読書感想文

新刊、休刊、文学、専門書。
あらゆるジャンルの書籍について読書感想を書いていきます。
得意分野: IT関連技術書、ミステリー小説、ベースボール


2008/08/07

インフォコモンズ

インフォコモンズ(情報共有圏)という聞きなれない言葉の概念がイメージしにくく、前半部分はあまり興味をひかれずに読んでいた。しかし、中盤から後半にかけて著者の主張が理解できてくると、この本のすごさが理解できた。

現在はWeb2.0と言われているが、本書ではWeb3.0の形を予言している。
すでにWeb3.0の息吹はいくつかのサイトに表れており、たとえばベイズ理論を用いたzero-zoneや食べログ、tsutaya discas、みんなの株式などが紹介されている。

ちなみに、本書で説明されているWeb*.0の定義は次の通り。

ウェブ1.0は集中化した彼ら。
ウェブ2.0は分散化したわれわれ。
ウェブ3.0は非集中化した私。
そして、インフォコモンズ(情報共有圏)の必要条件は次の4点。

暗黙ウェブである。
信頼関係に基づいた情報アクセスである。
情報共有圏が可視化されている。
情報アクセスの非対称性を取り込んでいる。
Amazonの協調フィルタリングでは、この本を買った人はあの本も買っていますと勧められるが、誰が買ったかという点は可視化されていない。しかしWeb3.0では誰が買ったかということがわかるため、自分と感性が近いこの人が買ったものならば安心して買えるといった信頼関係ができあがる。

本書を読むことにより、サイトの企画についてアイデアをもらえた。ありきたりの発想で旧来のウェブサイトを作るのではなく、独自の視点で次世代型のサイトを企画、構築したいと思わせてくれる内容であった。
著者は元新聞記者であるようで、論理構成もしっかりしており、IT業界の人にはぜひ読んでもらいたい1冊である。

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2008/08/03

雲を掴め 富士通・IBM秘密交渉

IBMと富士通の間でかつて紛争があったことは知っていたが、具体的な内容は知らなかった。
この本で詳細を知り、ほんの20数年前にこんなことがあったのかと驚いた。

あとがきで著者はつぎのように書いている。

この小説はリアルに描いてはいるが、すべてが創作で、フィクションである。筋書き、登場人物、登場人物の会話など、すべてが作り物である。
しかし中には事実と一致する部分もある。なぜならそれは、1997年4月30日のIBM-富士通との間で「事件」の終結合意書が調印され、守秘義務は消滅し、関係者が事実を語ることがゆるされたからである。
フィクションであると書いてはいるが、著者は当時富士通で実際に交渉に当たった人物であるらしい。したがってほぼ実話でないかと想像する。

日米貿易摩擦など時代背景はあったのであろうが、おとり捜査までして日立や三菱電機の社員をアメリカで逮捕するのか。すごいなぁアメリカとIBM。
本書は最初の8か月の交渉部分のみであるが、訴訟でそのあと10年以上最終決定までにかかったようだ。
交渉の結果に関してはどちらに有利であったかの判断は難しいが、非常にシビアなものであったことは文章から伝わってくる。

今もIT産業はアメリカ主導であるが、当時はもっとアメリカ(IBM)が主導権を握っていたと想像する。きっとこの頃の頑張りがあったからこそ現在のく日本のコンピュータメーカーがあるのだろう。

まあ、時は流れいまや汎用機はコンピュータの主役ではなく、UNIXとパーソナルコンピュータに移ってしまったが。

交渉の中身よりも、過去にこういう紛争があったということが新鮮な気がした。

あとがきで著者が書いているが、現役の官僚とビジネスマン、高度経済成長を担ってきた団塊世代の官僚とビジネスマンに読んでもらいたい1冊である。

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2008/07/25

Google誕生

Google創業者のラリーページとサーゲイブリン。
2人の幼少時代からスタンフォードでの出会い、そしてGoogleの創業から大躍進までをたどるドキュメンタリー。

2人がものすごく頭が良いというのは知っていたのだが、単に一流のエンジニアであるだけではなく、経営能力にも優れていることを本書で知った。

社員が数十人の頃から専属コックを雇って社員に無料で食事を提供したいと考える経営者はなかなかいないだろう。単に福利厚生の充実だけではなく、そうすることにより食事のために外出して時間をつぶさなくてもすむし、社員間のコミュニケーションも充実する。つまり会社にとって必ずプラスになると計算をしておこなっているあたりがすごい。

