読書感想文

新刊、休刊、文学、専門書。
あらゆるジャンルの書籍について読書感想を書いていきます。
得意分野: IT関連技術書、ミステリー小説、ベースボール


2008/12/20

分析力を武器とする企業

オークランドアスレチックスの「マネーボール」を読んでいたので、だいたいのイメージはわかっていた。
いろいろな業種の分析力を武器にした会社の例が書いてあり、参考になる部分があった。
ただ、ちょっととりあげる会社の数が多く、深いところまで突っ込んだ内容ではなかったのが残念だった。

なにかを判断するにあたり、直感で決めるのかデータ分析して決めるのかというところは人によって考え方が違うだろう。
データはあてにならないから直感で判断するという人の場合、データの取得方法・取得精度に問題があると私は考える。私はデータ重視で判断する派だ。
現在のようにデータを数多く取得でき一般のPCでも分析できるこの時代では、個人でもデータ分析能力を磨いておくべきだと考える。

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2008/10/04

大富豪トランプのでっかく考えてでっかく儲けろ

アメリカの不動産王ドナルドトランプとラーニング・アネックスのビル・ザンカーの共著。
大金持ちのドナルドトランプの考え方に触れられる1冊。
結局成功する人はマインドが違う、はじめから大きなスケールで考えて、かつ極度のプラス思考だ。
日本内のことだけ考えてものごとを企画するのではなく、世界規模で考えようと痛感させられた。

私は経験からひとつの教訓を学びとった。問題が発生したときには、問題の対応に注力せず、問題の解決に注力せよという教訓だ。
このあたりはなるべく無駄な労力は使わずに、本質の部分に集中するということだろう。

新しく社員を採用するときは、腐ったリンゴの予備軍を見きわめる必要がある。前の仕事、前の雇用主、前の同僚に文句を言うようなら、次はあなたが文句の対象になる可能性が高い。一般的に言うなら、論争好きで無愛想な人物は雇わない方がいい。
経営者としてどのような社員を採用するか。確かに議論のときにあらさがしばかりしてマイナス発言をし、あらゆる企画をつぶしてしまう人は存在する。そしてそういう人は自分では何も作らない。。
そういう人は当然採用しない方がよいだろう。

ヤンキースのジョー・トーリ監督は、偉大なリーダーであり、わたしの友人でもある。本人から聞いた話では、トーリ監督は松井の謝罪に驚かなかったという。松井は試合中にエラーをすると、そのたびに謝罪をしていた。また、日頃から松井は監督への感謝の気持ちを忘れなかった。連続出場の記録を伸ばせるのは、毎日ゲームに出場させてくれる監督のおかげである、と。
 すべての従業員がヤンキースの松井のような気持で働いてくれたら、どれほどいいだろうか。すべての部下がこのような態度と忠誠心を示してくれたら、どれほどいいだろうか。これは追いもとめるべき理想の環境だ。

松井秀喜選手がドナルドトランプに絶賛されるとは意外だ。日本式の上下関係が好きなのか?ただ、松井選手は日本のプロ野球選手の中でも特に礼儀正しい部類に入る選手だと思うので、すべての日本人がトランプに気に入られるわけではないだろう。

アレンは集中力を保つために、3つのリストを活用している。第一のリストには、人生で達成したい目標を書く。第2のリストには、その目標を達成するために、1年以内にしなければならない事柄を書く。そして、第3のリストには、その目標を達成するために、きょうしなければならないことを書く。この単純明快なシステムを機能させる肝は、規律だ。毎日の必須事項を、欠かさず、規律正しく実行できる者が、最終的な勝者となるのである。
このあたりはイチロー選手的発想か。1本1本の積み重ねが3000本安打という偉大な記録につながっているように、大きなことも目の前にあることの積み重ねであるということだろう。
自分も毎日の必須事項を考え実行していかねば。

あなたも思い込んでいないだろうか?でっかく考えることが許されるのは、大金と高学歴とコネと知識のある人だけだ、と。これは真実ではない。でっかく考えることは誰にでもできる。最も大切なのは、あなたの思考のサイズだ。どれだけでっかく考えられるかが、どれだけでっかく成功できるかを左右する。ほかの事柄は二次的な意味しか持たない。
あることを企画するときに、日本内でのことしか考えずに発想してしまっていた自分がいる。もっとでっかく世界を視野にいれた思考をせねばと思い知らされた。

あなたがマーケティング部長なら、自分を単なるマーケティング部長と定義せず、”マーケティング担当副社長になる途中のマーケティング部長”と定義しよう。
どの視点(立場)から物事を見ているかということは、その人の発想に大きく影響する。また、将来的にどこまで昇進するかということもどの視点からみているかに大きく影響するのではないかと思う。

本書は夢をもっているビジネスマンに特に薦めたい一冊。

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2008/09/06

野村ノート

野村監督の本を初めて読んだ。
私の中では野村氏といえばヤクルト監督時代のID野球のイメージが強い。キャッチャー出身ということもあり緻密な分析をできる人だとは思っていたが、単にデータ分析にとどまらず、人間育成という観点からも選手を育成しているところがすごい。

こうした3つのテーマから生じる打者のタイプを、私はA、B、C、Dと4つにわけた。
A型= 直球に重点を置きながら、変化球にも対応しようとする。
B型= 内角か外角、打つコースを決める。
C型= 右翼方向か左翼方向か、打つ方向を決める。
D型= 球種にヤマを張る(このタイプは根拠を見つける努力をするとよい)。

このあたりは捕手としての視点であろう。確かにこういうことを考えながら野球を見ると新たな発見がありそうだ。

タイトルというと、私の持論に「3年で獲れなければ、幸運がないかぎりタイトルは獲れない」というものがある。
補足すれば、この3年というのはレギュラーになって3年ということだ。もちろん、なかには野茂や上原や松坂のように新人の年にタイトルを獲る者もいるが、王やイチロー、松井、落合らタイトルの常連となり、当たり前のようにタイトルを獲るような選手はみな、この「レギュラーに定着して3年以内」の法則に当てはまる。
これは意外だったが、結構あたっている気がする。古田選手のように1年目は2割5分しか打てなくても翌年には首位打者をとってしまうようケースのように、最初の3年で真剣に取り組んで飛躍できるかどうかがカギといったところなのだろう。

