読書感想文

新刊、休刊、文学、専門書。
あらゆるジャンルの書籍について読書感想を書いていきます。
得意分野: IT関連技術書、ミステリー小説、ベースボール


2008/08/03

雲を掴め 富士通・IBM秘密交渉

IBMと富士通の間でかつて紛争があったことは知っていたが、具体的な内容は知らなかった。
この本で詳細を知り、ほんの20数年前にこんなことがあったのかと驚いた。

あとがきで著者はつぎのように書いている。

この小説はリアルに描いてはいるが、すべてが創作で、フィクションである。筋書き、登場人物、登場人物の会話など、すべてが作り物である。
しかし中には事実と一致する部分もある。なぜならそれは、1997年4月30日のIBM-富士通との間で「事件」の終結合意書が調印され、守秘義務は消滅し、関係者が事実を語ることがゆるされたからである。
フィクションであると書いてはいるが、著者は当時富士通で実際に交渉に当たった人物であるらしい。したがってほぼ実話でないかと想像する。

日米貿易摩擦など時代背景はあったのであろうが、おとり捜査までして日立や三菱電機の社員をアメリカで逮捕するのか。すごいなぁアメリカとIBM。
本書は最初の8か月の交渉部分のみであるが、訴訟でそのあと10年以上最終決定までにかかったようだ。
交渉の結果に関してはどちらに有利であったかの判断は難しいが、非常にシビアなものであったことは文章から伝わってくる。

今もIT産業はアメリカ主導であるが、当時はもっとアメリカ(IBM)が主導権を握っていたと想像する。きっとこの頃の頑張りがあったからこそ現在のく日本のコンピュータメーカーがあるのだろう。

まあ、時は流れいまや汎用機はコンピュータの主役ではなく、UNIXとパーソナルコンピュータに移ってしまったが。

交渉の中身よりも、過去にこういう紛争があったということが新鮮な気がした。

あとがきで著者が書いているが、現役の官僚とビジネスマン、高度経済成長を担ってきた団塊世代の官僚とビジネスマンに読んでもらいたい1冊である。

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2008/02/17

追伸

久々に読んだ真保作品。2005年に「ダイスをころがせ!」を読んでからファンになり、真保作品はほぼすべて読んでいる。

前半数十ページを読んだところで、「ダイスをころがせ!」に似ていると感じた。というのは、本作品の祖母の秘密を探りたいという部分と、「ダイスをころがせ!」の元知事だった祖父の謎を知りたいという部分がオーバーラップしたからだ。
元々真保作品のファンになったのは、綿密な取材に基づく緻密な描写にリアリティを感じたからであったが、この作品にはそれをあまり感じなかった。それでも人物の心情描写がすばらしく、半分ぐらいまで読んだあたりから展開が気になり引き込まれていった。

犯人探しといったミステリー的要素を期待している人にはもの足りないかもしれないが、人物の心情描写を中心とした作品だと思って読む人には満足の1冊であろう。
ちなみに、そのほかにもお薦めの真保作品はたくさんある。
次のサイトが真保作品を一番詳しく取り扱っている。
真保裕一ファンサイト

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2007/01/08

月光の東

初めて読んだ宮本輝作品である。
文体が丁寧語(です、ます)で書かれていることに驚いた。もしかしてこの作者はすべての作品で丁寧語なのか?と思ったがおそらく、主人公の人柄を考えての文体ではないかと思う。
結構面白く内容に引き込まれていき、月光の東とは何なのか、よねかとはどのような女性なのか先の展開が気になった。7割ほど読んだところで大体展開が読めたが、そこまでは非常にすばらしい作品だと思う。
この作者の他の作品も読んでみたいと思わせる内容であった。

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2006/12/10

レベル7

映画「 ブレイブ ストーリー」の原作者宮部みゆきの小説。
彼女の小説は、「理由」、「蒲生邸事件」を読んだことがあるが、「レベル7」も含めはずれがない。
どの作品も高レベルだ。

今回読んだ「レベル7」に関しては、話の流れが読めず最初の100ページは面白くなかった。しかし、そこから先は一気に引き込まれていき、この先どうなるのだろうとドキドキしながら読んだ。

実際にあった事故をヒントにしている部分もあり、リアリティのある描写である。さらに宮部は終わり方がうまく、さわやかな読了感がある。

お薦めの作品である。

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