20%ルールにしても斬新な発想だ。20%の時間を自分のやりたいことをやることによって自発的にアイデアを具現化していくことは社員のモチベーション向上につながるし、新規プロジェクトの立ち上げにも非常に有効だ。こういうルールのある会社で私も働きたい。日本の会社であれば、アイデアを出してもあっさりつぶされてやりたいことをやれないということがよくある。そうではなく20%の時間でアイデアをより具体化した上で評価してもらえるのだ。

ニューニューシングもそうだったが、シリコンバレーでのベンチャーというのは非常にわくわくするし憧れる。まぁこのような成功例の何十倍何百倍も失敗したケースはあるのだろうが。

本書にはGmailのプライバシー騒動やクリック詐欺に対する対応など、今まで私の知らなかったことも書かれており非常に興味深かった。

わずか数年で世界を制した企業Googleを知るのに本書は非常に役に立つ。
Googleに興味を持っている人だけでなく、IT業界で働いている人や経営者にも読んでもらいたい1冊。

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2008/07/18

グーグルに勝つ広告モデル

テレビ・新聞・雑誌・ラジオの4大マスメディアとグーグルに代表されるインターネットを比較し、既存のマスメディアの生き残り戦略を書いている。

統計を基に分析しており、ある程度うなずける内容が多かった。まぁ、これをすればグーグルに確実に勝てるという方法は明確にはかいていなかったが..

グーグルとヤフーの違いとして、ヤフーはトップページにいろいろコンテンツを乗せて「認知(アテンション)」させることが目的なのに対して、グーグルはトップページは簡素にし、検索結果で広告を載せる「能動的な興味(インタレスト)」を引き出しているという記述がある。トップページの比較は何度も聞いたことがあるが、認知と興味という分析を聞いたのは初めてだったので新鮮な感じがした。

ここまで、ネットと新聞の比較を軸足に、将来の方向性仮説について述べてきましたが、筆者自身は、物理的な紙の新聞を各家庭に届ける宅配ネットワークという仕組みこそ、新聞社が保有するネットメディアに対する中核的な競争能力の礎ではないかと考えています。
この部分に関しては同意する。インターネットが普及してネットショップでの購入が増えているのだから、新聞配達ネットワークを有効活用するというのは非常に有効であろう。

「LEON」は「年収2000万円以上で、月に30~50万円程度の自由になる小遣いのある30~40代男性」というターゲット設定をしていますが、図15に見られるように、30~40代で年収2000万円以上という人は、構成比としては0.1%程度にしか日本にいません。
普通にビジネスプランとしてこの企画を考えると、「あまりにターゲットが狭い」ということになるのですが、ここがミソで、年収2000万円以上がターゲット、と公言することによって、年収数百万円~1200万円くらいの一般層を、読者として取り込んでいるわけです。

このことは知らなかった。LEONを購入したことはないのだが、確かになんとなく上級のライフスタイルのイメージがあり、憧れみたいなものはあるなぁ。うまくターゲットをずらしているなぁ。

ウィキペディアは、グーテンベルクからグーグルが登場するまでの「旧世界」がずっと発展させてきたこの「知のバリューチェーン」から、無料で情報という栄養をもらってコンテンツを拡充するという寄生虫のような構造で肥大化しています。
ここで問題になるのは、ウィキペディアがフリーであるがゆえに、強大な普及力を有しているという点です。そのため「知のバリューチェーン」を循環する経済価値が減少し、ウィキペディアが循環的に依存していた「信用できる」情報源が、事業運営上の深刻な困難を迎える可能性があるのです。そうなると、ウィキペディア自体も中長期的には生きながらえることはないでしょう。ここに大きなジレンマがあります。
この部分については賛同できない。BBCやニューヨークタイムズのような「信用できる」情報源と、ウィキペディアはすみわけができている。少なくとも私は使い分けをしている。

例えば何か事件が起こったとき、速報的にその情報を仕入れるのは新聞社など「信用できる」情報源からである。事件直後ではウィキペディアには網羅的に情報がまとまっていることを期待していないのでウィキペディアでにはアクセスしない。
逆に、昔あった事柄について知りたい場合には、ニュースサイトではなくウィキペディアを利用する。網羅的にまとめられているからだ。