「野村くんと星野くんには決定的な違いがある。野村くんは詰めが甘いよ」
私は「4番を獲ってくれ」「エースを獲ってくれ」というだけで、実際に誰を獲ってほしいのかもいわなければ、FA交渉に積極的に乗り出して選手を口説いたり、長嶋監督のように選手の家の前まで出向いて口説き落とすことなどしなかった。いや、できなかった。
オーナーに「今の制度下でチームを強化するにはお金がいるんですよ」といいながら、「いくら出してほしい」「そのためには何億円いります」などといったことがない。
 外国人もせいぜいビデオを見るぐらいで、阪神監督の1年目などは、なぜなのかいまだに理由がわからないが、当時の球団社長や編成部長は獲得候補選手の名前さえ教えてくれなかった。私が知ることで何か不都合でもあるのか不満に思ったが、それでも監督権限で無理やり話させるようなことはしなかった。そういったことは監督の仕事ではなく、フロントの仕事だと思っていたのだ。
 だが、星野監督は違う。金本をみずから口説き、そしてフロントに伊良部を獲らせ、自身のもつパイプでトレイ・ムーアら外国人を獲得し、さらにコーチ、選手などチームの3分の1近くを入れ替えた。私が指揮を執っていた阪神とはまったく別ものといってもいい阪神タイガースをつくりあげた。
そうだったのか。18年ぶりの阪神優勝には星野監督の積極的な行動の賜物だったのか。
まぁ野村監督にしてみれば越権行為という気持ちもあり遠慮していたのだろうが、星野監督にしてみれば結果はすべて自分の責任になるのだから越権行為といわれようがやりたいようにやるといった気持なのだろう。
相手に動いてもらいたいときに、単に抽象的な要望をするだけでなくもっと具体的なところまで伝えるというのは実社会でも使えることなので参考になる。

在任期間中に逆指名を取り付けた鳥谷を含めれば、3年連続してドラフト戦略に成功した星野前監督と社会人選手をドラフトの下位指名した程度に終わった私は一見対照的かもしれないが、共通点もある。それは両者とも即戦力、つまり大学や社会人選手中心のドラフトを優先するということだ。
ドラフトで将来性のある選手よりも即戦力を好むという点はMLBオークランドアスレチックスのマネーボールと同じ考え方だ。またマネーボールではデータを重視しており野村監督のID野球と通じる点がある。
野村再生工場といわれ全盛期を過ぎた選手を起用することもマネーボールと通じる点がある。

野村監督の考え方とマネーボールの考え方には、同様の背景があるように思われる。つまり、潤沢な資金がないためにスター選手をそろえられないといったチーム事情が背景にあり、その場合にどうやって勝つかということを突き詰めていった上での理論なのではないかと思うのだ。

その他、野村監督は人間形成、組織運営といったことについて非常に深く考えていることが伝わってきた。おそらく野球界でけでなく、ビジネス界に進んでいても成功していただろうなぁと思った。

想像以上に野村監督の考えが深かったので、他の著書についても読んでみたいと思う。

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2008/08/03

雲を掴め 富士通・IBM秘密交渉

IBMと富士通の間でかつて紛争があったことは知っていたが、具体的な内容は知らなかった。
この本で詳細を知り、ほんの20数年前にこんなことがあったのかと驚いた。

あとがきで著者はつぎのように書いている。

この小説はリアルに描いてはいるが、すべてが創作で、フィクションである。筋書き、登場人物、登場人物の会話など、すべてが作り物である。
しかし中には事実と一致する部分もある。なぜならそれは、1997年4月30日のIBM-富士通との間で「事件」の終結合意書が調印され、守秘義務は消滅し、関係者が事実を語ることがゆるされたからである。
フィクションであると書いてはいるが、著者は当時富士通で実際に交渉に当たった人物であるらしい。したがってほぼ実話でないかと想像する。

日米貿易摩擦など時代背景はあったのであろうが、おとり捜査までして日立や三菱電機の社員をアメリカで逮捕するのか。すごいなぁアメリカとIBM。
本書は最初の8か月の交渉部分のみであるが、訴訟でそのあと10年以上最終決定までにかかったようだ。
交渉の結果に関してはどちらに有利であったかの判断は難しいが、非常にシビアなものであったことは文章から伝わってくる。

今もIT産業はアメリカ主導であるが、当時はもっとアメリカ(IBM)が主導権を握っていたと想像する。きっとこの頃の頑張りがあったからこそ現在のく日本のコンピュータメーカーがあるのだろう。

まあ、時は流れいまや汎用機はコンピュータの主役ではなく、UNIXとパーソナルコンピュータに移ってしまったが。

交渉の中身よりも、過去にこういう紛争があったということが新鮮な気がした。

あとがきで著者が書いているが、現役の官僚とビジネスマン、高度経済成長を担ってきた団塊世代の官僚とビジネスマンに読んでもらいたい1冊である。

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2008/08/02

リッツ・カールトンが大切にするサービスを超える瞬間

リッツ・カールトンで学んだ仕事でいちばん大事なことに続き、リッツ・カールトンに関する本を読んだ。

今回は日本にリッツ・カールトンができる前からアメリカのリッツ・カールトンで働き、大阪や東京での開業に携わった高野氏が著者。

リッツ・カールトンの考え方はある程度わかっているつもりだったが、本作でも参考になることが多数あった。

なぜお客様に行き届いたサービスができるのかという点について。リッツカールトンではスタッフの誕生日や入社記念日を祝うというシステムができているおり、たとえば入社8年目の従業員がいれば、8の字にくりぬいたクッキーや8という数字の入ったオブジェをプレゼントするらしい。
ふだんから祝うということを定着させているため感性が磨かれ、お客様に対して行き届いたサービスにつながる。

企業によっては部署が違えば別会社のように関わりが希薄であったり、場合によっては敵対したりすることもある。しかしリッツカールトンではそうならないための仕組みがある。
まず、クレドで従業員の考え方が統一されている。

