App Engineよりも先にクラウドシステムを提供した(amazon EC2)。そして、ビジネス向けではSunとIBMが着々とクラウド化を進めている。

クラウドシステムには多額の費用がかかるため、日本市場だけでなく世界市場を視野に入れた上で戦略的に策を練る必要がある。しかし、それを行える企業が日本にあるか。。。
日本語が参入障壁になっている日本市場では、システム構築+事務作業を一括に請け負うアウトソーシングという形態でやっていけるかもしれない。しかし世界を相手に戦うのは今の日本企業には難しい気がする。。。

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2008/06/14

おもてなしの経営学

著者は人気ブログ Life is beautiful でおなじみの中島聡氏。

3章から構成されており、1章はブログエントリを引用しつつ「おもてなし」というキーワードでアップルやYouTubeを分析する。2章は「月刊アスキー」のコラムからの引用。3章は西村博之氏、古川亨氏、梅田望夫氏との対談となっている。

まず、全体を読んで驚きはマイクロソフトでこれだけ活躍していた日本人がいたのかということ。アメリカでWindows95やIEの開発に主要メンバーとして関わり、日本人として唯一トップランク200人のエンジニアだったというのだからすごい。
そして、40歳を過ぎて自分で会社を立ち上げてもまだ一線のエンジニアとしてプログラムを書いているというのもすごい。技術者のロールモデルになれる人だ。

3章の対談に関しては、古川氏とは昔を懐かしみ同窓会のような雰囲気、梅田氏とは同年代かつ同じ海外在住者として分野は違えど共感する部分が多いといった内容になっている。ひろゆき氏との対談は若干噛み合っていないような感じがした。個人的には古川氏との対談で、昔のアスキーやマイクロソフトでの働きぶりなどが紹介されておりおもしろかった。

日本という小さな枠ではなく、世界に通用する作品を作りたいという気持ちが大きくなった。
また、単に技術的な能力だけでなく、ビジネスモデルも含め自分でプロデュースする人間になりたいと思った。

すべてのビジネスマン、とくに現状の環境に違和感を抱いている技術者に特にお勧めの1冊。

以下は特に印象に残った箇所の抜粋である。
床屋の満足
語源は、筆者の名前は忘れてしまったが、大昔に読んだエッセイである。そのエッセイの筆者は、「いかにも床屋に行ってきました」という髪形をして人に会うのが恥ずかしいので、いつも床屋さんに行くと、「床屋に行ったばかりとはわからないようにしてくださいね」と頼むのだそうだ。しかし、ほとんどの床屋がそのリクエストを無視して、「いかにも床屋に行ってきました」という髪形にしてしまうらしい。彼は、床屋さんにとっては、お客を「いかにも床屋にいってきました」というさっぱりした髪型で店から送り出すことが仕事の充実感・満足感を与えるとても大切な要素となっている、と結論付けていた。このエッセイを読んで以来、私は心の中で、これに相当する行動パターンを「床屋の満足」と読んできた。
英語の勉強だけはいくつになってはじめても遅くはない。学生であれ社会人であれ、まずは(多くの人が不得手な)英会話から初めて、英語の論文なりブログなりで、できるだけ多くの英語に触れる努力をすることを強くおすすめしたい。知識労働者にとって、日々自分の人材市場での価値を高めることに努力することは、すなわち「職場を選ぶ力を得る」ことに直結する。終身雇用制が崩壊しつつあり、誰にでもできる簡単な労働は知識労働ですら海外にアウトソースされようとしている昨今、自分の価値を高めて「職場を選ぶ力を得る」ことは、ますます大切になっている。その意味でも、世界規模で見た人材市場での価値に直結する英語力を持っておくのは、必ずプラスになると断言できる。
あるエンジニアの人に、仕事人にはふたつのタイプがいるという話を聞いたことがあるんだ。「上を見て」仕事をするタイプと、「天を見て」仕事をするタイプ。城氏の顔色や直近の自分の損得だけで動くのが「上を見て」仕事をする人。「天を見て」仕事をする人は、会社や上司のためではなくお客様のためにいい仕事をする、この技術が未来につながるとか社会的に必要だという美学を貫き、自分の信条を持って動く。
でも今はマイクロソフト、というかIT産業全体に言えることかもしれないけど、何か新しいことをしようとすると「本当にそれでいいのか」と、自分は生産的なことにかかわらないのに他人のブレーキを踏むような人たちが多い。もっと多くの人に使ってもらうだとか、会社をさらに大きくするとか、代案としてこちらのほうが絶対に優れていると証明できるようなものをもちあわせているならいいけど、単にお前が目立つのが嫌いだとか、お前に決められるのが面白くないという理由だけで足をすくう人たちばかり。