ということで、私は新聞社など「信用できる」情報源と、ウィキペディアはともに生きながらえていくと考えている。

本書はマスメディアの現状と今後の広告モデルについてわかりやすく分析している良書である。特にマスメディアには直接ビジネスでかかわっていない人に薦めたい1冊。

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2008/06/25

Googleを支える技術

BigtableやMapReduceといった名前だけ聞いたことのある技術について概要が理解できたのでよかった。と同時に、Googleに恐ろしさを感じた。特に後半のデータセンターの話を読むと、5年後の日本のインターネット業界が不安だ。

前半は検索エンジンの仕組みからはじまり、分散システムの技術(GFS、Bigtable、Chubby、MapReduce、Sawzall)についての解説がなされている。このあたりはGoogleの論文からの解説が中心であるが、日本語でわかりやすく概要を説明しており、英語の論文を読むよりも効果的に理解できた。
障害対策としてRaidを採用せずにソフトウェアでのアプローチをしているあたりはおもしろい。また、世間では電力効率化のためにxenなど仮想化技術による集約化の流れにあるのだが、Googleに関してはとにかくマシン数を増やすばかりで仮想化については考えていないように本書では感じられた。CPU負荷、ディスク容量がおいつかないから仮想化には向かないのだろうか。

後半では運用コストやデータセンターの話がでてくる。
本書によると、2007年時点でのGoogleのマシン数は50万台程度。それだけでもすごいのだが、2006年以降数百億円規模のデータセンターを複数建設しているという。例えばオレゴン州ダレスのデータセンターはサッカーグラウンドほどの建物が2つで、設置可能マシン数は推定64万台。とんでもない大きさのデータセンターであるが、このような規模の建設中データセンターが本書では5か所紹介されている。
しかも、それぞれの設置場所は水力発電所や原子力発電所などの近くで、安価でかつ安定的に電力を調達できるという。
日本で5年以上前に建造されたデータセンターは、スペースは余っていても電力がいっぱいというケースが多いのだが、そのあたりは見越した上での建設なのだろう。当然電気代は莫大になるので、太陽光発電の研究などもおこなっているようだ。

前半の分散技術と後半のデータセンター建設によるマシン台数の大幅増強。これらを利用して当然検索精度の向上もされているのだが、私にはもっと脅威に感じることがある。

本書では触れていないのだが、GoogleはGoogle Apps や Google App Engine などによるホスティングサービスも提供している。
通常自社でサーバを構築しサービスを行う場合、事前にどの程度のアクセスがあるか予想してサーバ台数やネットワーク構成を決める。しかしいざサービスを稼働すると予想以上にアクセスが多く負荷に耐えられなくなるといったことはよくある。そうなるとサーバや回線の増強という話になるのだが、稼働を始めてから変更を加えるのは手間がかかる。その点Googleでは負荷分散技術と膨大なマシン数により、負荷が増えても簡単に対応できる。
また季節限定で一時期だけ多数の負荷がかかるようなケースでも、Googleのサーバを利用していれば簡単に調整できる。しかも、低額かつ迅速に。

つまり、自社でサーバを構築したり日本のシステムインテグレータに構築を頼むよりも、Googleのサービスを利用したほうが便利なのだ。例えば、ライブドアKDDIといったサーバやネットワークについての高度なスキルをもっている企業でも実際にGoogle Apps を選択している。

このことは日本のIT企業、特にシステムインテグレータは十分考慮にいれておかなければならない。
数年後には顧客をごっそりGoogleに奪われている可能性がある。
分散システムによる耐負荷サーバとSaaSによる迅速なサービス提供。これらに負けないための仕組みが必要であろう。

そして、今後は小さなシステムは淘汰され、Sun MicrosystemsのCTO Greg Papadopoulosの言うように、世界には5つのシステムでことたりるような時代へと進む予感がする。要は自分でハードウェアを用意せずに、Googleのような大規模システム(クラウド)を利用してシステムを構築する時代になるのだ。

amazonはGoogle App Engineよりも先にクラウドシステムを提供した(amazon EC2)。そして、ビジネス向けではSunとIBMが着々とクラウド化を進めている。

クラウドシステムには多額の費用がかかるため、日本市場だけでなく世界市場を視野に入れた上で戦略的に策を練る必要がある。しかし、それを行える企業が日本にあるか。。。
日本語が参入障壁になっている日本市場では、システム構築+事務作業を一括に請け負うアウトソーシングという形態でやっていけるかもしれない。しかし世界を相手に戦うのは今の日本企業には難しい気がする。。。