リッツ・カールトンではクレドはマニュアルであるという捉え方は決してしません。マニュアルというのは毎日の企業活動の中で、たとえば危機管理、衛生管理、効率化など、誰が携わっても一定の結果を実現させるうえで不可欠な指南書であり、また物差しであると言えます。それに対して、クレドは「感性の羅針盤」のようなものです。現場で問題に直面したときや、お客様のさまざまなライフステージに立ち会うときなどに、その従業員の行動指針がクレドカードを読み解くことによって示されるのです。さらにその感性を全従業員が共有することで、ぶれない方向性が保たれます。
そして、「ファーストクラス・カード」を利用し、他部署のメンバーに助けてもらったときには感謝の意を現わすとともに、人事査定にも利用して積極的な連携を促している。

また、リーダークラスの意識もすばらしい。

このとき、どのチーフも必ず次のように力説します。
「私たちのセクションの仕事の役割はこんな内容です。でも、私たちの目的はみんなと一緒です」
つまり、それぞれに与えられた役割は違うけど、それはリッツ・カールトンのひとつのビジョンやミッションのもとに行われていて、みんな目的は一緒なのだということを伝えているのです。
新入社員は地味で単純な仕事をさせられるものであり、場合によっては見切りをつけてすぐに辞められてしまうケースもあるのだが、リッツカールトンではそのならないように意識している。

まず初めに、地味な現場の仕事の大切さ、それらの仕事が会社のビジョン達成のためにどういう意味合いがあるのか、それを明確に納得できるように伝えるということです。企業が犯す最大の罪は、従業員にビジョンなき仕事をさせることだ、とはリッツ・カールトンの創立者、ホルスト・シュルツィの言葉です。
次に、社員の感性の高さや向上心などを見抜き、それを伸ばしていく職場環境を全社的に整えること。ビジョンなき単純作業を10年重ねてチーフになった人は、次の世代に対しても同じことをするものです。
さらには、リッツカールトンは採用の段階で自社の文化に適応できるか独特の方法でチェックしていることに驚かされた。
面接会場は大宴会場。入口にはドアマンが2人立って応募者を出迎え。そして場合によってはプロのミュージシャンがピアノ演奏までしたなかでの面接。管理職がウェイターとしてコーヒーやジュースを運ぶ。

入社試験のためにいったいどうしてここまでやるのか。もともとリッツ・カールトンには相手がだれであろうと「親切なおもてなし」をする文化がありますが、理由はそれだけではありません。
もうひとつの理由は、他の応募者の反応を見て気付きました。350人の募集に対して約3000人の応募があったのですが、会場の雰囲気を見た半分くらいの人が、
「自分には合わない。もっと普通のホテルで働いたほうが気が楽だ」
と言って帰ってしまったのです。
応募者にもお客様と同じようなおもてなしをするのは、じつは最初にリッツ・カールトンの理念や価値観を伝えるためです。
実際に自分が受けたサービスを通して、リッツ・カールトンの文化に適応できるのか、もしくは本当に適応したいのかを考えてもらう狙いがあったのです。面接試験は、いわばお見合いのようなもの。お互いの価値観を最初にしっかり披露しあい、感性が合えば結婚すればいいのです。
本書は、経営者だけでなくすべてのビジネスマンにお薦めする1冊だ。

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2008/07/27

タクシー王子、東京を往く

日本交通の3代目若社長が実際にタクシードライバーとして働いた1か月間のドキュメント。
私は普段タクシーに乗ることはあまりないので、表面には見えないタクシードライバーの仕事というものがわかって面白かった。と同時に、自ら体を張って現場を経験する社長に感動した。

この社長は37歳で、経歴が 慶応 -> ノースウェスタン大学MBA -> マッキンゼー日本支社 と私から見れば超エリート。そしてその後家業の日本交通に入社して34歳で社長に就任。
そういうわけでタクシードライバーの経験なしで社長になってしまったためであろう、現場を学びたいということで1ヶ月間タクシードライバーとして働くことに決めて実際に実行した。
1回の乗車で22時間ぐらい働く関係で1か月といえど実際には13回の乗車であるが、それでも一般のタクシードライバー同様に長時間勤務をやり遂げたことは称賛に値する。

社長は社長業に専念しろ、パフォーマンスはやめろといった意見もあったようであるが、私の感覚では現場を理解するための行動をとる社長は偉い。
タクシードライバーにしてみれば、現場を知らず絵に描いた餅のような戦略をいう社長のいうことはあまり信用できないだろうが、体を張って実際に現場を理解しようとする社長の言うことは聞く気になるだろう。
社長は次のように書いている。

次の30年を見据え、3代目の自分に、いま一番必要なものはなにか?
それはおそらく、現場感覚。ハンドルを握った最前線での経験だろう。MBAやマッキンゼーで学んだ机上の論理も重要だとは思う。しかし、そうした高度1万メートルでの空中線が活きるのは、あくまでも地上戦を知ってこそ。
創業者である祖父の川鍋秋蔵は、お抱え運転手として10年間自分でハンドルを握った。初代を100とすると、いまの自分の現場感覚は1くらいである。でも、1か月集中して乗れば、10くらいにはなるのではないか?そしてその経験は、社長としての1か月よりも、多くのことを教えてくれるのではないだろうか?

日本交通ではGPSシステムを導入していて、ドライバーにとって非常に便利であることが書かれているのだが、特に驚いたのが次。

お断りしてから一時停止すると、お客様が後ろからニュッと1枚のカードを差し出した。GPSコードだ!ウチのタクシーの領収書には、降りた場所のGPSコードが印字されるようになっている。次回、運転手がGPSコードを入力すると、自動で行き先がナビにセットされるという優れものだ。
領収書にGPSコードを印字して、次回以降はそれをみせればよいというのはドライバー、客双方にとってとても便利なシステムだ。ここまでシステムが進んでいたのか!