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2008/05/01

ニュー・ニュー・シング

シリコンバレーの企業家ジムクラークを密着取材したドキュメンタリー。
Web進化論などで有名な梅田望夫氏が推薦していたので読んだ。

すばらしい内容だった。そこらの小説よりもよっぽどドキドキしながら読めた。
著者のマイケルルイスは「マネーボール」の著者としてしっていたのだが、マネーボール同様主人公の懐に入り込むのがうまいというか、心を開かせるのがうまいというか、すばらしい取材だ。

そして、ジムクラークはとんでもなくかっこよい。高校を中退し海軍で働きながら博士号取得、大学教員として働きその後起業。そして、シリコングラフィックス、ネットスケープ、ヘルシオンと3社を設立しIPOを成功に導き巨額の富を得る。
投資家ばかりが儲かり実際に開発を行う技術者が報われないことに腹をたて、技術者が報われるよう仕組みを変える。そして何より過去の実績は振り返らず、常に先の先(ニューニューシング)を見据えて行動する。しかもどれだけ金持ちになっても自分でプログラムを書く。

先の先を見据えてプランを練る人間になりたい、そしてシリコンバレーで一攫千金を求めて勝負したい。
そう思わせてくれる1冊だった。

まあ若干苦言を言わせてもらうと、「技師」という言葉がよく出てくるのだが、コンピュータ技術者をあまり技師とは呼ばないので、「エンジニア」と訳したほうがよいのではないか。

シリコンバレーに憧れている人、一攫千金をねらっている人はもちろん、ドキドキするようなストーリーを読んでみたいと思う人にもお薦めの1冊。

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2008/04/19

リッツ・カールトンで学んだ仕事でいちばん大事なこと

リッツカールトンといえば顧客満足度が高いことで有名だが、著者はリッツカールトン大阪の元営業統括支配人。

まず一番驚いたのが著者の経歴。リッツカールトンの幹部だから、きっと留学してホテル学科を卒業しそのあとは欧米の高級ホテルに勤務して....というような国際派エリートをイメージしていた。しかし実際は高卒でホテル勤務経験なし、しかも英語がしゃべれない。
それでよく採用されたと思うのだが、著者いわく大阪に多くの人脈があったかららしい。

本書は前半がリッツカールトンでの経験、後半は著者が考える魅力的な人物の作り方となっている。

まずは前半部分。
キーワード1: ノーといわない
リッツカールトンの接客の特徴は「ノーといわない」ことだそうだ。満室の状態で予約の電話が入った場合、普通であれば満室だから無理(=ノー)と答えるところだが、リッツカールトンではこのホテルは満室だが、差し支えなければ近くのホテルの空き状況と料金を聞いてご連絡差し上げますと回答するらしい。
たしかにすごい。普通はそこまでは言わない。

キーワード2: 感動を与える
ミスやトラブルはopportunityと呼ばれ、お客様との新たな関係性を図る機会と考える。そして、全スタッフが20万円までの決裁権をもっており、上司に相談することなくその場でお客様に対応できる。
テレビ番組の特集で見た話だが、費用はトラブルが起こった時だけに使うのではなく、宿泊客が誕生日と知ればケーキをプレゼントするといったサービスにも使えるようだ。たしかにそういうサービスをしてもらうなら客は感動するかもしれない。ただ、採算としては問題ないのかという話が気になるのだが、リッツカールトンは上位5%の富裕層をターゲットにしており、感動を与えてリピーターになってもらえれば十分利益を出せるという考えなのだろうと想像する。