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2008/06/14

おもてなしの経営学

著者は人気ブログ Life is beautiful でおなじみの中島聡氏。

3章から構成されており、1章はブログエントリを引用しつつ「おもてなし」というキーワードでアップルやYouTubeを分析する。2章は「月刊アスキー」のコラムからの引用。3章は西村博之氏、古川亨氏、梅田望夫氏との対談となっている。

まず、全体を読んで驚きはマイクロソフトでこれだけ活躍していた日本人がいたのかということ。アメリカでWindows95やIEの開発に主要メンバーとして関わり、日本人として唯一トップランク200人のエンジニアだったというのだからすごい。
そして、40歳を過ぎて自分で会社を立ち上げてもまだ一線のエンジニアとしてプログラムを書いているというのもすごい。技術者のロールモデルになれる人だ。

3章の対談に関しては、古川氏とは昔を懐かしみ同窓会のような雰囲気、梅田氏とは同年代かつ同じ海外在住者として分野は違えど共感する部分が多いといった内容になっている。ひろゆき氏との対談は若干噛み合っていないような感じがした。個人的には古川氏との対談で、昔のアスキーやマイクロソフトでの働きぶりなどが紹介されておりおもしろかった。

日本という小さな枠ではなく、世界に通用する作品を作りたいという気持ちが大きくなった。
また、単に技術的な能力だけでなく、ビジネスモデルも含め自分でプロデュースする人間になりたいと思った。

すべてのビジネスマン、とくに現状の環境に違和感を抱いている技術者に特にお勧めの1冊。

以下は特に印象に残った箇所の抜粋である。
床屋の満足
語源は、筆者の名前は忘れてしまったが、大昔に読んだエッセイである。そのエッセイの筆者は、「いかにも床屋に行ってきました」という髪形をして人に会うのが恥ずかしいので、いつも床屋さんに行くと、「床屋に行ったばかりとはわからないようにしてくださいね」と頼むのだそうだ。しかし、ほとんどの床屋がそのリクエストを無視して、「いかにも床屋に行ってきました」という髪形にしてしまうらしい。彼は、床屋さんにとっては、お客を「いかにも床屋にいってきました」というさっぱりした髪型で店から送り出すことが仕事の充実感・満足感を与えるとても大切な要素となっている、と結論付けていた。このエッセイを読んで以来、私は心の中で、これに相当する行動パターンを「床屋の満足」と読んできた。
英語の勉強だけはいくつになってはじめても遅くはない。学生であれ社会人であれ、まずは(多くの人が不得手な)英会話から初めて、英語の論文なりブログなりで、できるだけ多くの英語に触れる努力をすることを強くおすすめしたい。知識労働者にとって、日々自分の人材市場での価値を高めることに努力することは、すなわち「職場を選ぶ力を得る」ことに直結する。終身雇用制が崩壊しつつあり、誰にでもできる簡単な労働は知識労働ですら海外にアウトソースされようとしている昨今、自分の価値を高めて「職場を選ぶ力を得る」ことは、ますます大切になっている。その意味でも、世界規模で見た人材市場での価値に直結する英語力を持っておくのは、必ずプラスになると断言できる。
あるエンジニアの人に、仕事人にはふたつのタイプがいるという話を聞いたことがあるんだ。「上を見て」仕事をするタイプと、「天を見て」仕事をするタイプ。城氏の顔色や直近の自分の損得だけで動くのが「上を見て」仕事をする人。「天を見て」仕事をする人は、会社や上司のためではなくお客様のためにいい仕事をする、この技術が未来につながるとか社会的に必要だという美学を貫き、自分の信条を持って動く。
でも今はマイクロソフト、というかIT産業全体に言えることかもしれないけど、何か新しいことをしようとすると「本当にそれでいいのか」と、自分は生産的なことにかかわらないのに他人のブレーキを踏むような人たちが多い。もっと多くの人に使ってもらうだとか、会社をさらに大きくするとか、代案としてこちらのほうが絶対に優れていると証明できるようなものをもちあわせているならいいけど、単にお前が目立つのが嫌いだとか、お前に決められるのが面白くないという理由だけで足をすくう人たちばかり。

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2008/05/22

Software Design 2008年5月号

特集は「SD流 仮想化技術フルコース[セキュリティ編]」。

Xenについて情報が約50ページにわたって特集されていた。

セキュリティということで、Xen徹底入門とは違う切り口かと期待して読んだのだが、それほど大きな違いはなかった。まぁ確かにXenについての攻撃ポイントを詳しく書いてあったので、セキュリティという観点ではXen徹底入門より充実している。