本書は、経営者に読んでもらいたい本である。と同時に、今年読んだドキュメンタリー本の中でもトップクラスの面白さであるので、娯楽本として一般の人にも気軽に読んでみてもらいたい本である。
本当にお薦めの1冊である。

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2008/07/25

Google誕生

Google創業者のラリーページとサーゲイブリン。
2人の幼少時代からスタンフォードでの出会い、そしてGoogleの創業から大躍進までをたどるドキュメンタリー。

2人がものすごく頭が良いというのは知っていたのだが、単に一流のエンジニアであるだけではなく、経営能力にも優れていることを本書で知った。

社員が数十人の頃から専属コックを雇って社員に無料で食事を提供したいと考える経営者はなかなかいないだろう。単に福利厚生の充実だけではなく、そうすることにより食事のために外出して時間をつぶさなくてもすむし、社員間のコミュニケーションも充実する。つまり会社にとって必ずプラスになると計算をしておこなっているあたりがすごい。

20%ルールにしても斬新な発想だ。20%の時間を自分のやりたいことをやることによって自発的にアイデアを具現化していくことは社員のモチベーション向上につながるし、新規プロジェクトの立ち上げにも非常に有効だ。こういうルールのある会社で私も働きたい。日本の会社であれば、アイデアを出してもあっさりつぶされてやりたいことをやれないということがよくある。そうではなく20%の時間でアイデアをより具体化した上で評価してもらえるのだ。

ニューニューシングもそうだったが、シリコンバレーでのベンチャーというのは非常にわくわくするし憧れる。まぁこのような成功例の何十倍何百倍も失敗したケースはあるのだろうが。

本書にはGmailのプライバシー騒動やクリック詐欺に対する対応など、今まで私の知らなかったことも書かれており非常に興味深かった。

わずか数年で世界を制した企業Googleを知るのに本書は非常に役に立つ。
Googleに興味を持っている人だけでなく、IT業界で働いている人や経営者にも読んでもらいたい1冊。

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2008/06/25

Googleを支える技術

BigtableやMapReduceといった名前だけ聞いたことのある技術について概要が理解できたのでよかった。と同時に、Googleに恐ろしさを感じた。特に後半のデータセンターの話を読むと、5年後の日本のインターネット業界が不安だ。

前半は検索エンジンの仕組みからはじまり、分散システムの技術(GFS、Bigtable、Chubby、MapReduce、Sawzall)についての解説がなされている。このあたりはGoogleの論文からの解説が中心であるが、日本語でわかりやすく概要を説明しており、英語の論文を読むよりも効果的に理解できた。
障害対策としてRaidを採用せずにソフトウェアでのアプローチをしているあたりはおもしろい。また、世間では電力効率化のためにxenなど仮想化技術による集約化の流れにあるのだが、Googleに関してはとにかくマシン数を増やすばかりで仮想化については考えていないように本書では感じられた。CPU負荷、ディスク容量がおいつかないから仮想化には向かないのだろうか。

後半では運用コストやデータセンターの話がでてくる。
本書によると、2007年時点でのGoogleのマシン数は50万台程度。それだけでもすごいのだが、2006年以降数百億円規模のデータセンターを複数建設しているという。例えばオレゴン州ダレスのデータセンターはサッカーグラウンドほどの建物が2つで、設置可能マシン数は推定64万台。とんでもない大きさのデータセンターであるが、このような規模の建設中データセンターが本書では5か所紹介されている。
しかも、それぞれの設置場所は水力発電所や原子力発電所などの近くで、安価でかつ安定的に電力を調達できるという。
日本で5年以上前に建造されたデータセンターは、スペースは余っていても電力がいっぱいというケースが多いのだが、そのあたりは見越した上での建設なのだろう。当然電気代は莫大になるので、太陽光発電の研究などもおこなっているようだ。

前半の分散技術と後半のデータセンター建設によるマシン台数の大幅増強。これらを利用して当然検索精度の向上もされているのだが、私にはもっと脅威に感じることがある。

本書では触れていないのだが、GoogleはGoogle Apps や Google App Engine などによるホスティングサービスも提供している。
通常自社でサーバを構築しサービスを行う場合、事前にどの程度のアクセスがあるか予想してサーバ台数やネットワーク構成を決める。しかしいざサービスを稼働すると予想以上にアクセスが多く負荷に耐えられなくなるといったことはよくある。そうなるとサーバや回線の増強という話になるのだが、稼働を始めてから変更を加えるのは手間がかかる。その点Googleでは負荷分散技術と膨大なマシン数により、負荷が増えても簡単に対応できる。
また季節限定で一時期だけ多数の負荷がかかるようなケースでも、Googleのサーバを利用していれば簡単に調整できる。しかも、低額かつ迅速に。

つまり、自社でサーバを構築したり日本のシステムインテグレータに構築を頼むよりも、Googleのサービスを利用したほうが便利なのだ。例えば、ライブドアKDDIといったサーバやネットワークについての高度なスキルをもっている企業でも実際にGoogle Apps を選択している。

このことは日本のIT企業、特にシステムインテグレータは十分考慮にいれておかなければならない。
数年後には顧客をごっそりGoogleに奪われている可能性がある。
分散システムによる耐負荷サーバとSaaSによる迅速なサービス提供。これらに負けないための仕組みが必要であろう。

そして、今後は小さなシステムは淘汰され、Sun MicrosystemsのCTO Greg Papadopoulosの言うように、世界には5つのシステムでことたりるような時代へと進む予感がする。要は自分でハードウェアを用意せずに、Googleのような大規模システム(クラウド)を利用してシステムを構築する時代になるのだ。

amazonはGoogle App Engineよりも先にクラウドシステムを提供した(amazon EC2)。そして、ビジネス向けではSunとIBMが着々とクラウド化を進めている。

クラウドシステムには多額の費用がかかるため、日本市場だけでなく世界市場を視野に入れた上で戦略的に策を練る必要がある。しかし、それを行える企業が日本にあるか。。。
日本語が参入障壁になっている日本市場では、システム構築+事務作業を一括に請け負うアウトソーシングという形態でやっていけるかもしれない。しかし世界を相手に戦うのは今の日本企業には難しい気がする。。。

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2008/06/14

おもてなしの経営学

著者は人気ブログ Life is beautiful でおなじみの中島聡氏。

3章から構成されており、1章はブログエントリを引用しつつ「おもてなし」というキーワードでアップルやYouTubeを分析する。2章は「月刊アスキー」のコラムからの引用。3章は西村博之氏、古川亨氏、梅田望夫氏との対談となっている。

まず、全体を読んで驚きはマイクロソフトでこれだけ活躍していた日本人がいたのかということ。アメリカでWindows95やIEの開発に主要メンバーとして関わり、日本人として唯一トップランク200人のエンジニアだったというのだからすごい。
そして、40歳を過ぎて自分で会社を立ち上げてもまだ一線のエンジニアとしてプログラムを書いているというのもすごい。技術者のロールモデルになれる人だ。