キーワード3: 従業員の意識統一
従業員全員がクレドに基づき行動する。
クレドとは信条や経営哲学のたぐいのことで、どういう方針で仕事をするかといったことが書かれたもの。
リッツカールトンの場合は、書かれた方針をいかに自分の職場で実践・浸透させていくかに力をいれているため、接客で即座に判断が必要な場合など上司に相談せずともクレドに基づき自分で判断できる。
日本の会社でも経営方針を壁にはったりカードにしてもたせるケースはあるが、単なるお題目ととらえ真剣に意識して行動する人はほとんどいないのではないか。。

後半部分で印象に残った点。

組織・グループは逆ピラミッド型にすればうまくいく
お客様が一番上にいて、それを支えるのが現場のスタッフ。その現場のスタッフを支えるのが幹部社員、そして一番下のピラミッドの頂点は全責任を負った社長という考え方。
すばらしい。そういう意識の幹部がいるところで働きたい。

人間関係ができていれば理屈ぬきで人は動く
人間には感情があるので、理詰めの指示だけでは人は動かない。組織は理屈ではなくハートで動かす。
たしかにそのとおり。普段からの人間関係ができていないと人は離れていくし心から納得してやっていないのでミスも多くなるだろう。

これ以外にも、後半を読むとためになることがいっぱい書かれている。そして、著者が20代の頃からものすごく自分を磨いていたことがよくわかる。
社会人にも学生にも是非読んでもらいたい一冊。


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2008/02/09

ロジカル・シンキング

サブタイトルは「論理的な思考と構成のスキル」。
効率が10倍アップする新・知的生産術でフレームワーク力の構築として薦められていたので読んだ。
マッキンゼー流の思考方法といったところか。
たとえば、自社の事業分析を行うときはこういうパターンで考えよう、マーケティングではこういうパターンで考えようという枠組みがあるので、それにそって考えれば一通りのことは網羅できる。

課題に対する結論を導く方法としてすばらしい。まず、自分自身でうまく整理しきれていない思考をこの方法で整理・分類すればすっきりとまとめられる。その上、人に説明するときに理路整然としており納得してもらいやすくなる。

一番なるほどと思ったのは、提案をする際に結論を真っ先に伝えるか理由を話してから結論を伝えるかという点だ。基本は先に結論、なぜなら最後まで話をきいてもらえるかどうかわからないから。ただし結論に対して反発が予想される場合は、まず根拠を説明して合意を得た上で結論にもっていくとよいらしい。確かにそのとおりだなぁ。そして、それにくわえて、今回の説明にあたり課題がなにかということを冒頭に話した上で説明に入れば、聞く側もポイントを意識して聞けるのでよいとのこと。
プレゼン等する場合の参考になる。

この本は、論理的な思考の仕方を学びたい人、コンサルティング業務などで人に提案するような作業を行う人に特にお薦めの本である。

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2007/10/29

日本カジノ戦略

著者はラスベガスのディーラースクールを卒業し、ネバダ州立大学大学院でカジノ経営学を学んだラスベガスカジノの専門家。

石原都知事が東京カジノ構想を発言してからラスベガス好きの私はいつカジノが東京にできるのか期待したいたのだが、最近はそういった話題が全然あがらない。日本でカジノは無理なのか.... と半分あきらめていたのだが、この本を読んで、実は着実に日本でのカジノ解禁に向かって進んでいることを知った。

2006年に自民党が 我が国におけるカジノ・エンターテイメント導入に向けての基本方針という方針案をWebで公開している。かなり議論しているようで、まずは2,3箇所カジノを開設し、その後10か所程度まで広げようということが記載されている。
本書によると羽田空港の国際化を2010年秋よりも前倒しし、外国からの客を受け入れられる態勢を進めているようだ。そもそも政府としては、外国からの観光客誘致、財政拡充、雇用拡大を狙ってのカジノなので、当然の動きであろう。

本書ではお台場にカジノを設置し、どのような体制・設備を整えて行けばよいかを記述している。おそらくかなりの知識を持っているのであろうが、提案としてはオーソドックス、言い方を変えれば当たり前のことを書いてあるため若干残念であった。