意外とよかったのが、4章「仮想マシンのための運用管理ノウハウ」。
Xenのメリットとデメリットを説明した上で、実際の事例を交えながら設置計画を説明している。
負荷などを考慮して設計するのに参考になるだろう。

どうもまだXenを信頼しきれないので、VMWareとの比較になりそうだ。

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2008/05/21

Xen徹底入門

OS仮想化環境のXenを勉強したかったので読んだ。
まったくXenを触ったことがない状態でこの本を購入し、本を読みながらインストールやマイグレーションをやってみた。

全体を通しての感想としては、関連する一通りの情報がまとまっているので良い作品であろう。
ただし、頭から読んでいくと2章「Xenの導入と仮想化環境の作り方」でXenを実際にインストールすることになるのだが、インストールウィザードの選択肢の説明が少なすぎて不親切だ。
そして、インストール後にDomain-Uを起動するときのコマンドが間違っている(P41)....
本当はxmコマンドで起動なのに、xenというコマンドで起動と書かれていたのでコマンドxenが自分の環境になくて悩みまくった。結局ウェブで検索して実際はxmコマンドであることを知った。
正誤表には訂正が入っているとはいえ、初心者にはやさしくない間違い方だ.....

Xenについて知りたかったのは、安定性と速度と運用について。

Xenのバージョンが異なったりCPUが異なったりすると、マイグレーションに支障が生じるということで、安定性についてはいまいちという印象を受けた。実際違うCPUのマシンにマイグレーションしてみたら動きがおかしくなった。

速度に関しては、作成方法により イメージ < パーティション < ディスク占有 ということになるようだ。
できればHDD1つまるごとDomain-U用に使用するのがよさそうではあるが、小型PCで考えた場合にはなかなか厳しい。
運用面でいえば、バックアップが楽という意味でイメージでの作成が一番便利なのだが...

これからマシンを購入するのであれば、Intel-VT対応のCPUにして、準仮想以外に完全仮想環境の作成も可能にしておいたほうがよいだろう。

どうもまだXenで運用できるという確信がもてなかったので、VMwareと比較ということになりそうだ。

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2008/05/01

ニュー・ニュー・シング

シリコンバレーの企業家ジムクラークを密着取材したドキュメンタリー。
Web進化論などで有名な梅田望夫氏が推薦していたので読んだ。

すばらしい内容だった。そこらの小説よりもよっぽどドキドキしながら読めた。
著者のマイケルルイスは「マネーボール」の著者としてしっていたのだが、マネーボール同様主人公の懐に入り込むのがうまいというか、心を開かせるのがうまいというか、すばらしい取材だ。

そして、ジムクラークはとんでもなくかっこよい。高校を中退し海軍で働きながら博士号取得、大学教員として働きその後起業。そして、シリコングラフィックス、ネットスケープ、ヘルシオンと3社を設立しIPOを成功に導き巨額の富を得る。
投資家ばかりが儲かり実際に開発を行う技術者が報われないことに腹をたて、技術者が報われるよう仕組みを変える。そして何より過去の実績は振り返らず、常に先の先(ニューニューシング)を見据えて行動する。しかもどれだけ金持ちになっても自分でプログラムを書く。

先の先を見据えてプランを練る人間になりたい、そしてシリコンバレーで一攫千金を求めて勝負したい。
そう思わせてくれる1冊だった。

まあ若干苦言を言わせてもらうと、「技師」という言葉がよく出てくるのだが、コンピュータ技術者をあまり技師とは呼ばないので、「エンジニア」と訳したほうがよいのではないか。

シリコンバレーに憧れている人、一攫千金をねらっている人はもちろん、ドキドキするようなストーリーを読んでみたいと思う人にもお薦めの1冊。

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2008/04/13

内部統制で現場の仕事はこう変わる

サブタイトルは「日本版SOX対応を業務別にやさしく解説」。

日本版SOX法について全く知識を持っていなかったのだが、2008年4月よりスタートしたということもあり読んでみた。
一般に法律がらみの解説書では、1.法律本文、2.法律本文の解釈、3.実運用、現場での影響の3種類がメインになるが、本書では3が中心である。今まで全くこの法律について知識がなかったため、1と2を読んでから3を読んだ方が理解しやすかったような気も若干する。この本のコンセプトは3なので、1と2から入りたい人はまず別の本で知識を得た方が良いかもしれない。