3章の対談に関しては、古川氏とは昔を懐かしみ同窓会のような雰囲気、梅田氏とは同年代かつ同じ海外在住者として分野は違えど共感する部分が多いといった内容になっている。ひろゆき氏との対談は若干噛み合っていないような感じがした。個人的には古川氏との対談で、昔のアスキーやマイクロソフトでの働きぶりなどが紹介されておりおもしろかった。

日本という小さな枠ではなく、世界に通用する作品を作りたいという気持ちが大きくなった。
また、単に技術的な能力だけでなく、ビジネスモデルも含め自分でプロデュースする人間になりたいと思った。

すべてのビジネスマン、とくに現状の環境に違和感を抱いている技術者に特にお勧めの1冊。

以下は特に印象に残った箇所の抜粋である。
床屋の満足
語源は、筆者の名前は忘れてしまったが、大昔に読んだエッセイである。そのエッセイの筆者は、「いかにも床屋に行ってきました」という髪形をして人に会うのが恥ずかしいので、いつも床屋さんに行くと、「床屋に行ったばかりとはわからないようにしてくださいね」と頼むのだそうだ。しかし、ほとんどの床屋がそのリクエストを無視して、「いかにも床屋に行ってきました」という髪形にしてしまうらしい。彼は、床屋さんにとっては、お客を「いかにも床屋にいってきました」というさっぱりした髪型で店から送り出すことが仕事の充実感・満足感を与えるとても大切な要素となっている、と結論付けていた。このエッセイを読んで以来、私は心の中で、これに相当する行動パターンを「床屋の満足」と読んできた。
英語の勉強だけはいくつになってはじめても遅くはない。学生であれ社会人であれ、まずは(多くの人が不得手な)英会話から初めて、英語の論文なりブログなりで、できるだけ多くの英語に触れる努力をすることを強くおすすめしたい。知識労働者にとって、日々自分の人材市場での価値を高めることに努力することは、すなわち「職場を選ぶ力を得る」ことに直結する。終身雇用制が崩壊しつつあり、誰にでもできる簡単な労働は知識労働ですら海外にアウトソースされようとしている昨今、自分の価値を高めて「職場を選ぶ力を得る」ことは、ますます大切になっている。その意味でも、世界規模で見た人材市場での価値に直結する英語力を持っておくのは、必ずプラスになると断言できる。
あるエンジニアの人に、仕事人にはふたつのタイプがいるという話を聞いたことがあるんだ。「上を見て」仕事をするタイプと、「天を見て」仕事をするタイプ。城氏の顔色や直近の自分の損得だけで動くのが「上を見て」仕事をする人。「天を見て」仕事をする人は、会社や上司のためではなくお客様のためにいい仕事をする、この技術が未来につながるとか社会的に必要だという美学を貫き、自分の信条を持って動く。
でも今はマイクロソフト、というかIT産業全体に言えることかもしれないけど、何か新しいことをしようとすると「本当にそれでいいのか」と、自分は生産的なことにかかわらないのに他人のブレーキを踏むような人たちが多い。もっと多くの人に使ってもらうだとか、会社をさらに大きくするとか、代案としてこちらのほうが絶対に優れていると証明できるようなものをもちあわせているならいいけど、単にお前が目立つのが嫌いだとか、お前に決められるのが面白くないという理由だけで足をすくう人たちばかり。

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2008/05/23

ライアーズ・ポーカー

マイケルルイスの第一作目である「ライアーズ・ポーカー」。
ニュー・ニュー・シング、マネーボールがおもしろかったのでこの本を読むことにした。

舞台は1980年代のウォール街とロンドン、マイケルルイスはソロモンブラザーズの社員として債権セールマンをしていた。
マネーボール、ニュー・ニュー・シングは取材力がすごかったのだが、この作品に関しては社員としてまさに金融業界の内側で働いていた目線で書かれている。

ウォール街の金融事情にはまったく疎いのだが、当時どれだけ活況であったかは手に取るようにわかった。そして法律改正や景気によりジェットコースターのように上がったり下がったりする様も伝わってきた。

ウォール街のビジネスマンといえば相当なエリートという印象があるのだが、大学を卒業して数年の若者が当然のように数百億を扱うのには驚かされる。10年以上経験を積んでいないとそんなことできないだろうと思っていた。
そして、もっと緻密な計算をして戦略を練っているのかと思ったのだが、根拠がなくても直感で億単位の金を扱っているのにも驚いた。

まぁやっぱりこういう業界は年俸高いんだなぁ。実力が数字として現れるしやってみたい気もするが、きっとものすごいプレッシャーがかかるのだろう。そして、数年もやれば巨額の金を右から左に流すことがむなしくなりそうな気がする。そして客をだましてでも自分の、そして会社の利益を確保することにも嫌気がさしそうだ。まさにライアーズ(うそつき)。

ものをつくって一発あてるほうが充実感があるのではないか。

ソロモンブラザーズの重役を中心にウォール街のビッグネームが数多く登場するが、私はその筋にはまったく詳しくなく全く知っている人がいなかった。

情報通の人であれば、知っている名前がでてきてより一層楽しめるのであろう。

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2008/05/01

ニュー・ニュー・シング

シリコンバレーの企業家ジムクラークを密着取材したドキュメンタリー。
Web進化論などで有名な梅田望夫氏が推薦していたので読んだ。

すばらしい内容だった。そこらの小説よりもよっぽどドキドキしながら読めた。
著者のマイケルルイスは「マネーボール」の著者としてしっていたのだが、マネーボール同様主人公の懐に入り込むのがうまいというか、心を開かせるのがうまいというか、すばらしい取材だ。

そして、ジムクラークはとんでもなくかっこよい。高校を中退し海軍で働きながら博士号取得、大学教員として働きその後起業。そして、シリコングラフィックス、ネットスケープ、ヘルシオンと3社を設立しIPOを成功に導き巨額の富を得る。
投資家ばかりが儲かり実際に開発を行う技術者が報われないことに腹をたて、技術者が報われるよう仕組みを変える。そして何より過去の実績は振り返らず、常に先の先(ニューニューシング)を見据えて行動する。しかもどれだけ金持ちになっても自分でプログラムを書く。