私は「大人のワンダーランド」ラスベガスに魅せられ、何度もラスベガスを訪れている。魅力的なカジノを東京に作るということであれば、1軒や2軒のホテルだけでなく、最低でも10軒以上の巨大ホテルをラスベガスのストリップのように集中させることが条件であると考える。各ホテルが個性をもたせ、中流層、上流層、家族連れなどに対応させるのだ。そして、ラスベガスのフォーラムショップスのように、カジノのすぐ近くに大規模ショッピングセンターを併設する。カジノで儲ければその金で買い物をするし、どうせ負けるぐらいなら賭けずに買い物をしようという発想になる人もいるからだ。
本書ではコンプの利用についても書かれているが、私もコンプには賛成だ。
ただ、カジノ後進国の日本が普通にカジノをやってもカジノ先進国に勝てるかわからないので、より思い切ったコンプが必要であろう。
たとえば、日本でカジノを合法化するにあたり、実際にカジノライセンスを与える企業にはインターネットでのカジノ(オンラインカジノ)も許可する。そうすることによってリアル(カジノホテル)での営業に加え、バーチャル(インターネット)でも収益が上がる。ここでネットでの利用をコンプの対象にすることにより、ネットでポイントを貯めた客がカジノホテルに無料宿泊できるようにすることにより、客の購買意欲を向上させ、リアルとバーチャルの相乗効果が生まれる。

本書は日本でのカジノ合法化および運営に興味のある人にお薦めの1冊である。

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2007/08/23

モノの原価 「儲け」の仕組みがわかる本

ブランドバッグや印鑑、カキ氷などいろいろなモノについて原価がどれぐらいなのか、そして利益はどれぐらいなのかについて書かれている本。なかなか入念に取材されており、正確な値が書かれているのではないかと思う。2002年に出版されているので現在では事情が異なっているかもしれないが。。

一番面白かったのは視力矯正手術。最近はレーシックがはやっているが、手術費用は30万円。眼科が大儲けだと思っていたのだが、機械の購入に7000万円、維持費に年間500万円かかるらしく、人件費や広告費を入れると膨大な利益をあげているわけではないらしい。

ものの原価を知りたいという人にはお薦めの1冊。

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2007/07/26

ラスベガス黄金の集客力

ラスベガスカジノホテル 最も新しい挑戦賭けに勝つ人嵌る人 ラスベガスと日本人に続くラスベガス関連の本。

なぜラスベガスは人を集めることができるのかについてマーケット面からの解説が書かれている。普段あまりマーケット関連の本は読まないのだが、ラスベガスが大好きでリピーター状態の自分にとって、この本は納得できる解説が随所に書かれていた。例えば、「クレイジーな発想で驚きを演出」に関しては、ピラミッドの形をしたホテル、ストリップ沿いの一等地に店やホテルを建てずに人工池で噴水ショーをやる発想など、確かに「ワオ」といわされる。
また、カジノで収益を上げているのでホテル宿泊は赤字である(=客にとっては安い値段で豪華ホテルに宿泊できる)と思わせているのもすごい。実際はホテル宿泊でも黒字らしい。まぁあれだけのキャパシティで稼働率90%らしいので当然といえば当然かもしれないが...

その他、「新聞で従業員を誉める」や、季節的な谷間にイベント誘致により集客する方法などためになる話が多かった。次回ラスベガスに行く際にはもう少し集客の秘密を意識してみたいと思う。

日本の店にコンサルティングした実例も掲載されているので、集客したいと考えている人、マーケティングを勉強している人などにはお勧めしたい1冊である。

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2007/07/12

ラスベガスカジノホテル 最も新しい挑戦

超豪華ホテルとして有名な ウィンラスベガス(Wynn Las Vegas)。このホテルを設計建築したスティーブ・ウィンと、彼に2億6000万ドル出資し共同経営者となったアルゼ社長の岡田和生氏の対談。

ラスベガスには何度か訪れたことがあり、ウィンラスベガスのできる前にもできたあとにも訪問している。噴水で有名なベラージオを建設した人がものすごい豪華ホテルを作っているという噂は当時から聞いていたが、そのホテルに日本人が大きく関わっていたとは全くしらなかった。