日本版SOX法の対象は上場企業であり、粉飾決算などの不正会計の防止を目的にしていると理解した。考え方としては、業務の流れや管理の仕組みを文書化し、その仕組みに沿って運用がなされているかどうかのチェックをすることになるのだろう。
当然不正防止のための仕組みとして、申請者と承認者の権限を明確に分け単独で不正を働けないようにする必要がある。

経理や財務といった部門の仕事に精通しておらず、前半はあまり理解できなかった。
後半のIT全般統制はなんとなくイメージはつかめたが、実際に運用するのはかなり厳しいのではないか。たとえばセキュリティ管理者、ユーザ、開発担当者の分離というのは結構困難で、開発者であれば自分のアカウントを作成して動作確認するであろうし(ユーザとなれる)、アカウントの作成やパスワード変更などのプログラム開発者は容易に新しいユーザを作成したりパスワードを変更したりできる(セキュリティ管理者)だろう。さらにDBの値を書き換えることもできる。つまり私の感覚だと、開発者であればその気になれば金額の書き換えや架空計上など可能であり不正を行える。
開発者の権限を少なくして不正を防止するという考え方はあるが、それをすると開発効率が落ちる。2重チェックにして開発者の作業を上司が承認する形になるのであろうが、なんとなくきっちりしたチェックはできないような気がする。開発要件の仕様段階でのチェック、動作確認テストの内容と結果の保持、そして最終的な開発結果の承認と厳密にチェックすることが必要になるだろう。

企業で働いている人にとって「内部統制」はこれから重要度を増すキーワードなので、知識として持っておくことは決して損にならないだろう。

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2008/03/26

挑戦し続ける野村総合研究所

特に野村総研と関わりがあるわけではないのだが、3Kと呼ばれるIT業界で異彩を放っている気がしたので読んでみた。

メディアに登場するアナリストの影響か野村総研といえばシンクタンクというイメージが強いのだが、実は従業員数はSEの方が多い。おもな顧客は野村証券とセブン&アイ・ホールディングス。
読んでみて感じた野村総研の強さは
  • 優秀な人材を確保している
    これはシンクタンクのブランドイメージで人が集まるのか、それとも高給与で人があつまるのかはわからなかった。
  • 顧客志向
    顧客の要望にできる限り対応し信頼関係を築く。また、通常のシステムインテグレータであれば開発を重視するが、野村総研では地味な作業と思われがちな運用も重視している。
  • 未来志向
    常に半歩先を進み先手をうつ。
  • ベンダーフリーなシステムの構築
    自身でハードを生産していないので、本当に良い製品の組み合わせてシステム構築できる。
第1章で野村証券のシステムをオープン化したときの話が掲載されているが、1992年の段階でWindowsを利用したクラサバシステムを研究していたという。Windowsといえば一般向けにまともなネットワーク対応されたのが1995年のWindows95、企業向けにはWindowsNTがあったとはいえまだまだ頻繁にフリーズしていた時代だ。よくそんな時代にWindowsの利用を考えたなぁと感心した。
現在は情報技術本部を設立し、最新技術の動向調査や実用化できるかといった検証を実施しているようだ。また、各事業部と情報技術本部の間に基盤サービス事業本部を設置し、幅広く技術を理解している人材を配置してワンストップ対応できる体制を整えているそうだ。「その分野は私にはわからないので別部署の人に聞いてください」と顧客に言ってしまうIT企業があるなかで、ワンストップ対応できる体制を整えるというのはすばらしい。

また、社長のこの言葉はすばらしいとおもった。

部長クラスには、50人部下がいたら、二人ぐらい遊ばせておけと言っている。本部長や部長の技量に任せているのだがみんなまじめなので全部、プロジェクトに充ててしまう。放っておくとみんな目先の売り上げなどの目標達成だけに走ってしまうので、「そんなに無理しないでいいぞ」と話すこともある。確かに昔は適当に遊ばせていた。私なんかはずっと遊んでいたと思うけど、そうした環境からいいプロジェクトのかけらが出てくる。いかに先のことを考えるかが重要だ。