先の先を見据えてプランを練る人間になりたい、そしてシリコンバレーで一攫千金を求めて勝負したい。
そう思わせてくれる1冊だった。

まあ若干苦言を言わせてもらうと、「技師」という言葉がよく出てくるのだが、コンピュータ技術者をあまり技師とは呼ばないので、「エンジニア」と訳したほうがよいのではないか。

シリコンバレーに憧れている人、一攫千金をねらっている人はもちろん、ドキドキするようなストーリーを読んでみたいと思う人にもお薦めの1冊。

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2008/04/19

リッツ・カールトンで学んだ仕事でいちばん大事なこと

リッツカールトンといえば顧客満足度が高いことで有名だが、著者はリッツカールトン大阪の元営業統括支配人。

まず一番驚いたのが著者の経歴。リッツカールトンの幹部だから、きっと留学してホテル学科を卒業しそのあとは欧米の高級ホテルに勤務して....というような国際派エリートをイメージしていた。しかし実際は高卒でホテル勤務経験なし、しかも英語がしゃべれない。
それでよく採用されたと思うのだが、著者いわく大阪に多くの人脈があったかららしい。

本書は前半がリッツカールトンでの経験、後半は著者が考える魅力的な人物の作り方となっている。

まずは前半部分。
キーワード1: ノーといわない
リッツカールトンの接客の特徴は「ノーといわない」ことだそうだ。満室の状態で予約の電話が入った場合、普通であれば満室だから無理(=ノー)と答えるところだが、リッツカールトンではこのホテルは満室だが、差し支えなければ近くのホテルの空き状況と料金を聞いてご連絡差し上げますと回答するらしい。
たしかにすごい。普通はそこまでは言わない。

キーワード2: 感動を与える
ミスやトラブルはopportunityと呼ばれ、お客様との新たな関係性を図る機会と考える。そして、全スタッフが20万円までの決裁権をもっており、上司に相談することなくその場でお客様に対応できる。
テレビ番組の特集で見た話だが、費用はトラブルが起こった時だけに使うのではなく、宿泊客が誕生日と知ればケーキをプレゼントするといったサービスにも使えるようだ。たしかにそういうサービスをしてもらうなら客は感動するかもしれない。ただ、採算としては問題ないのかという話が気になるのだが、リッツカールトンは上位5%の富裕層をターゲットにしており、感動を与えてリピーターになってもらえれば十分利益を出せるという考えなのだろうと想像する。

キーワード3: 従業員の意識統一
従業員全員がクレドに基づき行動する。
クレドとは信条や経営哲学のたぐいのことで、どういう方針で仕事をするかといったことが書かれたもの。
リッツカールトンの場合は、書かれた方針をいかに自分の職場で実践・浸透させていくかに力をいれているため、接客で即座に判断が必要な場合など上司に相談せずともクレドに基づき自分で判断できる。
日本の会社でも経営方針を壁にはったりカードにしてもたせるケースはあるが、単なるお題目ととらえ真剣に意識して行動する人はほとんどいないのではないか。。

後半部分で印象に残った点。

組織・グループは逆ピラミッド型にすればうまくいく
お客様が一番上にいて、それを支えるのが現場のスタッフ。その現場のスタッフを支えるのが幹部社員、そして一番下のピラミッドの頂点は全責任を負った社長という考え方。
すばらしい。そういう意識の幹部がいるところで働きたい。

人間関係ができていれば理屈ぬきで人は動く
人間には感情があるので、理詰めの指示だけでは人は動かない。組織は理屈ではなくハートで動かす。
たしかにそのとおり。普段からの人間関係ができていないと人は離れていくし心から納得してやっていないのでミスも多くなるだろう。

これ以外にも、後半を読むとためになることがいっぱい書かれている。そして、著者が20代の頃からものすごく自分を磨いていたことがよくわかる。
社会人にも学生にも是非読んでもらいたい一冊。


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2008/04/13

内部統制で現場の仕事はこう変わる

サブタイトルは「日本版SOX対応を業務別にやさしく解説」。

日本版SOX法について全く知識を持っていなかったのだが、2008年4月よりスタートしたということもあり読んでみた。
一般に法律がらみの解説書では、1.法律本文、2.法律本文の解釈、3.実運用、現場での影響の3種類がメインになるが、本書では3が中心である。今まで全くこの法律について知識がなかったため、1と2を読んでから3を読んだ方が理解しやすかったような気も若干する。この本のコンセプトは3なので、1と2から入りたい人はまず別の本で知識を得た方が良いかもしれない。

日本版SOX法の対象は上場企業であり、粉飾決算などの不正会計の防止を目的にしていると理解した。考え方としては、業務の流れや管理の仕組みを文書化し、その仕組みに沿って運用がなされているかどうかのチェックをすることになるのだろう。
当然不正防止のための仕組みとして、申請者と承認者の権限を明確に分け単独で不正を働けないようにする必要がある。

経理や財務といった部門の仕事に精通しておらず、前半はあまり理解できなかった。
後半のIT全般統制はなんとなくイメージはつかめたが、実際に運用するのはかなり厳しいのではないか。たとえばセキュリティ管理者、ユーザ、開発担当者の分離というのは結構困難で、開発者であれば自分のアカウントを作成して動作確認するであろうし(ユーザとなれる)、アカウントの作成やパスワード変更などのプログラム開発者は容易に新しいユーザを作成したりパスワードを変更したりできる(セキュリティ管理者)だろう。さらにDBの値を書き換えることもできる。つまり私の感覚だと、開発者であればその気になれば金額の書き換えや架空計上など可能であり不正を行える。
開発者の権限を少なくして不正を防止するという考え方はあるが、それをすると開発効率が落ちる。2重チェックにして開発者の作業を上司が承認する形になるのであろうが、なんとなくきっちりしたチェックはできないような気がする。開発要件の仕様段階でのチェック、動作確認テストの内容と結果の保持、そして最終的な開発結果の承認と厳密にチェックすることが必要になるだろう。