実はウィンラスベガス開業後半年ほど経過した2005年夏にラスベガスに行った。宿泊は違うホテルだったのだが、当然のようにどんなホテルができあがったのか期待してウィンラスベガスを見に行った。
しかし、ウィンラスベガスに行った感想は以外にも、「前評判の割にインパクトがないなぁ」であった。。。
今回この本を読むことにより、当時このような感想を持った理由がわかった。
ラスベガスのホテルといえば、ベラージオの噴水や、ミラージュの火山トレジャーアイランドの海賊船など無料ショーを思い浮かべる。これら3つのホテルはかつてスティーブ・ウィン氏が作ったものであるが、ホテルに客を引き込むことを目的としてストリップ沿いのフロントで見世物をしていたのだという。しかしウィンラスベガスは趣向を変え、ストリップとホテルが8階相当の岩山に仕切られてストリップからホテルは見えない設計にした。客寄せのショーではなく、ホテル内の居心地の良さにこだわりリピーターを増やしたい。そのために細心の注意を払ってホテル内をデザインしたという。
なるほど、それならばインパクトがなかったという感想をもった理由がわかる。噴水のベラージオや火山のミラージュのイメージでウィンラスベガスを見にいったためにインパクトがなかったのだ。たかだか2時間ほど訪れてカジノやショッピングゾーンをぶらぶらしただけでは良さはわからない。食事をしたり宿泊したりして始めて居心地のよさがわかりリピーターとなるのだろう。

本書では、岡田氏が多額の投資をしながらも目先の利益を考えず、ウィン氏に期限など何ひとつプレッシャーをかけずに自由に最高のものを作るようアドバイスしたエピソードが書かれている。
パチンコなど遊具機器をつくってきた人だけに、本当によいものならば確実に儲かるということをわかっているので変に妥協してもらいたくなかったという。なんとも器の大きい人だ!

ラスベガスのホテルは他の都市に比べ宿泊代金が安い傾向にある(カジノでもうかるから)。超豪華ホテルのウィンラスベガスであっても格安ツアーで飛行機+ホテルが8万円台でいけるようだ。
現在はまだストリップの中心はベラージオのあるフォーコーナーでウィンラスベガスは北のはずれというイメージがあるが、5年後にはウィンの近辺が中心地になっているかもしれない。
この本を読んで1度ウィンラスベガスに宿泊したくなった。

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2007/06/19

フューチャリスト宣言

ウェブ進化論の梅田望夫氏と脳科学者の茂木健一郎氏の対談。巻末には中学と大学で講演した授業が収録されている。

これは今年一番のお薦め作品。2人の対談を読んでいると限りなく明るい未来が待っているような気がしてわくわくしながらページをめくっていった。

やりたい企画に対してネガティブなコメントばかりされつぶされるという組織のしがらみを感じていたのだが、この本でまさに自分が感じていたことを的確に表現してもらって霧が晴れたような気分になった。組織に慣らされてしまえばきっと自分もおいていかれる、自分の感覚が正しいと思って突き進まなければいけないと改めて思った。
今はまだ所属している組織の名前で信用を得る時代だが、きっと10年後には検索エンジンで自分の名前を検索して出てきたコンテンツで個人の信用を得る時代になるだろう。
そのことを見据えて生活していく。

ウェブ進化論の時もそうであったが、自分では体感していて理解できるけれどもうまい言葉が浮かばないので説明できないという部分を、上の世代の人にもわかるような表現で説明しているところがすばらしい。
梅田さんは自分の著書の書評をくまなく探すということだったので、もしかしたらこの感想も読んでもらえるかもしれない。

茂木さんの本はいままで読んだことがなく、ソニー研究所の人、テレビにでている人、そしてあの髪形は自分でカットしているらしい(ソニーの知り合い談)といった前提知識しかなかったのだが、この本を読んでとても好きになった。ほかの作品も読んでみたいと思う。

そして、最近なぜか茂木さんと佐野元春のルックスが似ていると感じるようになった.....

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