まぁきっと従業員の人に聞けば、残業が多いとか人間関係がドロドロしてるとかマイナスの話も出てくるのではないかと思うが、本書ではそのあたりのことは書かれていない。

この本は、IT業界で働いている人や野村総研で働きたいと考えている人にお薦めの1冊である。

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2007/12/29

ウェブ時代をゆく

ウェブ進化論フューチャリスト宣言 に続き梅田望夫氏の作品を読んだ。
今回のサブタイトルは「いかに働き、いかに学ぶか」であり、インターネットによる変革の時代をいかに生き抜くかという内容で主に若者へのメッセージとなっている。IT業界に身を置くものとして業界の流れはわかっているのだが、なんとなく感じてはいてもうまく表現できない部分が的確に表現されており感服した。
大きく印象に残ったのは次の2点。

・ロールモデル思考法
「自分の内から湧き出てくる何かが具体的に見えずとも、「ある対象に惹かれた」という直感にこだわり、その対象をロールモデルとして外部に設定する。そしてなぜ自分がその対象に惹かれたのかを考え続ける。それを繰り返していくと、たくさんのロールモデルを発見することが、すなわち自分を見つけることなのだとだんだんわかってくる。自分の志向性について曖昧だったことが、多様なロールモデルの総体として、外側の世界からはっきりとした形で顕れてくる。」

梅田氏の場合、自分の志向性発見のために読書をしていたという。
私の場合、お手本にしたいと思う人を周りに発見できず、そのため結果的に灯台(ロールモデル)のない状態で航海しているようなもので自分の成長の距離感というものがつかめていないような気がした。
人に限らず、本を読んでロールモデルを発見するという考えは試してみたい。

・30歳から45歳という大切な時期を無意識に過ごすな

この項目に関してはまさに耳が痛かった。新卒採用からずっと大組織で働いているのだが、30歳ぐらいまでは確かに仕事を覚え技術スキルが向上している満足感があった。しかし30歳をすぎてからは過去の蓄積だけで無難に仕事をこなせ、「なんとなく」仕事をやる状態になってきた。新しいことを始めようとしても組織のしがらみで許可を得られず、そもそも組織自体がバブル世代が異様に多く上がつかえている状態だ。いっそのことベンチャー企業のような若い勢いのある組織で働いた方がよいのではと考えても、いざそういう連中と話をしてみると、自分はすでに大組織病に侵されていることに気づく。専門部署にいるためビジネスの全体を見渡せないし、そもそもスピード感がない。
まさに自分は「ここではないどこか」で仕事をしたいと考えている一番危ない種類に属する人間だ。
そういう人向けに梅田氏はありがたいアドバイスをしてくれている。

「そういうタイプの人は、「その会社から吸収できることをすべて吸収し、その15年間のできるだけ早い時期に辞める」というビジョンを持って生きるべきだと思う。最終的にその組織を離れないことになったとしても、自覚的に15年をそう生きれば「組織と個の関係」も対等に近づいていくことになるだろう。そんな決意を秘めて働いている人のほうが、逆説的だが、組織内で「輝く個」になれる。「吸収できることをすべて吸収する」と決めたら、多様性と広がりに満ちた組織全体の中で「自分の志向性」に合致する場所を見つけ、積極的に働きかけて、何とかそこに移っていくことである。」

現状は「なんとなく」働いている状態なのでなかなか吸収する意欲がわかないが、辞めると考えるとそれまでに技術や人脈など手にいれられるものは手にいれたいと思うだろう。別の視点で考えれば、今の仕事が満足できないからどこかに移ろうではなくて、今の仕事で頭角を現して誰かから引き抜いてもらえるぐらい自分を成長させようという意気込みで働いていきたい。

この本は自分の生き方に悩んでいる若者に特にお薦めの本である。

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2007/09/20

モバゲータウンがすごい理由

携帯専用サイト「モバゲータウン」成功の秘密と、携帯ビジネスの現状を解説した本。

私は30代で完全なPC世代。携帯の貧弱な入力方式と小さな画面ではストレスがたまるので、PCと携帯が両方あれば迷わずPCを使う。
しかし今の10代、20代はそうとは限らない。PCのキーボードを触る前に携帯を触ったので入力に対するストレスがない、パソコンは高くて個人所有していない、パソコンの起動に時間がかかるので面倒くさいといった考えをもっている10代、20代は決して珍しくない。となるとPCと携帯が両方あれば携帯を選択する。
今の10代、20代が携帯世代というのは知識としては持っていたが、どうも感覚的に理解できない。そんな思いがあったので本書を手に取ったのだが、予想以上にきれいに解説されており非常に参考になった。普段はウィルコムを利用しており、携帯電話(ドコモ、KDDI、ソフトバンク)の流れには疎かったのだが、携帯電話会社の戦略(コンテンツ、おサイフケータイなどの課金)について詳しく解説されていたのも良かった。