企業で働いている人にとって「内部統制」はこれから重要度を増すキーワードなので、知識として持っておくことは決して損にならないだろう。

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2008/04/12

週刊ダイヤモンド 2008/2/16

特集記事は「マンションが危ない!」。

同じような時期にプレジデントでも「住宅・土地選び」の特集をしていたが、週刊ダイヤモンドはマンションに特化し、かつ購入よりもその後の管理についての記事が充実していた。
「マンションは管理を買え」と言われるが、住民自らが考えて交渉していかなければ必要以上に管理費を払わせられるということがよく伝わってきた。管理会社の顧客満足度ランキングも掲載されており、分譲マンション居住者は非常に参考になるだろう。
マンション購入編では新築物件のランキングが掲載されている。このランキングが10年後にどうなっているか興味がある。ちなみに東京都下での1位はルフォン吉祥寺、神奈川での1位はプラウド横濱ヒルトップとなっている。

マンションの特集とは別に、もう1つ気になった記事があった。
「PHSのウィルコムが主役の座に躍り出る日」という特集だ。
次世代高速無線データ通信用の2.5GHz帯電波の免許が与えられたことにより、一気に飛躍するというのだ。PHSは電波が弱く、その分基地局の数が携帯網に加え格段に多い。2.5GHz帯の免許取得によりこのインフラ網を利用して、次世代PHSでは試験サービスでデータ伝送速度が20Mバイト/秒まで向上するらしい。この高速通信により移動体通信として一気に躍り出るというのだ。
2.5GHz帯の免許取得により本当に飛躍できるかどうか疑問な点もあるが、ウィルコムの姿勢は前々から評価していた。ウィルコムの技術者はKDDIに戻るかウィルコムにとどまるかの選択肢があった中で、ほとんどウィルコムにとどまったという。技術者がいたいと思えるような環境であるならば何かイノベーションを起こしてくれるかもしれない。

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2007/11/18

プロフェッショナルの条件

P・F・ドラッカーの著作10点及び論文1点から抜粋した生き方・働き方読本。サブタイトルは「いかに成果をあげ、成長するか」。

書いてある内容は非常にすばらしいのだが、どうも頭にはいってこない。すらすらと読めない。。
私がいままで軽い論調の作品しか読んでこなかったのが悪いのか、日本語訳が悪いのかわからないが、どうも難解な言葉で不自然な日本語のように感じ、なかなか作品に集中できなかった。特に前半部分。平易な言葉で要点だけまとめれば、15ページ程度の非常にありがたい作品になるような気がする。

内容は資本主義から知識主義に変革している中でホワイトカラーは組織の中でいかにして仕事に取り組むべきかといった事柄で、非常に参考になることが書かれていた。
特に最終章のIT革命の先に何があるかの部分では、まだまだ変革は起こると書かれており、非常に参考になった。

組織の在り方についても書かれていたが、googleなど新興IT会社を見るにつけ、組織は大きさではなく、いかに能力のある人間に仕事に集中できる環境をあたえることかがポイントであると痛感する。
日本のIT大手では、製造ラインのように組織を分割し有機的につながっていないと思う。

本書は「知識労働者」として働いてる人のうち、現状の仕事の仕方に満足していない人にお薦めの作品である。

最後に、特に感銘を受けた部分を引用させていただく。

「知識労働は、量によって規定されるものではない。コストによって規定されるものでもない。成果によって規制されるものである。部下の数や管理的な仕事の大きさは、知識労働の内容を知る手がかりにはならない。」

(昇進した人がその後成功しないのは)「新しい任務に就いても、前の任務で成功していたこと、昇進をもたらしてくれたことをやり続ける。そのあげく、役に立たない仕事しかできなくなる。正確には、彼ら自身が無能になったからではなく、間違った仕事の仕方をしているために、そうなっている。」

「成果ではなく、権限に焦点を合わせる。組織や上司が自分にしてくれるべきことや、自らがもつべき権限を気にする。その結果、本当の成果をあげられない。」

「よい仕事をすれば、昇給させることにしている。しかし昇進させるのは、
自分の仕事のスケールを大きく変えた者だけだ。」

「何によって憶えられたいか」

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2007/10/14

若者はなぜ3年で辞めるのか? 年功序列が奪う日本の未来

タイトルを見ると新卒入社する20代前半の若者を分析した内容なのかと思っていたのだが、それだけでなく30代のサラリーマンに対する分析もあった。私は30代であるが、会社に対してなんとなく感じていた閉そく感、失望感のようなもの(具体的にはうまく表現できないのだが)を、本書で実に明確に表現していたことに感心した。霧が晴れるような気持ちになった。と同時にやっぱりこのまま過ごしていても将来は明るくないと感じさせられた。

著者は「年功序列」制度が立ち行かなくなったことが20代の離職、30代の失望感に大きく影響しているという。日本的企業の場合、以前は「入社」してしまえばレールが敷かれており、あとは時間が立てば出世する仕組みであった。しかし、年功序列が機能するのは会社が右肩あがりに成長する時代の話であり、規制緩和、グローバル化の波にのまれた現在ではもう機能しない。したがって企業は「能力主義」を取り入れるが、その仕組みを考えるのは「昭和的価値観」をもった年寄りのお偉方。どうしても保身が入り中途半端な能力主義制度にしかならない。結果、暗黙の年功序列制度の上に人件費カットを目的とした中途半端な能力主義となる。すでに40代、50代にはポスト待ちの人々があふれており、20代、30代の若者にとってはこの先のレールすら保障されない状態となり、我慢して下働きしても将来恩恵を受ける可能性は極めて低い。

確かにこの分析は当たっている。私の感じていた閉塞感は2つ。1つは30を過ぎてもまだ組織の中で年下の年代がほとんど増えていない。したがって下働きさせられることになるのだが、上の年代(一般社員)は口で偉そうなことを言うが手は動かさない。給料が高い割にパフォーマンスが非常に悪く、人の給料のために自分が働かされているような気分を味わっていた。2つ目は、自分の10年後をイメージするのに格好の存在であるはずの職場の10歳程度上の人たち。仕事面、生活面を見ていてその人たちのようになりたいと思わないのだ.... 
結局今のまま働いていてもハッピーにならないのではという失望感がある。かといって転職するにしても、昭和的価値観をもつ企業では同じことであり、行くとすれば外資系もしくはベンチャー。その場合、一時的には成功といえる転職ができるかもしれないが長い目で見た場合の安定感には欠けるように感じる。
結局のところ自分も無意識のうちに昭和的価値観に染められており、いまだ年功序列のレールがつながっているような気がしているのだろう。さながらタイタニック号のような巨大客船であれば沈没することはないだろうといった感覚か...
だからなんとなくこのままではいけないと思いつつもハイリスクハイリターンの道に踏み出せないのだろう。おそらく10年後にははっきりといているのだろうが...

著者は東大法学部を卒業後大企業の人事部門に勤務するといういわゆるエリートコースを歩いてきた人間だ。彼の作品はほかにも読んだことがあるが、すごく文章表現がわかりやすい。しかも問題の本質を論理的に説明し、その解決策まで提案する。まだ30代前半ということもあり若者の視点から社会をみることができ、若者代表といった感じだ。
現在の生活に疑問を感じている若者にぜひとも読んでもらいたい良書である。

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2007/09/23

リクルートのDNA

リクルート創業者の江副浩正氏が、リクルートの経営方針や事業戦略、社員の育て方などについて綴った本。副題は「企業家精神とは何か」。

USEN社長の宇野氏やインテリジェンスの鎌田社長、iモード立ち上げの松永氏などリクルート出身者で活躍している人が多くいる。リクルートがなぜ「人材輩出企業」なのか知りたかったのでこの本を読んだ。

リクルートが成長した理由としては、江副社長の目のつけどころが良かった点と業界2位ではだめで必ず1位になるつもりで事業に取り組んだ点であろう。

人材が育つのは、プロフィットセンター(PC)制で会社の中に小さな会社を作りPC長に権限を大幅に委譲し自律的に働ける環境を作ったことが大きいのであろう。普通の企業であれば部長になって初めてもらえるような予算などの権限が、リクルートでは20代の頃からもらえるのである(金額の大小はあるとおもうが)。若いころから自分の判断で経営をし、その成果で昇進や事業撤退など判断される訳であるから、若いころから経営者としての経験を積み、優秀な経営者になっていくのも納得できる。
日本の大企業ではなかなかできないPC制であるが、江副氏は東京大学を卒業してそのままリクルートを創業した。そのため会社勤めの経験がなくいわゆる大企業の常識がなかったのでこのような発想ができたのだろう。実際成功する企業家の条件として次のことを書かれている。

「若くかつ就職しないで起業すること。人はその人がその時までに経験した延長戦で物事を考えがちである。サラリーマンから見る経営者とその実像には大きなギャップがある。また、年をとってからではやり直しは難しいが、若ければやり直しがきく。」

その他、視野を広めるために(社員同士ではなく)心がけて社外の人との会食を機会を持ったり、勉強会や研究会への参加も推奨していたところも成功の要因だろう。

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2007/08/12

小さな株式会社の設立Q&A

平成18年5月1日に施行された「会社法」のポイントをふまえながら、税理士である著者が企業する場合の手続き・手順を説明した本。

個人事業と株式会社の違いや、取締役や監査役の資格と責任など多岐にわたって解説している。また、1人会社のケースと数人会社のケースに分けて、それぞれ必要な手続きについて解説するとともに書類の記入例などが掲載されているので本当に企業手続きを行う人には非常に便利であろう。

私はいまのところすぐに手続きをおこなう予定はないので、なんとなく手続きはこういう流れなのかという感じで眺めた。このあたりの法律に疎いので一度概要を把握しておこうと思って読んだのだが、必要に迫られているわけでもないためか法律の文書自体が難解なのかいまいち理解できなかった。。。。

近々企業する予定の人にお勧めの1冊。

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2007/08/09

国際的監査法人トーマツとともに

サブタイトルは  "創業者" 富田岩芳のグローバル精神

富田岩芳氏を中心に、監査法人トーマツの設立から今までの発展を記述した本。

監査法人や公認会計士とは今まで縁がなかったため前提知識がほとんどない。4大監査法人がどこかもしらないし世界のビッグ8もわからない。そのような状態で読んだのでいまいち理解できていない部分もあるが、お堅い職業に見える公認会計士でも、実はクライアントを獲得するために必死で営業しているということは伝わってきた。そのあたりは普通の仕事と一緒なんだな...

元海軍の富田氏が国内の監査法人をうまくまとめ、そして世界への足がかりをつくったからデロイト・トゥシュ・トーマツインターナショナルができたことは理解できた。
途中いろいろな会社の役員や官僚などお偉方の名前が多数でてくるのだが、私の知識不足でほとんどの人がわからなかった。そのため途中からはやや退屈になってきた。。

監査法人で働きたい人、もしくは監査法人と仕事でかかわりのある人にお勧めの1冊。

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2007/07/22

「へんな会社」のつくり方

株式会社はてな社長の近藤淳也氏がCNET Japan Blogに連載した内容を再構成したもの。

はてなという会社には前々から興味があり、従業員数(現在でも20数名)の割に知名度が高いのはなぜだろうという気がしていた。今回読んでみて思ったのは、近藤氏の探究心と常識にとらわれない感覚が大きく会社の在り方に影響しているということだった。
会社の席を固定しない、開発合宿を行う、打ち合わせは立ったままでというのは、自分の経験からしてもプラスの部分が大きいと思う。しかしそれ以上に驚いたのは、社内ミーティングの内容を録音し一般公開する、障害の具体的内容など本来はあまり一般に公開したくないことをオープンにしていることだ。これは、おそらく大企業の感覚では企業秘密云々という理由でできないであろう。そこをやってしまい、オープンにすることによってユーザから有益な情報をもらいサービスの質をさらに発展させるというプラス効果をもたらしていることはすばらしい。
その他、企画の打ち合わせではなるべくネガティブな発言をせず、ネガティブな要因に対してどうような策を練ればよいかというプラス思考での発言をこころがけているという点もすばらしいと思った。おそらく大企業では法律がどうだ、前例がどうだといわれてつぶされるような内容であっても、はてなでは能動的に考えるのであろう。

はてなとは、一昔前のライブドアのようなIT企業とは異なり、あくまでも技術主導でかつ社会的な貢献まで考えている企業という印象をこの本で持った。今後もより発展していくだろう。

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