インターネットといえばPCではなく携帯でアクセスするものと今後なっていくかもしれないと記述されている。それはないだろう、やっぱりインターネットはPC中心だろうと思っている自分はまだ完全には携帯世代を理解できていないのかもしれない。

30代以上の完全PC世代の方にお勧めしたい一冊。

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2007/06/19

フューチャリスト宣言

ウェブ進化論の梅田望夫氏と脳科学者の茂木健一郎氏の対談。巻末には中学と大学で講演した授業が収録されている。

これは今年一番のお薦め作品。2人の対談を読んでいると限りなく明るい未来が待っているような気がしてわくわくしながらページをめくっていった。

やりたい企画に対してネガティブなコメントばかりされつぶされるという組織のしがらみを感じていたのだが、この本でまさに自分が感じていたことを的確に表現してもらって霧が晴れたような気分になった。組織に慣らされてしまえばきっと自分もおいていかれる、自分の感覚が正しいと思って突き進まなければいけないと改めて思った。
今はまだ所属している組織の名前で信用を得る時代だが、きっと10年後には検索エンジンで自分の名前を検索して出てきたコンテンツで個人の信用を得る時代になるだろう。
そのことを見据えて生活していく。

ウェブ進化論の時もそうであったが、自分では体感していて理解できるけれどもうまい言葉が浮かばないので説明できないという部分を、上の世代の人にもわかるような表現で説明しているところがすばらしい。
梅田さんは自分の著書の書評をくまなく探すということだったので、もしかしたらこの感想も読んでもらえるかもしれない。

茂木さんの本はいままで読んだことがなく、ソニー研究所の人、テレビにでている人、そしてあの髪形は自分でカットしているらしい(ソニーの知り合い談)といった前提知識しかなかったのだが、この本を読んでとても好きになった。ほかの作品も読んでみたいと思う。

そして、最近なぜか茂木さんと佐野元春のルックスが似ていると感じるようになった.....

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2007/06/09

オブジェクト指向でなぜつくるのか

オブジェクト指向PGやフレームワーク、UML、モデリングなどについて経験豊富な著者が概要を解説している。オブジェクト指向を使うと、現実世界をそのままプログラムとして表現できるというのは勘違いであるという著者の主張には同意できるが、広く浅く概要の紹介という感じがして、すでに自らオブジェクト指向のプログラムを書いている人にとっては物足りないのではないか。
これからオブジェクト指向について勉強したい人、もしくはプログラムは書いていないがプロジェクトマネージャーの立場でソフトウェア開発の効率化を考えている人には概要を把握できるという意味でお薦めできる1冊である。

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2006/11/15

超・極める!PHP

本屋でたまたま見つけた。PHPのプログラムを書くことがあるので目を通してみたら、フレームワークについて特集記事があった。プログラムを書く上でロ ジックの再利用、セキュリティ対策を考慮するとフレームワークを利用したほうが楽だなぁと思っていたところだったのでちょうどよい記事だった。特に代表的 なフレームワーク3種類に関してはソースコードを掲載して、それぞれを比較していた。立ち読みですまそうと思っていたが内容がすばらしいので購入した。 SNSのGree作成に使われているというフレームワークEthnaが表示に気になる。
フレームワーク以外にもamazonなどへのWebサービス連携、地図サービスやuCurlの話もあるのでお薦めの1冊。

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2006/10/09

ウェブ進化論

この本はベストセラーになっているが、実際に読んでみて確かに売れる理由がわかる。

40代以降の世代の人が感じる、なんとなくインターネットはすごいというその「なんとなく」を的確に表現している。また若者世代にとっては、上司が理解してくれないインターネットのすごさ、自分の言葉ではうまく伝わらない部分を的確に表現してくれているので共感ができる。

google のすごさは5年以上前から感じていた。ただしそれは技術的な部分であって、その頃は検索画面に広告が表示されていなかったので、この会社はど うやって設けているのだろう?と疑問に感じたこともあった。しかし、アドワーズ、アドセンスを見たときにはこの会社はすごい戦略をもっていると感心したも のだった。たしかに「あっち側」の世界である。

今後まだまだインターネットの変革は続く。学生にも社会人にも主婦にもぜひとも読んでもらいたい1冊である。

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